スペック早見表

センタ穴 早見表|JIS B 1011のA形・B形・R形の寸法と図示記号

旋盤・研削で丸物(軸)を両センタで支持するセンタ穴(JIS B 1011)の寸法を早見表化。60°センタ穴のA形(保護面取りなし)・B形(120°保護面取り付き)・R形(円弧)の呼び径d・面取り径D・保護面取り径・参考深さと、JIS B 0041の「センタ穴を残す/残さない」図示記号を、加工・製図の現場で3秒で引ける構成です。

⚡ センタ穴 即答ボックス

センタ穴とは軸を支える円すい穴旋盤・研削で丸物の端面に開け、両センタで支持する基準穴
標準角度60°75°・90°もあり、うち75°は「なるべく用いない」(JIS B 1011)
A形面取りなし60°の面取り(円すい穴)のみ。保護面取りは付かない
B形保護面取り付き60°+120°の保護面取り。センタ穴の縁の損傷を防ぐ
R形円弧形円すい面を半径rの円弧面に置換。当たりが安定(JIS B 4304)
図示記号JIS B 0041残す/残さない/どちらでもよいの3種で指示

このページについて

センタ穴は、旋盤加工や円筒研削で軸状の部品(丸物)を両端の心(センタ)で支持するための、端面中央に開けた60°の円すい穴です。形状と寸法はJIS B 1011:1987(センタ穴)で規定され、保護面取りの有無でA形・B形、円すい面を円弧にしたR形などに分かれます。本ページは呼び径d(0.5〜10mm)ごとの寸法と、JIS B 0041:1999(センタ穴の簡略図示方法)による図示記号を一覧化した早見表です。

「A形とB形はどっちを使う?」「呼び径dはワーク径に対してどのくらい?」「図面のセンタ穴記号(残す/残さない)の意味は?」「B2.5/8という表示は何を指す?」といった、加工・段取り・製図で頻発する確認に即答できる構成です。なお、JIS B 1011にはこのほかC形も規定されていますが、実務で使われるのは主にA形・B形・R形です。

下の入力欄に呼び径(例「3.15」)や寸法値を入力すると、下の寸法表の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う呼び径:

表1: 60°センタ穴の寸法(JIS B 1011)

呼び径 d
(mm)
A形 面取り径 D
(60°/mm)
B形 保護面取り径
(120°/mm)
参考深さ t
(mm)
0.51.061.60.5
0.631.3220.6
0.81.72.50.7
12.123.150.9
1.252.6541.1
1.63.3551.4
24.256.31.8
2.55.382.2
3.156.7102.8
48.512.53.5
510.6164.4
6.313.2185.5
81722.47
1021.2288.7

※ d=センタ穴の呼び径(先端の小円筒部の直径)。A形の面取り径Dは60°円すい面が端面と交わる直径、B形の保護面取り径は外側の120°面取りの直径です。t(参考深さ)は規格の参考値です。R形はA形と同じ呼び径d・面取り径Dを持ち、60°円すい面を半径rの円弧面に置き換えた形で、JIS B 4304のR形センタ穴ドリルで加工します。

表2: センタ穴の形(A形・B形・C形・R形)

保護部の形状特徴・用途角度
A形なし60°の円すい面(面取り)だけ。最も一般的。単純な支持や、後で削り落とす軸に。60°/75°/90°
B形120°の保護面取り円すい面の外側に保護面取りを設け、打痕・バリからセンタ穴を守る。繰り返し支持・高精度の軸に。60°/75°/90°
C形座ぐり(ざぐり)保護部が座ぐり形状で、センタ穴を完全に保護する形。特殊・大形用途。60°/75°/90°
R形―(円弧/曲面)円すい面を半径rの円弧面に置換。センタ先端との当たりが安定し、研削・高精度加工向き。60°のみ

※ A形=保護面取りなし、B形=保護面取り付き、C形=座ぐり付き(完全保護)、R形=円弧面。実務の常用は60°のA形・B形・R形で、75°は「なるべく用いない」とされています。C形・75°・90°の詳細寸法はJIS B 1011の原文を確認してください。

センタ穴の呼び方(表示)

センタ穴は形の記号 + d/D の形で表します(JIS B 1011)。2番目の数字は、A形では60°の面取り径、B形では外側の保護面取り径を指します。

表示例d(呼び径)2番目の数字
A2/4.25A形2mm面取り径 D=4.25mm
B2.5/8B形2.5mm保護面取り径=8mm
R3.15/6.7R形3.15mm面取り径 D=6.7mm

※ 図面では「JIS B 1011-B2.5/8」のように規格番号を添えて表示することもあります。B形の2番目の数字はA形のDより大きい(保護面取り径)ため、A形のDと混同しないよう注意します。

センタ穴の図示記号(JIS B 0041)

仕上がった部品にセンタ穴を残すか残さないかは、JIS B 0041(製図−センタ穴の簡略図示方法)の記号で指示します。区分は次の3通りで、軸線上に記号とセンタ穴の呼び方を書きます。

区分意味後工程での扱い
残す(残さなければならない)仕上がり部品にセンタ穴を必ず残す削り落としてはならない
どちらでもよいセンタ穴が残ってもなくてもよい残す・除去どちらも可
残してはならない仕上がり部品にセンタ穴を残さない後加工で除去する

※ 記号は軸端の軸線上に描き、必要なセンタ穴の呼び方(例: B2.5/8)を併記します。3区分の具体的な記号の形はJIS B 0041の図に規定されています。

呼び径の選び方(目安)

センタ穴の呼び径dは、支える丸物(ワーク)の直径から選びます。小さすぎると支持剛性・耐荷重が不足して振れ・センタ焼けの原因になり、大きすぎると端面の有効面積を削って後工程(端面加工・面取り)の妨げになります。下表は一般的な目安で、規格値ではありません。実際は図面指示・工具メーカーの推奨・加工条件を優先してください。

ワーク径(目安)呼び径 d の目安
〜10mm1.6 〜 2.5
〜18mm2.5 〜 3.15
〜30mm3.15 〜 4
〜50mm4 〜 5
〜80mm5 〜 6.3
80mm超6.3 〜 10

※ 上表はあくまで目安です。重量物や長尺・高精度研削では、面圧と剛性を確保するため大きめの呼び径を選びます。

使い方・選び方のポイント

使用場面

軸・シャフト・ロールなど丸物部品の旋削・円筒研削で、両センタ支持や片センタ支持の基準穴を設計・加工するときに使います。製図では図面へのセンタ穴指示(JIS B 0041)や呼び方の記入に使います。

選定の手順

①ワーク径から呼び径dを目安で決める ②繰り返し支持・仕上げ精度が必要ならB形(保護面取り付き)、単純な支持ならA形、研削・高精度ならR形を選ぶ ③相手のセンタ先端角度(通常60°)にセンタ穴の角度を合わせる ④仕上がり部品にセンタ穴を残すか(JIS B 0041の記号)を図面で指示する ⑤該当するセンタ穴ドリル(JIS B 4304)を選ぶ。

よくある間違い

  • A形とB形の取り違え — 違いは120°保護面取りの有無です。運搬・段取り替えで縁が傷つくと再センタリング精度が落ちるため、繰り返し支持・高精度の軸にはB形を選びます。
  • 「残す」指示の読み違い — JIS B 0041で「残す(残さなければならない)」と指示されたセンタ穴を後工程で削り落とすのは誤りです。逆に「残してはならない」を残すのも誤りです。
  • センタ角60°の思い込み — 標準は60°ですが、大径・重量物では75°・90°も規定されています。相手のセンタ(心押し)の先端角度と必ず一致させます。
  • 呼び方の2番目の数字の誤読 — A形はD(60°面取り径)、B形は保護面取り径を表します。同じdでもB形の値のほうが大きくなります。
  • センタ穴とセンタ穴ドリルの混同 — センタ穴は部品側の穴(JIS B 1011)、センタ穴ドリル(センタドリル)はそれを開ける工具(JIS B 4304)で、別の規格です。

センタ穴の役割と形状の背景

センタ穴は、丸物部品を旋削・研削するときに回転軸(基準)を一意に決めるための穴です。両端に60°のセンタ穴を開け、工作機械の固定センタ・回転センタで挟むことで、加工のたびに同じ軸線で支持でき、複数工程にまたがっても芯を保てます。角度が60°を基本とするのは、支持の安定性と加工のしやすさ、市販センタ・センタ穴ドリルとの互換性のバランスによるもので、大径・重量物で面圧が不足する場合に限って75°・90°が用いられます。

A形とB形の違い(保護面取りの有無)は、センタ穴の「縁」を守るかどうかの設計判断です。B形の120°保護面取りは、円すい面の入口の角を一段引っ込めることで、運搬・段取り替えの打痕から円すい面(当たり面)を守り、再センタリングの精度を維持します。R形が円すい面を円弧面に置き換えるのは、センタ先端との接触を安定させ、芯ずれや熱変形を吸収しやすくするためで、高精度な研削加工で選ばれます。

よくある質問

Q1. センタ穴のA形とB形はどう違いますか?

A. A形は60°の面取り(円すい穴)だけのセンタ穴、B形はその外側にさらに120°の保護面取りを付けたセンタ穴です。保護面取りは、運搬や段取り替えでセンタ穴の縁が打痕・変形するのを防ぎ、再センタリング時の精度を保つためのもので、繰り返し使う軸や仕上げ精度が必要な軸にはB形が選ばれます。

Q2. センタ穴の角度は何度が標準ですか?

A. 標準は60°です。JIS B 1011は75°・90°のセンタ穴も規定していますが、このうち75°は「なるべく用いない」とされています。大径・重量物でより大きな支持面積が必要な場合などには90°を使います。相手のセンタ(心押し側)の先端角度もセンタ穴の角度に合わせます。

Q3. R形センタ穴とは何ですか?

A. A形・B形の直線的な60°円すい面を、半径rの円弧面に置き換えたセンタ穴です。センタ先端との当たりが安定し、芯ずれや熱変形を吸収しやすいため、研削や高精度加工で使われます。呼び径dと面取り径DはA形と共通で、JIS B 4304のR形センタ穴ドリルで加工します。

Q4. センタ穴の呼び径dはどうやって選びますか?

A. ワーク(丸棒)の直径に対する目安で選びます。センタ穴が小さすぎると支持剛性・耐荷重が不足し、大きすぎると端面の有効面積を削って後工程の妨げになります。目安は本文の「呼び径の選び方」を参照してください。最終的には図面指示と工具メーカーの推奨、加工条件で決めます。

Q5. 「センタ穴を残す」という図示記号の意味は?

A. JIS B 0041(製図−センタ穴の簡略図示方法)で、仕上がり部品にセンタ穴を「残す(残さなければならない)」「残してもよい(どちらでもよい)」「残してはならない」の3通りを指示する記号です。「残す」指示があるセンタ穴は、後工程で削り落としてはいけません。

Q6. センタ穴の呼び方(表示)はどう書きますか?

A. 形の記号と寸法をd/Dの形で表します。例として「A2/4.25」はA形・d=2mm・面取り径D=4.25mm、「B2.5/8」はB形・d=2.5mm・保護面取り径8mmを表します(JIS B 1011)。A形はDが60°面取り径、B形は2番目の数字が保護面取り径である点に注意します。

Q7. A形とB形で寸法表の「D」の意味は同じですか?

A. 同じ呼び径dならA形の面取り径Dは共通(例: d=2でD=4.25)ですが、B形はその外側に120°保護面取りが付き、呼び方の2番目の数字は保護面取り径(d=2.5なら8など)を指します。表を読むときは、A形の面取り径Dと、B形の保護面取り径を混同しないようにします。

関連する早見表

出典・参考

  • JIS B 1011:1987(センタ穴) — 60°センタ穴A形・B形・R形ほかの形状・寸法、呼び方
  • JIS B 0041:1999(製図−センタ穴の簡略図示方法) — センタ穴を残す/残さない/どちらでもよいの図示記号
  • JIS B 4304(センタ穴ドリル) — R形などセンタ穴を加工する工具の規格(参考)

※ 本ページの寸法はJIS B 1011の規定値に基づきます。参考深さtは規格の参考値です。呼び径ごとの詳細寸法・公差、C形・75°・90°の規定は、設計・加工の際にJIS B 1011およびJIS B 0041の原文を必ず確認してください。

最終更新: 2026-07-15