低圧屋内配線の工事の種類 早見表(施設場所×使用電圧)
低圧屋内配線で使える工事は、電技解釈 第156条の156-1表で施設場所と使用電圧ごとに決まっています。どの場所でも使えるのは合成樹脂管工事・金属管工事・金属可とう電線管工事・ケーブル工事の4つ。点検できない隠ぺい場所ではがいし引き工事は使えません。
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屋内の低圧の配線(コンセント・照明・動力の幹線など)をどの工事で施設できるかは、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」(電技解釈)第156条の156-1表で決まっています。表の行は施設場所(展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所 × 乾燥/湿気・水気)と使用電圧(300V以下/300V超過)、列は12種類の工事です。表1は156-1表をそのまま転記したものです。
表1: 低圧屋内配線の施設場所と工事の種類 — 電技解釈 第156条 156-1表
| 施設場所の区分 | 使用電圧の区分 | がいし引き | 合成樹脂管 | 金属管 | 金属可とう電線管 | 金属線ぴ | 金属ダクト | バスダクト | ケーブル | フロアダクト | セルラダクト | ライティングダクト | 平形保護層 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 展開した場所 | 乾燥した場所 | 300V以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
| 300V超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
| 湿気の多い場所又は水気のある場所 | 300V以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
| 300V超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
| 点検できる隠ぺい場所 | 乾燥した場所 | 300V以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 300V超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
| 湿気の多い場所又は水気のある場所 | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
| 点検できない隠ぺい場所 | 乾燥した場所 | 300V以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
| 300V超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
| 湿気の多い場所又は水気のある場所 | - | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
※ (備考) ○は、使用できることを示す(156-1表の備考)。列名は「工事」を省略しています(例: がいし引き=がいし引き工事)。○のない欄は、第156条本文(156-1表に規定する工事のいずれかにより施設すること)により、その場所・電圧ではその工事を使えないと読めます。使用電圧の区分の「-」は、湿気の多い場所又は水気のある場所の隠ぺい場所では使用電圧の区分がない(電圧によらない)ことを表します。
※ 第156条は、第172条第1項(ショウウィンドー又はショウケース内の低圧屋内配線)の規定により施設するものと、第175条〜第178条の場所(粉じんの多い場所、可燃性ガス等・危険物等の存在する場所、火薬庫)に施設するものを除いています。これらは各条の規定によります。
表2: 工事の種類ごとの使える場所と主な要件 — 電技解釈 第157条〜第165条
| 工事の種類 | 条 | 使える場所(表1の○) | 主な要件(抜粋) |
|---|---|---|---|
| がいし引き工事 | 第157条 | 展開: 乾燥(300V以下・300V超過)、湿気・水気(300V以下・300V超過) 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下・300V超過)、湿気・水気 | 電線は絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線・引込用ビニル絶縁電線・引込用ポリエチレン絶縁電線を除く)。電線相互の間隔6cm以上。造営材との離隔距離は300V以下2.5cm以上、300V超過4.5cm以上(乾燥した場所は2.5cm)。造営材の上面・側面に沿う支持点間2m以下 |
| 合成樹脂管工事 | 第158条 | 全区分 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)、より線又は直径3.2mm(アルミ線4mm)以下の単線。管内で接続しない。管の厚さ2mm以上(可とう管・CD管を除き、条件付きで緩和)。支持点間1.5m以下。差込み深さは管の外径の1.2倍(接着剤使用は0.8倍)以上 |
| 金属管工事 | 第159条 | 全区分 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)、より線又は直径3.2mm(アルミ線4mm)以下の単線。管内で接続しない。管の厚さはコンクリート埋込み1.2mm以上、その他1mm以上(継手のない4m以下を乾燥した展開した場所なら0.5mm以上)。300V以下はD種接地(管の長さ4m以下を乾燥した場所に施設する場合などは省略可)、300V超過はC種接地(接触防護措置を施す場合はD種接地でよい。金属製で管と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く) |
| 金属可とう電線管工事 | 第160条 | 全区分 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)、より線又は直径3.2mm(アルミ線4mm)以下の単心。管内で接続しない。原則2種金属製可とう電線管(1種は乾燥した展開した場所・点検できる隠ぺい場所などの条件付き、厚さ0.8mm以上)。300V以下はD種接地(管の長さ4m以下は省略可)、300V超過はC種接地(接触防護措置を施す場合はD種接地でよい。金属製で管と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く) |
| 金属線ぴ工事 | 第161条 | 展開: 乾燥(300V以下) 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下) | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)。線ぴ内で接続しない(2種金属製線ぴで分岐する場合などを除く)。黄銅・銅製なら幅5cm以下・厚さ0.5mm以上。D種接地(長さ4m以下などは省略可) |
| 金属ダクト工事 | 第162条 | 展開: 乾燥(300V以下・300V超過) 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下・300V超過) | 電線の断面積の総和はダクトの内部断面積の20%以下(制御回路等の配線のみなら50%以下)。ダクトは幅5cm超・厚さ1.2mm以上の鉄板等。支持点間3m以下(取扱者以外が出入りできない場所で垂直なら6m以下)。300V以下はD種接地、300V超過はC種接地(接触防護措置を施す場合はD種接地でよい。金属製でダクトと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く) |
| バスダクト工事 | 第163条 | 展開: 乾燥(300V以下・300V超過)、湿気・水気(300V以下) 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下・300V超過) | 支持点間3m以下(取扱者以外が出入りできない場所で垂直なら6m以下)。湿気の多い場所・水気のある場所は屋外用バスダクト。JIS C 8364(2008)に適合。300V以下はD種接地、300V超過はC種接地(接触防護措置を施す場合はD種接地でよい。金属製でダクトと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く) |
| ケーブル工事 | 第164条 | 全区分 | 電線はケーブル又は164-1表のキャブタイヤケーブル。造営材の下面・側面に沿う支持点間はケーブル2m以下(接触防護措置を施した場所で垂直なら6m以下)、キャブタイヤケーブル1m以下。重量物の圧力・機械的衝撃のおそれがある箇所は防護装置 |
| フロアダクト工事 | 第165条第1項 | 点検できない隠ぺい: 乾燥(300V以下) | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)、より線又は直径3.2mm(アルミ線4mm)以下の単線。ダクト内は分岐で容易に点検できる場合を除き接続しない。電気用品安全法の適用品又は厚さ2mm以上の鋼板製。ボックス・引出口は床面から突出させず密封。D種接地 |
| セルラダクト工事 | 第165条第2項 | 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下) 点検できない隠ぺい: 乾燥(300V以下) | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)、より線又は直径3.2mm(アルミ線4mm)以下の単線。ダクトの板厚は165-1表の値以上(最大幅150mm以下1.2mm、150mmを超え200mm以下1.4mm(日本電気技術規格委員会が承認した規格「デッキプレート」に適合するものは1.2mm)、200mmを超えるもの1.6mm)。附属品の板厚1.6mm以上。D種接地 |
| ライティングダクト工事 | 第165条第3項 | 展開: 乾燥(300V以下) 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下) | 電気用品安全法の適用品。支持点間2m以下。開口部は下向き(条件付きで横向き可)。造営材を貫通しない。D種接地(絶縁物で被覆したダクト、又は対地電圧150V以下で長さ4m以下は省略可)。地絡遮断装置(簡易接触防護措置を施す場合を除く) |
| 平形保護層工事 | 第165条第4項 | 点検できる隠ぺい: 乾燥(300V以下) | 住宅以外: 宿泊室・教室・病室・発熱線を施設した床面などには施設しない。床面又は壁面に施設し造営材を貫通しない。電線は20A用又は30A用の平形導体合成樹脂絶縁電線(アース線付き)。電路は対地電圧150V以下、定格電流30A以下の過電流遮断器で保護される分岐回路で、地絡遮断装置を施設。住宅: 日本電気技術規格委員会が承認した規格による |
※ 「使える場所」は表1の○を工事ごとにまとめ直したもの(当サイト作成)です。「展開: 乾燥(300V以下)」は、展開した場所のうち乾燥した場所で使用電圧300V以下なら○、の意味です。「主な要件」は各条の数値を中心にした抜粋で、すべての要件ではありません。施工の際は各条の全文を確認してください。
表3: 施設場所の用語の定義 — 電技解釈 第1条
| 用語 | 定義(第1条の条文) |
|---|---|
| 展開した場所(第三十一号) | 点検できない隠ぺい場所及び点検できる隠ぺい場所以外の場所 |
| 点検できる隠ぺい場所(第三十号) | 点検口がある天井裏、戸棚又は押入れ等、容易に電気設備に接近し、又は電気設備を点検できる隠ぺい場所 |
| 点検できない隠ぺい場所(第二十九号) | 天井ふところ、壁内又はコンクリート床内等、工作物を破壊しなければ電気設備に接近し、又は電気設備を点検できない場所 |
| 乾燥した場所(第二十八号) | 湿気の多い場所及び水気のある場所以外の場所 |
| 湿気の多い場所(第二十七号) | 水蒸気が充満する場所又は湿度が著しく高い場所 |
| 水気のある場所(第二十六号) | 水を扱う場所若しくは雨露にさらされる場所その他水滴が飛散する場所、又は常時水が漏出し若しくは結露する場所 |
| 使用電圧(公称電圧)(第一号) | 電路を代表する線間電圧 |
使い方・選び方のポイント
- 場所を3つに分ける — 配線が見えている(展開した場所)か、点検口から近づける隠ぺい場所か、壊さないと近づけない隠ぺい場所か(表3)。
- 乾燥か、湿気・水気か — 水を扱う場所や雨露にさらされる場所などの水滴が飛散する場所と、常時水が漏出し又は結露する場所が「水気のある場所」、水蒸気が充満する場所や湿度が著しく高い場所が「湿気の多い場所」です(第1条第二十六号・第二十七号)。
- 使用電圧は線間電圧で判断 — 単相100V・200V、三相200Vの回路は300V以下、400V級の回路は300V超過の行を見ます。
- 表1の行で○の工事を選び、表2の条文の要件を満たす — 表1で使える工事でも、電線の種類・管の厚さ・接地などの要件が別にあります。
間違えやすいポイント
- 天井裏はすべて「点検できる隠ぺい場所」だと思う — 点検できる隠ぺい場所は点検口がある天井裏などです。天井ふところや壁内は「点検できない隠ぺい場所」の例として条文に挙がっており、がいし引き工事・金属ダクト工事・バスダクト工事などは使えません。
- ケーブル工事ならどのケーブルでもよいと思う — 164-1表で、2種キャブタイヤケーブル類・ビニルキャブタイヤケーブル・耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブルは、使用電圧300V以下を展開した場所又は点検できる隠ぺい場所に施設する場合だけ使えます。
- 屋外や建物の外壁の配線にこの表を使う — 低圧の屋側配線・屋外配線は第166条の166-1表で、屋内配線の156-1表とは別です。
- 300V超過の行を見落とす — 400V級の回路では、金属線ぴ・フロアダクト・セルラダクト・ライティングダクト・平形保護層の各工事はどの場所でも使えません。
場所と電圧で工事が変わる理由
電技省令 第56条第1項は「配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない」と定めています。156-1表はこれを具体化したもので、点検できない隠ぺい場所や湿気・水気のある場所、300Vを超える電圧ほど使える工事が少なくなります。どの区分でも使えるのは、電線を管に収める3つの工事(合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管)とケーブル工事です。
よくある質問
Q1. 点検できない隠ぺい場所で使える工事は?
A. 乾燥した場所の300V以下なら合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル・フロアダクト・セルラダクトの各工事、300V超過と湿気・水気の場所は合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの各工事です。
Q2. 展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所の違いは?
A. 点検口がある天井裏・押入れなどが点検できる隠ぺい場所、天井ふところ・壁内・コンクリート床内などが点検できない隠ぺい場所、それ以外が展開した場所です(第1条)。
Q3. 湿気の多い場所や水気のある場所で使える工事は?
A. 展開した場所の300V以下はがいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・バスダクト・ケーブル、300V超過はがいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル、点検できる隠ぺい場所はがいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル、点検できない隠ぺい場所は合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブルの各工事です(156-1表)。
Q4. 300Vを超える低圧屋内配線で使えない工事は?
A. 金属線ぴ・フロアダクト・セルラダクト・ライティングダクト・平形保護層の各工事です(156-1表の300V超過の欄に○がない)。
Q5. 使用電圧300V以下かどうかは何で判断する?
A. 線間電圧で判断します(第1条第一号)。200V回路は300V以下、400V級は300V超過です。
Q6. ライティングダクト工事の条件は?
A. 乾燥した展開した場所・点検できる隠ぺい場所の300V以下だけで、支持点間2m以下、開口部は下向き、造営材を貫通しない、などの要件があります(第165条第3項)。
Q7. 高圧の屋内配線はどの工事で施設する?
A. がいし引き工事(乾燥した展開した場所に限る)かケーブル工事です(第168条)。
関連する早見表
出典・参考
- 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省、最終改正 令和7年11月20日 20251104保局第2号) — 第1条第一号・第二十六号〜第三十一号(用語の定義)、第156条(156-1表 低圧屋内配線の施設場所による工事の種類)、第157条〜第165条(各工事、164-1表・165-1表)、第166条、第168条第1項、第172条第1項、第175条〜第178条 — 経済産業省公開PDFで確認
- 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号) 第56条第1項(配線の感電又は火災の防止) — e-Gov法令検索の現行条文(令和4年経済産業省令第96号による改正、2023年3月20日施行)で確認
※ 本ページの数値は2026年10月時点で確認した出典(電技解釈は令和7年11月20日改正版)にもとづきます。改正されることがあるため、最新の原典を確認してください。
※ 表1は156-1表の転記で、PDFの表の○の位置を機械的に読み取った結果とも全セル照合しています。表2の「使える場所」は表1から当サイトがまとめ直したもの、「主な要件」は条文の抜粋です。数値の丸めはしていません。
※ 本ページは条文を引くための早見表です。配線工事の方法の判断は、原典(電技省令・電技解釈)の全文を確認し、電気工事士・電気主任技術者などの有資格者のもとで行ってください。
※ 本ページの表・数値は、上記の出典をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関・団体が作成したものではありません。
最終更新: 2026-10-07