図面の線種・尺度早見表|実線・破線・一点鎖線の使い分けと推奨尺度(JIS)
図面は線の描き分けだけで「見える・見えない・中心・想像」を語る言語です。このページは「この線は何?」を形から逆引きする対照表——破線=かくれ線、細い一点鎖線=中心線、二点鎖線=想像線。重なったときの優先順位と、尺度の推奨系列・図面の折り方まで。
📐 線種 逆引きボックス
このページについて
製図の線は「太さ2種類×形4種類」の組み合わせでほぼ説明できます。形は実線・破線・一点鎖線・二点鎖線の4つ(JIS Z 8312)、それぞれに役割が割り当てられているのが線種の体系(機械製図はJIS B 0001)です。図面を「読む」側は形→意味の逆引きができれば十分——このページはその順で並べています。寸法公差は公差・はめあい、幾何公差の記号は幾何公差記号、粗さ記号は表面粗さが姉妹ページです。
表1: 線の形から引く線種と用途
| 線の見た目 | 種類 | 名称 | 用途 |
|---|---|---|---|
| ━━━━(太) | 太い実線 | 外形線 | 見える部分の形状 |
| ────(細) | 細い実線 | 寸法線・寸法補助線・引出線 | 寸法の記入・注記の引き出し |
| ────(細・斜め並び) | 細い実線 | ハッチング | 断面であることの表示 |
| - - - - | 破線(細/太) | かくれ線 | 見えない部分の形状 |
| -・-・-(細) | 細い一点鎖線 | 中心線・基準線・ピッチ線 | 穴・軸の中心、対称軸、繰返しの基準 |
| -・-・-(太) | 太い一点鎖線 | 特殊指定線 | 表面処理など特別な要求の範囲指定 |
| -・・-・・(細) | 細い二点鎖線 | 想像線・重心線 | 可動部の移動位置・加工前形状・隣接部品 |
| 〜〜〜(不規則) / ジグザグ | 細い実線(波形/ジグザグ) | 破断線 | 部分的に取り除いた境界・中間省略 |
| -・-・- 端部太 | 一点鎖線(端部・屈曲部を太く) | 切断線 | 断面図の切断位置の表示 |
※ JIS Z 8312(線の基本原則)・JIS B 0001(機械製図)の体系による。線の太さは「太:細=2:1程度」の2系列を使うのが基本です。
表2: 線が重なったときの優先順位
| 優先 | 線種 |
|---|---|
| 1(最優先) | 外形線 |
| 2 | かくれ線 |
| 3 | 切断線 |
| 4 | 中心線 |
| 5 | 重心線 |
| 6 | 寸法補助線 |
※ 同じ位置に2種類の線が重なる場合、上位の線だけを描きます。「あるはずの中心線が消えている」のは外形線・かくれ線に譲っているためです。
表3: 推奨尺度の系列(JIS Z 8314)
| 区分 | 推奨尺度 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 現尺 | 1:1 | 実物大。機械部品の基本 |
| 縮尺 | 1:2・1:5・1:10・1:20・1:50・1:100・1:200・1:500・1:1000… | 大きい対象(装置・建築・土木)。1・2・5系列×10の累乗 |
| 倍尺 | 2:1・5:1・10:1・20:1・50:1 | 小さい対象(精密部品・電子部品) |
※ 尺度はA:Bで表し、A=図面上の長さ、B=実物の長さ。「SCALE 1:2」なら実物の半分の大きさで描かれています。表題欄の尺度と異なる図には個別に尺度を付記します。
図面サイズと折り方の基本
| サイズ | 寸法(mm) | 折り方の原則 |
|---|---|---|
| A0 | 841 × 1189 | 大きい図面はA4(210×297)に折りたたむ。 表題欄(図番・図名)が折った表側の右下に出るように折り、綴じたまま図番を確認できるようにする |
| A1 | 594 × 841 | |
| A2 | 420 × 594 | |
| A3 | 297 × 420 | |
| A4 | 210 × 297 |
※ 図面様式はJIS Z 8311。具体的な折り手順(蛇腹折り+直角折りの組合せ)は綴じ方(パンチ穴・製本)により数パターンあり、社内標準がある場合はそちらに従ってください。
よくある間違い
- 一点鎖線と二点鎖線の取り違え — 一点=中心(実在の基準)、二点=想像(実在しない参考)。点の数と役割をセットで。
- 図面にスケールを当てて寸法を拾う — 寸法値が正。紙は伸縮し、尺度どおりでない図もあります。
- 中心線が途切れているのを作図ミスと思う — 優先順位で外形線・かくれ線に譲った結果です。
- 倍尺の「2:1」を縮尺と読む — 左が図面上・右が実物。2:1は実物の2倍の大きさで描いた図です。
- 表題欄を内側に隠して折る — 図番が見えない図面はファイルの中で行方不明になります。右下表出しが原則。
線種体系のしくみ
図面がモノクロ2値の世界で成立しているのは、色の代わりに「線の形と太さ」へ意味を割り当てたからです。太い実線だけが実在の輪郭を名乗れて、破線は「見えないが在る」、一点鎖線は「在るものの基準」、二点鎖線は「無いが描いておきたい」——実在性のグラデーションが線の形に対応しています。この割り当てが世界共通(ISO 128系)だから、言葉の通じない相手とも図面1枚で会話できるわけです。
尺度の1・2・5系列は、飛びが均等(対数的)で読み替え計算がしやすいことから来ています。図面読解の隣接ページとして、記号側は幾何公差・溶接記号・表面処理記号、寸法側は公差・はめあい・面取りをどうぞ。
よくある質問
Q1. 図面の破線は何を表す?
A. かくれ線=見えない部分の形状です。見える外形は太い実線。「実線=見える、破線=見えない」が基本です。
Q2. 一点鎖線と二点鎖線はどう使い分ける?
A. 細い一点鎖線=中心線・基準線(実在の基準)、細い二点鎖線=想像線(可動位置・隣接部品など実体のない参考)。太い一点鎖線は特殊指定線です。
Q3. 線が重なったらどれを優先して描く?
A. 外形線→かくれ線→切断線→中心線→重心線→寸法補助線の順です。重なった位置は上位の線だけを描きます。
Q4. 図面の尺度にはどんな種類がある?
A. 現尺1:1、縮尺1:2・1:5・1:10…、倍尺2:1・5:1・10:1…(JIS Z 8314)。A:BのAが図面上、Bが実物の長さです。
Q5. 図面から寸法を測って(スケールを当てて)使っていい?
A. 原則不可。寸法は記入値が正で、紙の伸縮や尺度どおりでない図があります。読めない寸法は設計元へ確認を。
Q6. 大きい図面はどう折る?
A. A4に折りたたみ、表題欄が表側の右下に出るように折ります。綴じたまま図番が見えることが目的です。
関連する早見表
出典・参考
- JIS Z 8312(線の基本原則)・JIS B 0001(機械製図) — 線種・用途・優先順位
- JIS Z 8314(製図―尺度) — 推奨尺度の系列
- JIS Z 8311(図面の様式) — 図面サイズと表題欄・折りの慣行
※ 本ページは一般的なJIS製図の体系です。業界・社内で独自の製図基準(CAD線色の割り当て等)がある場合はそちらが優先されます。
最終更新: 2026-08-22