IP保護等級 早見表(IP00〜IP69K / 完全対応)・計算ツール
IP保護等級の第1数字(固体異物 0-6)・第2数字(液体 0-9K)・追加文字(A/B/C/D/f/H/M/S/W)の意味、よく使われる組み合わせの解説、用途別の必要等級目安(屋外・厨房・水中等)を収録。JIS C 0920 / IEC 60529 準拠。
このページについて
IP保護等級(IP Rating)は電気機器の外郭(筐体)が、固体異物および水の侵入をどの程度防げるかを示す国際規格(IEC 60529 / JIS C 0920)です。本ページではIP00から最高ランクのIP69Kまで全等級の意味、第1数字(0〜6)・第2数字(0〜9K)・追加文字(A/B/C/D/f/H/M/S/W)を完全網羅し、用途別の推奨等級も用意しました。
機械設計者・電気設計者・購買担当者・施工管理者・防犯カメラやIoT機器の選定担当者まで、「この機器を屋外に設置しても大丈夫か」「水中作業に耐えられるか」「食品工場の洗浄環境で使えるか」といった選定判断に直結する情報をまとめています。スマートフォン購入時の防水性能比較にも使えます。
IP等級の数字は単独でも独立した意味を持つため、IP67とIP65は単純比較できません。
- IP67は「噴流水試験はしていない」「水没はOK」という意味になります
- 本ページの「IP65とIP67の関係」FAQと「用途別 必要IP等級」を併せてご覧ください
米国輸出時に必要となるNEMA規格との対応関係も収録しています。
IPコード 解読ツール
補足
JIS C 0920 / IEC 60529準拠。X=未試験・未指定。第1と第2数字は独立した試験のため例えばIP67はIP65の上位ではありません(試験内容が異なります)。
検索結果
上の欄にIPコードを入力してください。
IP等級の読み方
- 第1数字: 固体(異物・人体)侵入の保護 0〜6
- 第2数字: 水(液体)侵入の保護 0〜9(9Kは高温高圧ジェット水)
- 追加文字(任意): A/B/C/D=人体接近保護, f/H/M/S/W=付加情報
- X: 該当数字が未試験・未指定(例: IPX7, IP6X)
第1数字(固体・異物侵入保護)
| 数字 | 保護内容 | 試験異物 |
|---|---|---|
| 0 | 保護なし | - |
| 1 | 直径50mm以上の固体侵入に対して保護 | 手の甲(Ø50mm球) |
| 2 | 直径12.5mm以上に対して保護 | 指(Ø12.5mm球) |
| 3 | 直径2.5mm以上に対して保護 | 工具(Ø2.5mm) |
| 4 | 直径1mm以上に対して保護 | 針金(Ø1mm) |
| 5 | 防塵形 (粉塵侵入を完全には阻止しないが機能に影響しない量まで) | タルク粉末 |
| 6 | 完全防塵 (Dust-tight) | タルク粉末 |
第2数字(液体・水侵入保護)
| 数字 | 保護内容 | 試験条件 |
|---|---|---|
| 0 | 保護なし | - |
| 1 | 鉛直落下する水滴 | 1mm/min, 10分 |
| 2 | 15°傾斜時の鉛直落下水滴 | 3mm/min, 10分 |
| 3 | 散水(60°以内) | 10L/min, 5分 |
| 4 | 飛沫水(全方向) | 10L/min, 5分 |
| 5 | 噴流水(6.3mmノズル) | 12.5L/min, 3m距離 |
| 6 | 強い噴流水(12.5mmノズル) | 100L/min, 3m距離 |
| 7 | 一時水没 (15cm-1m深, 30分) | 常温清水 |
| 8 | 継続水没 (メーカー指定) | 通常7より厳しい条件 |
| 9K | 高温高圧ジェット水 | 80℃・80-100bar・0.1-0.15m距離 |
よく使われるIPコード一覧(全13組)
| IPコード | 固体防護 | 液体防護 | 用途 |
|---|---|---|---|
| IP00 | 保護なし | 保護なし | 屋内乾燥・筐体無し機器 |
| IP10 | 50mm以上(手の甲) | 保護なし | 屋内・大きな異物のみ防ぐ |
| IP20 | 12.5mm以上(指) | 保護なし | 一般屋内機器・コンセント |
| IP30 | 2.5mm以上(工具) | 保護なし | 制御盤屋内 |
| IP40 | 1mm以上(針金) | 保護なし | 屋内・微小異物防止 |
| IP44 | 1mm以上 | 全方向飛沫水 | 浴室・屋内湿気場所・屋外軒下 |
| IP54 | 防塵形(少量侵入許容) | 飛沫水 | 屋外・倉庫・工場設備 |
| IP55 | 防塵形 | 噴流水(ノズル) | 屋外設置機器・カメラ |
| IP65 | 完全防塵 | 噴流水 | 屋外設置・防犯カメラ・LED照明屋外 |
| IP66 | 完全防塵 | 強い噴流水 | 船舶・厨房・洗浄環境機器 |
| IP67 | 完全防塵 | 一時水没(15cm-1m, 30分) | スマートフォン・アウトドア機器・港湾設備 |
| IP68 | 完全防塵 | 継続水没(メーカー指定深度・時間) | 水中作業機器・潜水器・水中照明 |
| IP69K | 完全防塵 | 高温高圧ジェット水(80℃, 80-100bar) | 食品工場・洗浄機・車両洗車場 |
追加文字の意味
人体接近保護(A〜D)
| 記号 | 保護 | 試験 |
|---|---|---|
| A | 手の甲 | Ø50mm球, 接触不可 |
| B | 指 | Ø12mm×80mm試験棒, 充電部に届かない |
| C | 工具 | Ø2.5mm×100mm試験棒 |
| D | 針金 | Ø1mm×100mm試験棒 |
付加情報(f/H/M/S/W)
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| f | オイル耐性 (oil-resistant) |
| H | 高圧機器 (High voltage) |
| M | 動作中の試験結果 (Motion during test) |
| S | 静止中の試験結果 (Stationary during test) |
| W | 耐候形 (Weatherproof) |
用途別 必要IP等級の目安
| 用途・設置場所 | 推奨等級 | 理由 |
|---|---|---|
| 屋内一般(オフィス・住宅) | IP20〜IP30 | 指接触防止のみ |
| 屋内湿気場所(脱衣所・洗面所) | IP24〜IP44 | 飛沫水想定 |
| 浴室内(防湿器具) | IP44〜IP65 | 浴槽内ゾーン分類で異なる |
| キッチン・厨房機器 | IP54〜IP66 | 水飛散・洗浄対応 |
| 屋外(軒下・庇下) | IP44以上 | 飛沫雨対応 |
| 屋外(露出) | IP55以上 | 強い雨・砂塵対応 |
| 防犯カメラ(屋外) | IP66〜IP67 | 台風・豪雨想定 |
| 工場機械 | IP54〜IP66 | 粉塵・切削油飛散 |
| スマートフォン(耐水) | IP67〜IP68 | 一時水没・プール水没想定 |
| 水中照明・水中機器 | IP68 | 継続水没 |
| 食品工場洗浄機器 | IP69K | 高温高圧水洗浄 |
| 車両外装部品・車載 | IP6K9K | 車両振動+洗車対応 |
| プール・サウナ機器 | IP65〜IP68 | 水没・塩素環境 |
関連規格との対応
| 規格 | 内容 |
|---|---|
| JIS C 0920 | 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード) |
| IEC 60529 | 国際規格、JIS C 0920の原規格 |
| JEM 1030 | 電気機器の防塵防水分類(古い分類、防まつ形/防雨形等) |
| NEMA (米国) | Type 1/3/3R/4/4X/6/6P/12/13など、IPとは別体系 |
旧JIS(JEM 1030)の分類: IPX0=保護なし, IPX4=防まつ形, IPX5=防噴流形, IPX7=防浸形 の対応。
IP等級の数字が示す試験の意味
IPコードは、実際の試験で確認した防塵・防水性能を表します。
- 第1数字: 固形物(指のような大きなものから粉塵まで)の侵入に対する保護を、規定の試験条件で段階化したもの
- 第2数字: 水(滴下・噴流・水没など)に対する保護を、規定の試験条件で段階化したもの
たとえばIP67(一時的な水没)とIP68(継続的な水没)は、試験で想定する水深や時間が異なります。「防滴」と「防水」も、試験の厳しさが違うことを表しており、言葉の印象だけで判断しないことが大切です。
したがって、設置環境の実際の条件(粉塵の量、水のかかり方)に対して、必要十分な等級を選ぶことが重要です。過剰な等級は不要なコストを招き、不足は故障の原因になります。
使い方・選び方のポイント
使用場面
電気機器や筐体の防塵・防水性能の選定と表記確認、屋外や水回りで使う機器の仕様決定に使います。
よくある間違い
IPコードの第1数字(防塵)と第2数字(防水)の取り違えが代表的です。IP67とIP68(一時的な水没/継続的な水没)の混同や、防水と防滴を同一視する誤りにも注意します。
選び方のコツ
- 設置環境の粉塵・水の条件を把握
- 第1数字=防塵(0〜6)、第2数字=防水(0〜9)で読む
- 屋外はIP54以上、水洗い環境はIP65以上、水没の可能性があればIP67/68
- 防塵防水を両立するならIP65以上が目安
よくある質問
Q1. IP00とは?保護なしで意味はある?
A. IP00は固体防護0・液体防護0で「外郭による保護なし」を意味します。
- 屋内の制御盤内部や金属筐体に収める前提の機器が対象です
- わざわざIP00と表記するのは、規格適合の手続き上、保護等級を明記する必要があるためです
むき出しでの使用はできません。
Q2. IP67とIP68の違いは?
A. IP67は規格固定条件の一時水没、IP68はメーカー指定条件の継続水没に耐えることを示します。
- IP67: 水深15cm-1mで30分の一時水没に耐える(常温清水・規格固定条件)
- IP68: メーカー指定の深さ・時間での継続水没に耐える(規格上限なし、通常はIP67より厳しい条件)
スマホでよく見る『水深1.5mで30分』『水深6mで30分』はIP68のメーカー指定値です。
Q3. IP69Kとは?
A. 80℃・80-100barの高温高圧ジェット水洗浄に耐える等級です。
- 食品工場・洗車場・医療機器の洗浄用途で要求されます
一般的なIP6X等級では考慮されない『熱湯+高圧』への耐性が必要なケースです。
Q4. IPXとIP0Xは同じ?
A. 違います。Xと0では意味が異なります。
- IPX5: 固体防護が未試験(数字はX)・液体防護5
- IP05: 固体防護0(なし)・液体防護5
- Xは『未試験・未指定』を意味し、IP00は『試験して保護なしと確認済』を意味します
設計上は明確に区別する必要があります。
Q5. IP65とIP67の関係は?
A. 階層は独立しており、IP65とIP67は試験内容が異なります。
- IP65: 噴流水OKですが、水没試験はしていない
- IP67: 水没OKですが、噴流水試験は別物
- 両方の保護が必要ならIP65/IP67併記または実機試験が必要になります
両方記載されている製品は両方の試験に合格しています。
Q6. スマホの「耐水」は保証されない?
A. IP67/IP68は『一時的な水侵入を防ぐ』だけで、メーカー保証は通常『水濡れによる故障は対象外』です。
- 温水・海水・洗剤入り水・サウナでは性能が低下します
- 経年劣化(パッキン劣化)でも性能が低下します
表示があってもプール・温泉での使用は推奨されません。
Q7. IPコードとNEMA規格の対応は?
A. 概略の対応関係はありますが、NEMAは耐食性・氷結等の追加試験項目があり完全互換ではありません。
- NEMA 1≒IP10/IP20、NEMA 2≒IP21
- NEMA 3/3R≒IP54、NEMA 4/4X≒IP66
- NEMA 6/6P≒IP67、NEMA 12/13≒IP54〜IP65
米国向け輸出時は両規格の確認が必要です。
Q8. 防塵5と6の違いは?
A. 5は『防塵形』、6は『完全防塵(Dust-tight)』で、粉塵侵入の許容度が異なります。
- 5(防塵形): 粉塵の侵入を完全には阻止しないが、機能に影響しない量まで(僅かな侵入は許容)
- 6(完全防塵): 粉塵が一切侵入しません
- 屋外設備や粉塵環境下では6が推奨されます
6が必要な現場でも実装難易度・コストのため5で十分なケースもあります。
Q9. 屋外設置のLED照明はIP何が必要?
A. 設置形態によって必要等級が変わり、IP44〜IP66以上が目安です。
- 軒下・庇下: IP44以上(飛沫雨対応)
- 完全露出: IP65以上(防塵+噴流水)
- 街路灯・ソーラー一体型: IP65〜IP66が標準
台風・豪雨頻発地域や海岸近く(塩害)ではIP66以上を推奨します。
Q10. 車載用のIP6K9Kとは?
A. ISO 20653で規定される車両用IP等級です。
- 第1数字に『K』が付くと粉塵試験条件が強化されます(振動・気流追加)
- 第2数字の9Kは前述の高温高圧ジェット水洗浄への対応を示します
エンジンルーム内機器・車外センサ等で要求されます。
Q11. IPX5とIPX7はどちらが上?
A. 単純な上下関係はありません。IPX5は噴流水(水流)、IPX7は一時水没(浸漬)と試験の軸が異なります。
- IPX5: 6.3mmノズル・12.5L/minの噴流水に耐える(水流試験)
- IPX7: 水深15cm-1mで30分の一時水没に耐える(浸漬試験)
- IPX7でも噴流水試験は行っていないため、雨や水しぶきが強く当たる用途ではIPX5/IPX6の確認が必要です
両方の耐性が必要なら『IPX5/IPX7』のように併記された製品を選びます。
Q12. IP65とIP67の選び分けは?
A. 水のかかり方で選びます。水流(雨・洗浄水)が主ならIP65、水没の可能性があるならIP67です。
- IP65: 屋外設置・防犯カメラ・LED照明など、噴流水はかかるが水没しない環境
- IP67: 冠水・水たまりへの落下など、一時水没(水深15cm-1m・30分)が想定される環境
- IP67は噴流水試験をしていないため、高圧洗浄がある環境ではIP65/IP66側の等級確認が必要です
両方の条件が重なる環境では、IP65/IP67併記の製品または実機試験での確認が必要です。
関連する早見表
出典・参考
JIS C 0920:2003(電気機械器具の外郭による保護等級), IEC 60529:2013, JEM 1030(旧分類), NEMA 250(米国対応規格), ISO 20653(車両用IP6K9K)
参考: 日本電機工業会等の公開資料、および各機器メーカーの公開技術資料。
最終更新: 2026-07-04