WBGT基準値 早見表(身体作業強度・暑熱順化・着衣補正値)
WBGT基準値は、暑熱順化者で安静33℃〜極高代謝率25℃、暑熱非順化者で32℃〜20℃です(厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」表1-1。2026年3月策定)。実測したWBGT値に着衣補正値を加えて比べます。WBGT 28度以上又は気温31度以上の場所で継続1時間以上又は1日4時間を超える見込みの作業は、安衛則 第612条の2の報告体制・手順の整備の対象です。2026年10月時点の資料で確認しています。
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このページについて
厚生労働省の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(2026年3月18日策定)のWBGT基準値・着衣補正値・休憩時間の目安と、労働安全衛生規則 第612条の2(熱中症の報告体制・手順の整備。2025年6月1日施行)の対象となる作業の条件をまとめました。旧「職場における熱中症予防基本対策要綱」(令和3年 基発0420第3号)は2026年3月18日に廃止され、このガイドラインに置き換わっています。
表1: 身体作業強度・暑熱順化の状況に応じたWBGT基準値(℃)
| 区分(代謝率レベル) | 作業の例(要約) | 暑熱順化者 | 暑熱非順化者 |
|---|---|---|---|
| 0 安静 | 安静、楽な座位 | 33 | 32 |
| 1 低代謝率 | 書く・タイピングなどの軽い手作業、小さい工具を使う作業・点検・組立て・軽い材料の区分け、通常の状態での乗り物の運転やペダル操作、小さい部品のドリル・フライス盤作業、時速2.5km以下の歩行 | 30 | 29 |
| 2 中程度代謝率 | 釘打ち・盛土、トラックのオフロード運転・トラクターや建設車両の運転、空気圧ハンマー作業、しっくい塗り、中くらいの重さの材料を断続的に持つ作業、草むしり・収穫、軽い荷車の押し引き、時速2.5〜5.5kmの歩行、鍛造 | 28 | 26 |
| 3 高代謝率 | 重量物の運搬、ショベル・ハンマー・のこぎり作業、硬い木のかんな掛け・のみ作業、草刈り、掘る、時速5.5〜7kmの歩行、重い荷車の押し引き、鋳物を削る、コンクリートブロック積み | 26 | 23 |
| 4 極高代謝率 | 最大速度でのとても激しい活動、おのを振るう、激しくシャベルで掘る、階段を昇る、走る、時速7km以上の歩行 | 25 | 20 |
※ ガイドラインの表1-1の値です(JIS Z 8504 附属書Aの基準値を、代謝率レベルごとの具体的な作業の例に置き換えたもの)。作業の例は当サイトの要約で、全部はガイドラインを確認してください。暑熱順化者は、評価する時点の1週間以上前から、働く時間を通して同じような(又はより厳しい)高温の条件にさらされてきた人です(注2の趣旨)。比べるのは実測したWBGT値に着衣補正値(表2)を加えた値です。基準値を超えない場合でも、基準値が前提とする条件に当てはまらないときなど熱中症リスクがあるときは、超える場合と同様の対策が望ましいとされています。
表2: 着衣補正値(WBGT値に加える値 ℃-WBGT)
| 衣類の組合せ | 加える値 |
|---|---|
| 作業服(織物製。基準の組合せ) | 0 |
| つなぎ服(表面加工された綿を含む織物製) | 0 |
| 単層のポリオレフィン不織布製つなぎ服 | 2 |
| 単層のSMS不織布製のつなぎ服 | 0 |
| 織物の衣服を二重に着用(作業服の上につなぎ服など) | 3 |
| つなぎ服の上に長袖ロング丈の不透湿性エプロン | 4 |
| フードなしの単層の不透湿つなぎ服 | 10 |
| フードつき単層の不透湿つなぎ服 | 11 |
| 服の上に着たフードなし不透湿性のつなぎ服 | 12 |
| フード(フードなしの組合せの値に加算) | +1 |
※ ガイドラインの表1-2の値です。フードは、フードなしの組合せの値にさらに1を加えます。透湿抵抗が高い衣服の値は相対湿度によって変わり、表は起こりうる最も高い値です。不透湿つなぎ服の実際の効果は環境の湿度に左右され、多くの場合もっと小さくなります。
表3: WBGT基準値を超えたときの休憩時間の目安(1時間当たり)
| 着衣補正後のWBGT値の基準値からの超過 | 休憩時間の目安 |
|---|---|
| 1℃程度超過 | 15分以上 |
| 2℃程度超過 | 30分以上 |
| 3℃程度超過 | 45分以上 |
| 3℃程度を超えてそれ以上 | 作業中止が望ましい |
※ ガイドラインの表1-1の注3です。暑熱順化した作業者で、身体を冷却する服を着ていないなど特段の対策をしていない場合の目安です(ACGIHの許容限界値(TLV)をもとに算出)。暑熱順化していない作業者は、これより長い休憩などが望ましいとされています。身体を冷却する服の着用などで深部体温の上昇を抑えられる場合は、知見を踏まえて休憩を短くしたり、作業中止の水準を高くしたりできるとされています(注4)。基準値を大幅に超える場合は、原則として作業を行わないこととされています(第3の3(1))。
表4: 安衛則 第612条の2 の対象となる作業(熱中症を生ずるおそれのある作業)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 暑熱な場所 | WBGT 28度以上 又は 気温 31度以上の場所。出張先、複数の場所を移動して作業する場合、作業場所間の移動時なども含む |
| 対象の作業 | その場所で継続して1時間以上 又は 1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業。非定常作業・臨時の作業も、条件を満たす見込みなら対象 |
| 当てはまるかの判断 | 原則として作業場所でWBGT又は気温を実測。通風のよい屋外作業などは、天気予報や環境省の熱中症予防情報サイトなどで判断してもよい |
| 事業者の義務(第1項) | 熱中症の自覚症状がある人や、熱中症が疑われる人を見つけた人が報告する体制を整備し、作業従事者に周知 |
| 事業者の義務(第2項) | 作業場ごとに、作業からの離脱・身体の冷却・必要に応じた医師の診察や処置など、症状の悪化を防ぐ措置の内容と手順を定め、作業従事者に周知 |
| 対象の人 | 労働者だけでなく、同じ場所で作業する労働者以外の人も含む。混在作業では元方事業者・関係請負人のいずれにも措置義務 |
※ 条件は施行通達(令和7年5月20日 基発0520第6号 第3の1)によります。第612条の2は令和7年厚生労働省令第57号で新設(2025年6月1日施行)され、令和8年厚生労働省令第3号で「作業従事者」の語に改められました(2026年4月1日施行)。対象に当たらない作業でも、作業強度や着衣によってはリスクが高まるため、改正に準じた対応に努めることとされています。熱中症が疑われるときは、WBGT値や作業時間にかかわらず手順に沿って対処することが重要です。
表5: WBGTの算出式と計算例
| 場面(環境省) | 式(単位はすべて℃) | 計算例 |
|---|---|---|
| 屋外 | WBGT = 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度 | 湿球24・黒球40・乾球32 → 28.0 |
| 屋内 | WBGT = 0.7×湿球温度 + 0.3×黒球温度 | 湿球23・黒球30 → 25.1 |
※ 式と「屋外」「屋内」の区分は環境省 熱中症予防情報サイトの説明によります。廃止された旧要綱では、区分が日射がある場合(0.7・0.2・0.1の式)と日射がない場合(0.7・0.3の式)で、係数は同じでした。どちらの式を使うかは資料によって分け方が違うため、職場では指数計による実測が基本です。湿球温度は水で湿らせたガーゼを巻いた温度計の値(自然湿球温度)、黒球温度は直径約15cmの黒い銅の球の中心の温度、乾球温度は気温です。計算例は当サイトによるものです。ガイドラインは、JIS Z 8504 又は JIS B 7922 に適合したWBGT指数計を準備・点検し、実測することを基本としています(黒球のない測定器では屋外や輻射熱のある屋内で正しく測れない場合がある)。直射日光下、炉などの熱源の近く、冷房がなく風通しの悪い屋内では、地域の参考値が実測より低めになることがあるため実測が必要とされています。
使い方
- WBGT値を測る — 作業場所で指数計により実測します(表5)。
- 着衣補正値を加える — 衣類の組合せの値(表2)を足します。
- 基準値と比べる — 作業の区分と暑熱順化の有無から表1の基準値を引き、超える(おそれがある)ならWBGT値の低減・作業の変更などを行い、休憩は表3を目安にします。
- 安衛則の対象か確かめる — WBGT 28度以上又は気温31度以上で、継続1時間以上又は1日4時間超なら、報告体制と手順を整えて周知します(表4)。
例: 屋外で WBGT 28.0(表5の例)、作業服の上につなぎ服(+3) → 31.0。中程度代謝率の暑熱順化者の基準値 28 を 3℃超えるので、休憩は1時間当たり45分以上が目安です。WBGTが28度以上なので、継続1時間以上又は1日4時間を超える見込みなら安衛則 第612条の2 の対象です。
※ 本ページはガイドライン・通達・条文の数値を引くための早見表で、要約は当サイトの整理です。作業の可否・休憩・緊急時の対応など安全の判断は、原典と産業医・衛生管理者などの確認のうえで行ってください。体調の異変があれば、数値にかかわらず作業から離し、身体を冷やし、必要に応じて救急隊を要請してください。
関係する条文(労働安全衛生規則)
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第606条 | 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場で有害のおそれがあるものは、冷房・通風など温湿度調節の措置(熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる屋内作業場を含む(施行通達)) |
| 第607条 | 第587条の暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場(溶鉱炉・加熱炉・鋳込み・冷凍庫内など)で、半月以内ごとに1回、気温・湿度・ふく射熱(ふく射熱は同条第1号〜第8号の作業場)を測定。測定機器は0.5度目盛のアスマン通風乾湿計・黒球寒暖計又は同等以上のもの(作業環境測定基準 第3条) |
| 第612条の2 | 熱中症を生ずるおそれのある作業の報告体制・措置の手順の整備と周知(表4) |
| 第614条 | 著しく暑熱・多湿の作業場などでは、作業場外に休憩の設備を設ける(坑内などやむを得ない場合を除く) |
| 第617条 | 多量の発汗を伴う作業場では、塩と飲料水を備える |
WBGTと暑熱順化
WBGT(湿球黒球温度)は、気温に加えて湿度(湿球温度)と日射・輻射熱(黒球温度)を取り入れた暑さの指数です。同じ気温でも湿度が高いと汗が蒸発しにくく、日射があると体に入る熱が増えるため、WBGTが高くなります。体が暑さに慣れる暑熱順化には7日以上かけて負荷を増やすことが挙げられ、暑さから離れると4日後には顕著に失われ始め、3〜4週間で完全に失われるとされています(ガイドライン)。新規入職者や長期間その作業から離れていた人は通常は順化していないので、表1の非順化者の値が当てはまります。
よくある質問
Q1. WBGT基準値は何度?
A. 暑熱順化者は33・30・28・26・25℃、非順化者は32・29・26・23・20℃(安静〜極高代謝率)です(ガイドライン表1-1)。着衣補正値を加えたWBGT値と比べます。
Q2. 暑熱順化者とは?非順化者の基準値はなぜ低い?
A. 評価の1週間以上前から同じような高温の条件で働いてきた人です。順化には7日以上かけて負荷を増やす方法が挙げられ、ばく露が途切れると4日後から失われ始めます。新規入職者や長期間その作業から離れていた人は通常は順化していないので、非順化者の基準値が当てはまります。
Q3. 着衣補正値とは?
A. 衣類によってWBGT値に加える値です。作業服0、二重着用3、不透湿つなぎ服10(フードつき11)など(表2)。
Q4. 安衛則の熱中症対策の義務はどんな作業が対象?
A. WBGT 28度以上又は気温31度以上の場所で継続1時間以上又は1日4時間超見込まれる作業です(施行通達)。報告体制と手順を整えて周知します(安衛則第612条の2)。
Q5. WBGTの計算式は?
A. 屋外は0.7×湿球+0.2×黒球+0.1×乾球、屋内は0.7×湿球+0.3×黒球です(表5)。
Q6. WBGT基準値を超えたらどうする?
A. WBGT値の低減や作業の変更に努め、休憩は1℃程度超過で15分以上・2℃程度で30分以上・3℃程度で45分以上(1時間当たり)が目安です。大幅に超えるなら原則作業を行いません。
Q7. 熱中症予防基本対策要綱はどうなった?
A. 2026年3月18日に廃止され、「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に置き換わりました。WBGT基準値・着衣補正値の数値は同じです。
関連する早見表
出典・参考
- 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(2026年3月18日策定) — 表1-1(WBGT基準値・注1〜注4)・表1-2(着衣補正値)・第2の2・第3の1(3)・第3の3(1)(2) — 厚生労働省(PDF)、報道発表(2026年10月29日取得)
- 厚生労働省 通達 — 令和8年3月18日 基発0318第1号「「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」の策定について」(策定と旧基本対策要綱の廃止。通達の件名・本文は「熱中症防止対策のためのガイドライン」で、PDFの題名と1語違う)、令和7年5月20日 基発0520第6号(安衛則改正の施行通達。第3の1(1)イ・ウ、第3の2(1)。別紙1の旧要綱の式①②・表1-1・表1-2) — 厚生労働省 法令等データベースサービス(0318第1号・0520第6号。2026年10月29日取得)
- 労働安全衛生規則 第587条・第606条・第607条・第612条の2・第614条・第617条 — e-Gov法令検索の現行条文(令和8年厚生労働省令第116号による改正、2026年10月1日施行)。第612条の2は令和7年厚生労働省令第57号(2025年6月1日施行)・令和8年厚生労働省令第3号(2026年4月1日施行)の版も確認
- 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号) 第3条 — 厚生労働省 法令等データベースサービス(2026年10月29日取得)
- 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)の詳しい説明」(算出式・測定装置の説明) — www.wbgt.env.go.jp(2026年10月29日取得)
※ 本ページの数値は2026年10月時点で確認した出典にもとづきます。2028年4月1日施行の公布済みの改正を反映した条文でも、本ページで使う条の文言は変わりません。ガイドライン・通達・条文は改正されることがあるため、最新の原典を確認してください。
※ 表1〜表3はガイドラインの数値の転記(作業の例は要約)、表4と関係条文の表は施行通達・条文の要約、表5の計算例は当サイトの計算です。
※ 作業の可否・休憩・緊急時の対応など安全の判断は、原典と産業医・衛生管理者などの確認のうえで行ってください。
※ 本ページの表・数値は、上記の出典をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関・団体が作成したものではありません。
最終更新: 2026-10-29