スペック早見表

断熱材の熱伝導率・熱抵抗 早見表|グラスウール・XPS・ウレタン

建築用断熱材の熱伝導率λ(W/(m・K))熱抵抗R値(m²・K/W)の早見表です。グラスウール(10K/16K/24K/高性能16K)・ロックウール・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)・硬質ウレタンフォーム・フェノールフォームの目安値を一覧比較し、厚さ50mm/100mmでのR値計算例、充填断熱・外張り断熱の選び方まで解説します。

📌 即答: R値(熱抵抗)の求め方

R値 [m²・K/W] = 厚さ [m] ÷ 熱伝導率λ [W/(m・K)]

  • λは小さいほど高性能(熱が伝わりにくい)。R値は大きいほど高性能
  • 例: 高性能グラスウール16K(λ≒0.038)を100mm(=0.1m)入れると R ≒ 0.1 ÷ 0.038 ≒ 2.63
  • 下表の中で最もλが小さい(高性能な)のはフェノールフォーム(λ≒0.019〜0.022)、最も普及しているのはグラスウールです。

主要断熱材の熱伝導率λ 一覧表

λはJIS A 9521(建築用断熱材)・JIS A 9511(発泡プラスチック保温材)の区分値を参考にした代表的な目安(≒)です。実際の値は製品・グレードごとに異なるため、設計値は必ず製品仕様で確認してください。

断熱材分類熱伝導率λ
W/(m・K)
特徴・主な用途
グラスウール 10K繊維系(無機)≒0.050最も安価で普及。密度10kg/m³。天井敷き込み等
グラスウール 16K繊維系(無機)≒0.045木造の充填断熱で定番。密度16kg/m³
グラスウール 24K繊維系(無機)≒0.038高密度品。自立性が高く施工しやすい
高性能グラスウール 16K繊維系(無機)≒0.038繊維を細くした高性能品。現在の充填断熱の主流
ロックウール繊維系(無機)≒0.038耐火性・遮音性に優れる。鉄骨造でも多用
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) 1種発泡プラスチック系≒0.040ボード状。耐水性があり土間・床下に
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) 3種発泡プラスチック系≒0.028基礎断熱・外張り断熱の定番グレード
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)発泡プラスチック系≒0.034〜0.043いわゆる発泡スチロール系。号数により性能が異なる
硬質ウレタンフォーム発泡プラスチック系≒0.023〜0.026高性能。ボード品のほか現場吹付け品もある
フェノールフォーム発泡プラスチック系≒0.019〜0.022表中最高クラスの断熱性能。防火性にも優れる

※ オレンジ網掛けは実務で選ばれることが特に多い代表グレード。EPS・ウレタン・フェノールは区分(号数・種類)により幅があるため範囲で表記しています。

厚さ50mm・100mmでのR値(熱抵抗)早見表

R値 = 厚さ(m) ÷ λ。上表のλ目安値から計算した参考値です(小数第3位四捨五入)。λが範囲の材料はR値も範囲で示しています。

断熱材λ
W/(m・K)
R値 厚さ50mm
m²・K/W
R値 厚さ100mm
m²・K/W
グラスウール 10K≒0.050約1.00約2.00
グラスウール 16K≒0.045約1.11約2.22
グラスウール 24K≒0.038約1.32約2.63
高性能グラスウール 16K≒0.038約1.32約2.63
ロックウール≒0.038約1.32約2.63
XPS 1種≒0.040約1.25約2.50
XPS 3種≒0.028約1.79約3.57
EPS(ビーズ法)≒0.034〜0.043約1.16〜1.47約2.33〜2.94
硬質ウレタンフォーム≒0.023〜0.026約1.92〜2.17約3.85〜4.35
フェノールフォーム≒0.019〜0.022約2.27〜2.63約4.55〜5.26

※ 同じR値なら断熱性能は同等。「薄くしたいならλの小さい材料」「コスト優先ならλが大きくても厚く入れる」という選択ができます。

熱抵抗の計算方法と断熱等級の考え方

① 1層のR値

R値 = 厚さ(m) ÷ λ。単位に注意してください。厚さはmm ではなく m に直して計算します(100mm → 0.1m)。

② 複数層の合成

壁のように複数の材料が重なる部位は、各層のR値を足し算します。例: 高性能グラスウール16Kを100mm(R≒2.63)+付加断熱でXPS3種を30mm(R = 0.03÷0.028 ≒ 1.07)なら、断熱材部分の合計はR≒3.70です。実際の外皮計算では、これに石膏ボードや外装材、空気層などの熱抵抗も加えて壁全体の熱貫流率U値(=合計Rの逆数)を求めます。

③ 等級・基準との関係

住宅の省エネ基準や断熱等級は、部位ごとの熱貫流率や住宅全体の外皮平均熱貫流率(UA値)で評価され、地域区分ごとに求められる水準が異なります。具体的な基準値は制度改定で変わるため本ページでは扱いませんが、「必要なR値から逆算して 厚さ = 目標R値 × λ で断熱材の厚さを決める」という手順は共通です。

使い方・選び方のポイント

充填断熱か外張り断熱か

充填断熱(柱・間柱の間に詰める)は繊維系が定番で、壁厚を活かせてコスト効率が高い工法です。外張り断熱(構造体の外側にボードを張る)は発泡プラスチック系ボードを使い、熱橋(柱部分の断熱欠損)が少ないのが利点ですが、厚くしすぎると外装材の固定が難しくなるため薄くて高性能な材料(XPS・フェノールフォーム等)が選ばれます。両方を組み合わせる付加断熱は寒冷地で一般的です。

繊維系と発泡プラスチック系の使い分け

繊維系は安価・不燃性で充填向きですが、湿気を通すため防湿層とセットで使うのが原則です。発泡プラスチック系は耐水性があり、基礎・土間・屋根外張りなど水や地面に近い部位に向きます。

よくある間違い

  • λとR値の混同 — 「小さいほど良い」のはλ、「大きいほど良い」のはR値。カタログのどちらの数字を見ているか常に確認。
  • 密度=性能と思い込む — グラスウールは同じ16Kでも通常品(≒0.045)と高性能品(≒0.038)でλが異なります。「K(密度)」だけでは性能は決まりません。
  • mmのまま計算 — R=100÷0.045のように厚さをmmのまま割ると1000倍の誤答になります。必ずmに換算。
  • 防湿層の省略 — 繊維系で防湿フィルムを省くと内部結露のリスクが大きくなります。

実務での注意点

  • 袋入りグラスウールの隙間 — 断熱性能は「隙間なく・つぶさず」入れて初めて出ます。配線・配管回りの欠き込み、耳の重ね不足、押し込みすぎ(厚さ減=R値減)が典型的な性能低下の原因です。
  • λは製品グレードで異なる — 本ページの値はJIS区分を参考にした目安です。同じ「グラスウール16K」「XPS」でもメーカー・グレードで表示値が異なるため、省エネ計算・申請に使う値は必ず使用製品の仕様書・JIS表示値で最終確認してください。
  • 経年変化 — 発泡ガスを閉じ込めるタイプの発泡プラスチック系は、長期的にλがわずかに変化する場合があります。長期性能値の扱いは製品仕様に従ってください。
  • 厚さ・密度の実測 — 吹付けウレタンは施工厚さのばらつきが出やすいため、検査時に厚さ確認を行うのが一般的です。

断熱材はなぜ効くのか — 原理と背景

断熱材の正体は「動かない空気(またはガス)の集まり」です。静止した空気の熱伝導率は約0.026W/(m・K)と、コンクリート(約1.6)や木材(約0.12)に比べて桁違いに小さく、熱を非常に伝えにくい物質です。しかし空気はそのままだと対流して熱を運んでしまうため、グラスウールやロックウールは細い繊維の隙間に、発泡プラスチック系は無数の独立した気泡の中に空気を閉じ込めて対流を止めることで、素材全体として低い熱伝導率を実現しています。

繊維系のλが密度や繊維の細さで変わるのはこのためです。密度が低すぎると気流や放射で熱が逃げ、繊維を細かくして空隙を細分化するほど熱は伝わりにくくなります。「高性能グラスウール」が同じ密度でも通常品よりλが小さいのは、繊維径を細くしているからです。一方、硬質ウレタンフォームやフェノールフォームのλが空気の熱伝導率(約0.026)を下回るのは、気泡の中に空気よりも熱を伝えにくい発泡ガスを閉じ込めているためで、これが発泡プラスチック系高性能品の原理的な強みです。

もうひとつ重要なのが水分です。水の熱伝導率は空気の20倍以上あるため、断熱材が湿気や漏水で水を含むと性能は大きく低下します。繊維系断熱材に防湿層が必須とされ、水がかりの部位には耐水性の高い発泡プラスチック系が選ばれるのは、この物理的な理由によります。

よくある質問

Q1. 熱伝導率λと熱抵抗R値の違いは?

A. λ(W/(m・K))は材料そのものの熱の伝わりやすさで、厚さに関係ない物性値です。R値(m²・K/W)は「厚さ(m)÷λ」で求める、その厚さでの断熱性能です。λは小さいほど、R値は大きいほど高断熱。同じ材料でも厚くすればR値は大きくなります。

Q2. グラスウールの「10K」「16K」とは何ですか?

A. 密度(kg/m³)を表します。10Kは10kg/m³、16Kは16kg/m³です。一般に高密度ほど繊維の隙間が細かくなり熱伝導率が小さく(高性能に)なります。さらに「高性能グラスウール」は繊維を細くすることで、同じ16Kでも通常品よりλが小さくなっています。

Q3. 同じ厚さで最も断熱性能が高い断熱材は?

A. 本ページの表の範囲では、フェノールフォーム(λ≒0.019〜0.022W/(m・K))が最も高性能で、次いで硬質ウレタンフォーム(≒0.023〜0.026)です。ただし価格・防火性・耐水性・施工性はそれぞれ異なるため、λの小ささだけでなく部位と工法に合わせて選定します。

Q4. グラスウール100mmと同じ性能をXPSで出すには何mm必要?

A. R値を揃えて逆算します。例えばグラスウール16K(λ≒0.045)の100mmはR≒2.22。XPS3種(λ≒0.028)で同じR値を得るには 2.22×0.028≒0.062m、つまり約62mmで足ります。必要厚さ=目標R値×λ で計算できます。

Q5. 繊維系と発泡プラスチック系はどう使い分けますか?

A. 繊維系(グラスウール・ロックウール)は安価で燃えにくく、柱の間に詰める充填断熱に向きます。発泡プラスチック系(XPS・EPS・ウレタン・フェノール)はボード状で薄くても高性能・水に強く、外張り断熱や基礎・土間など水がかりの部位に向きます。両者を併用する付加断熱もあります。

Q6. 断熱材に防湿層はなぜ必要ですか?

A. 繊維系断熱材は湿気を通すため、冬に室内の水蒸気が壁の中へ入ると内部結露を起こし、断熱性能の低下や構造材の腐朽につながります。これを防ぐため、室内側(温度の高い側)に防湿フィルムを連続して張るのが原則です。耳付き(袋入り)品でも継ぎ目やコンセント回りの処理が重要です。

Q7. 表のλの値とカタログ値が違うのはなぜ?

A. 本ページのλはJIS A 9521・JIS A 9511の区分値を参考にした代表的な目安値(≒表記)です。実際の熱伝導率は同じ種類でも製品・グレードごとに表示値が定められており、目安より高性能な製品もあります。設計・申請に使う値は必ず使用する製品の仕様書で確認してください。

関連する早見表

関連規格・出典

  • JIS A 9521「建築用断熱材」 — 繊維系・発泡プラスチック系断熱材の種類と熱伝導率区分
  • JIS A 9511「発泡プラスチック保温材」 — XPS・EPS・硬質ウレタンフォーム等の種類と区分

本ページのλは上記JISの区分値として広く公開されている代表値をもとにした目安です。製品固有の設計値は各製品の仕様書・JIS表示値をご確認ください。

最終更新: 2026-07-03