ガスケット規格 早見表|フランジ用の種類・材質・寸法の基礎
配管フランジの継手面に挟んで漏れを止めるガスケットの種類(ジョイントシート・うず巻き形・PTFE・ゴム・メタル)と材質別の一般特性、FF/RFフランジ面と全面形/リング形の対応、JIS B 2404(管フランジ用ガスケットの寸法)の呼び圧力×呼び径による寸法体系を一覧化。配管工事・プラント保全・部品手配での「どれを選ぶ?」に即答します。
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このページについて
ガスケットは、フランジ継手のように固定された(動かない)面と面の間に挟み込み、締め付けによる面圧で流体の漏れを止めるシール部品です。回転軸やピストンロッドなど動く部分に使うシールは「パッキン」と呼ばれ、区別されます。管フランジ用ガスケットの寸法はJIS B 2404(管フランジ用ガスケットの寸法)で規定されており、フランジ本体(JIS B 2220)と同じ「呼び圧力×呼び径」の体系で選定します。
本ページは「材質は何を選ぶ?」「FFとRFでガスケットの形はどう違う?」「10K 50A用の寸法は?」といった、配管工事・設備保全・部品手配で頻発する確認に即答できる構成です。耐熱・耐圧はグレード(銘柄)によって幅があるため、本表の数値は一般的な目安として示し、最終確認はメーカーの技術資料で行ってください。
下の入力欄に「ジョイントシート」「PTFE」「蒸気」「薬品」などと入力すると、表1の行を絞り込めます(未入力で全表示)。
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表1: フランジ用ガスケットの種類と一般特性(目安)
| 種類 | 構成・材質 | 耐熱の目安 | 耐圧の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ジョイントシート(非石綿) | ゴムと無機繊維・充填材を圧延したシート | 〜200℃程度(グレードによる) | 低圧〜中圧 | 水・温水・油・低圧蒸気など一般配管の汎用品 |
| うず巻き形(スパイラル) | 金属の薄帯(フープ)とフィラー(膨張黒鉛・PTFEなど)を渦巻き状に巻いたもの | 〜400℃級(フィラー・金属材質による) | 中圧〜高圧 | 高温・高圧の蒸気、油、ガス、プラント配管 |
| PTFE(ふっ素樹脂) | PTFEシート、充填材入りPTFE | −100〜260℃程度 | 低圧〜中圧 | 薬品・溶剤・高純度ライン(耐薬品性がきわめて広い)。クリープ(冷間流れ)に注意 |
| ゴム(NBR) | ニトリルゴムシート | −20〜100℃程度 | 低圧 | 油・燃料系の低圧配管、水・空気 |
| ゴム(EPDM) | エチレンプロピレンゴムシート | −40〜120℃程度 | 低圧 | 水・温水・薬品の低圧配管(鉱物油には使用不可) |
| ゴム(フッ素ゴム) | フッ素ゴム(FKM)シート | −15〜200℃程度 | 低圧 | 高温の油・薬品・燃料系の低圧配管 |
| メタル系 | 金属平形、メタルジャケット、リングジョイントなど | 高温域まで対応(金属材質による) | 高圧 | 高温・高圧のプラント、特殊座面(リングジョイント溝)など |
※ 耐熱・耐圧は材質グループとしての一般的な目安です。同じ種類でもグレードにより使用範囲が大きく異なるため、実際の選定では必ずメーカーの技術資料(使用温度・圧力線図、推奨締付面圧)を確認してください。石綿(アスベスト)含有ガスケットは現在は製造・使用等が禁止されており、現在市販されているのは非石綿品です。
表2: フランジ面形状とガスケット形状の対応
| フランジ座面 | 使うガスケット | 特徴・主な使いどころ |
|---|---|---|
| FF(全面座) 座面全体が平ら | 全面形(ボルト穴あり) | フランジ全面を覆い、ボルト穴の位置もフランジと共通。鋳鉄製機器・樹脂(塩ビ)フランジ・低圧配管で一般的。ゴム・ジョイントシートの全面形が多い |
| RF(平面座) ガスケットの当たる部分が一段高い | リング形(リングガスケット。通称: 内パッキン・内輪形) | ボルト穴の内側に収まるリング形状。鋼製フランジで最も一般的。ジョイントシート・PTFE・うず巻き形など材質の選択肢が広い |
| 溝形・はめ込み形など | 座の形状に合った専用寸法品 | 高圧・真空・漏えいを嫌うラインで使う特殊座面。寸法・適合品は規格表とメーカー資料で確認 |
※ 樹脂フランジや脆い材質のフランジにリング形+高面圧のガスケットを使うと、締付でフランジを割ることがあります。塩ビフランジには柔らかいゴム全面形を使うのが一般的です(塩ビ管サイズ参照)。
代表寸法の考え方(JIS B 2404)
フランジ用ガスケットの寸法はJIS B 2404「管フランジ用ガスケットの寸法」で、フランジ規格(JIS B 2220など)に対応した呼び圧力(5K・10K・16K・20K…)×呼び径(15A・50A…)ごとに規定されています。手配時は「10K 50A ジョイントシート リング形 t1.5」のように、呼び圧力・呼び径・材質・形状(全面形/リング形)・厚さを指定します。
- 全面形 — 外径はフランジ外径と同寸が基本で、ボルト穴の数・位置もフランジ(JIS B 2220)と共通です。
- リング形(リングガスケット) — 内径は管の流路を妨げないよう管外径前後、外径はボルトの内側に収まる寸法で規定されています。現場では「内パッキン」「内輪形」とも呼ばれます(JIS B 2404上の名称はリングガスケット。うず巻き形の補強リングを指す「内輪付き」とは別物)。
- 厚さ — ジョイントシートでは1.5mm・3.0mmが一般的です(目安)。
参考として、最もよく使われるJIS 10Kの呼び径と関連寸法を示します(ガスケット自体の内径・外径の正確な値はJIS B 2404の規格表を参照してください)。
| 呼び径 | 管外径(参考・SGP) | 10Kフランジ外径 (≒全面形の外径) | ボルト穴 数×径(10K) |
|---|---|---|---|
| 15A | 21.7mm | 95mm | 4×15 |
| 20A | 27.2mm | 100mm | 4×15 |
| 25A | 34.0mm | 125mm | 4×19 |
| 40A | 48.6mm | 140mm | 4×19 |
| 50A | 60.5mm | 155mm | 4×19 |
| 65A | 76.3mm | 175mm | 4×19 |
| 80A | 89.1mm | 185mm | 8×19 |
| 100A | 114.3mm | 210mm | 8×19 |
| 150A | 165.2mm | 280mm | 8×23 |
| 200A | 216.3mm | 330mm | 12×23 |
※ フランジ外径・ボルト穴はJIS B 2220(呼び圧力10K)、管外径はJIS G 3452(SGP)による参考値です。同じ呼び径でも呼び圧力が違えばガスケット寸法も別物になります(10K用と5K用は互換なし)。フランジ寸法の全リストはフランジ規格早見表を参照してください。
材質選定の手順(流体×温度×圧力)
ガスケットの選定は「何が・何℃で・何MPaで流れるか」から絞り込むのが基本です。
- ① 流体の種類 — 水・温水なら汎用(ジョイントシート・EPDM)、油ならNBR・油対応ジョイントシート、薬品・溶剤ならPTFE、蒸気なら蒸気対応グレードやうず巻き形。
- ② 温度 — ゴムは100〜200℃程度が上限(種類による)。それを超える高温はうず巻き形・メタル系を検討。低温(氷点下)も材質ごとの下限を確認。
- ③ 圧力 — 配管系の呼び圧力(10K・16Kなど)に対応した寸法を選ぶとともに、高圧ではうず巻き形など耐圧の高い種類を検討。
- ④ フランジ座面 — FFなら全面形、RFならリング形(表2)。相手が樹脂・鋳鉄など割れやすい材質なら低面圧で締められる柔らかい材質を選ぶ。
- ⑤ 寸法指定 — 呼び圧力×呼び径×形状×厚さで指定し、メーカーの使用範囲(温度・圧力線図)に収まることを最終確認。
使い方・選び方のポイント
使用場面
配管の新設・改造工事、定期修理(フランジ開放後の復旧)、漏れ修理、部品手配・在庫管理で、ガスケットの種類判定と寸法指定に使います。
手配・交換の手順
①フランジの呼び径・呼び圧力を確認(不明なら外径・ボルト穴数・PCDを実測してフランジ規格早見表で特定) ②座面形状(FF/RF)を確認して全面形/リング形を決定 ③流体・温度・圧力から材質を選定 ④古いガスケットを除去し座面を清掃・点検 ⑤新品を挟み、対角順に2〜3回以上に分けて均等に締め付ける。
よくある間違い
- ガスケットとパッキンの混同 — ガスケットは静止部(フランジなど)のシール、パッキンは運動部(回転軸・往復動)のシール。名称を混同すると手配ミスのもとになります。
- ガスケットの再使用 — 一度締め付けたガスケットは復元力を失っています。「まだ形が残っているから」と再使用すると漏れの原因に。分解したら新品交換が原則です。
- 締付トルクの不均一 — 片側から順に本締めすると座面が傾き、片当たり・漏れの原因になります。対角順(星形順序)に数回に分けて均等に締めます。
- 材質と流体の不適合 — 代表例がEPDMと鉱物油(EPDMは油で膨潤して使えない)。流体との適合はメーカーの耐性表で確認します。
- 呼び圧力の取り違え — 同じ50Aでも10K用と5K用ではガスケット寸法が異なります。フランジの刻印・図面で呼び圧力を先に確認してください。
ガスケットが漏れを止める原理
フランジの座面には、目に見えない微細な凹凸やうねりが必ずあります。ガスケットはボルトの締付けで発生する面圧によって座面の凹凸に食い込み、流体の通り道を塞ぐことで漏れを止めます。したがって「材質が流体に耐えること」と「必要な面圧が確保・維持されること」の2つがそろって初めてシールが成立します。面圧が不足すれば初期から漏れ、逆に締めすぎればガスケットの破壊やフランジの変形を招きます。
運転が始まると、温度変化によるボルトの伸び、ガスケット自体のへたり(応力緩和・クリープ)によって面圧は徐々に低下します。高温ラインで増し締め管理が重視されるのはこのためです。ガスケットの締付面圧と漏えい量の関係(密封特性)を定量的に評価する試験方法はJIS B 2490に規定されており、メーカーの推奨締付面圧はこうした試験データに基づいています。
材質の面では、かつて主流だった石綿(アスベスト)ジョイントシートが健康被害の問題から製造・使用禁止となり、現在はアラミド繊維や無機繊維を用いた非石綿ジョイントシートに置き換わっています。非石綿品は旧石綿品と使用範囲が同一ではないため、古い設備の更新時に「昔と同じ品番の感覚」で選ぶのではなく、現行品の使用温度・圧力範囲を改めて確認することが重要です。
よくある質問
Q1. ガスケットとパッキンの違いは何ですか?
A. どちらも密封部品(シール)ですが、一般に固定した部分(静止部)に使うものをガスケット、回転軸やピストンなど動く部分(運動部)に使うものをパッキンと呼び分けます。フランジの継手面に挟むのはガスケットです。
Q2. フランジ用ガスケットの寸法はどの規格で決まっていますか?
A. JIS B 2404(管フランジ用ガスケットの寸法)です。フランジ本体(JIS B 2220)と同じ呼び圧力(5K・10K・16Kなど)×呼び径(15A・50Aなど)の体系で寸法が定められており、「10K 50A リング形」のように指定して手配します。
Q3. 全面形とリング形はどう使い分けますか?
A. 全面形はボルト穴まで含めてフランジ全面を覆う形状で、FF(全面座)フランジ用です。リング形(リングガスケット)はボルト穴の内側に収まる形状で、RF(平面座)フランジ用です。現場では「内パッキン」「内輪形」とも呼ばれます。相手フランジの座面形状に合わせて選びます。
Q4. ガスケットは再使用できますか?
A. 原則できません。一度締め付けたガスケットは圧縮されて復元力を失っており、そのまま再使用すると漏れの原因になります。フランジを分解したら新品に交換するのが原則です。
Q5. ジョイントシートの厚さは何mmを選べばよいですか?
A. 1.5mmと3.0mmが一般的です(目安)。薄いほど締付面圧を確保しやすく漏れに強いため、フランジ面の状態が良ければ薄手を、面の粗れ・歪みが大きい場合は厚手を検討します。最終的にはメーカーの推奨に従ってください。
Q6. 蒸気配管にはどのガスケットを使いますか?
A. 一般的な使い分けの目安として、低圧の蒸気にはジョイントシートの蒸気対応グレード、高温・高圧の蒸気には膨張黒鉛をフィラーとするうず巻き形ガスケットが使われます。使用温度・圧力がメーカーの公表する推奨範囲内であることを必ず確認してください。
Q7. 飲料水(給水)の配管にはどの材質を選びますか?
A. 一般にEPDMゴムや水道用グレードのジョイントシートが使われます(目安)。飲用に供する場合は、水道法の浸出性能基準への適合など、飲料水用途に使えることが表示された製品を選定してください。
Q8. ガスケットの締付けトルクはどのくらいですか?
A. ガスケットの材質・寸法、フランジの呼び圧力、ボルトサイズによって異なるため一律の値はありません。メーカーが公表する推奨締付面圧・推奨トルクに従い、対角順に2〜3回以上に分けて均等に締め付けます。
関連する早見表
出典・参考
- JIS B 2404「管フランジ用ガスケットの寸法」 — 呼び圧力×呼び径ごとのガスケット寸法(全面形・リングガスケット)の出典
- JIS B 2220「鋼製管フランジ」 — フランジ外径・ボルト穴・座面形状(参考)
- JIS B 2490「管フランジ用ガスケットの密封特性試験方法」 — ガスケットの密封特性評価(参考)
※ 表1の耐熱・耐圧は材質グループとしての一般的な目安であり、規格値ではありません。製品ごとの使用温度・圧力範囲、推奨締付面圧・トルクは必ずメーカーの技術資料で確認してください。ガスケットの正確な内径・外径・厚さはJIS B 2404の規格表および製品図面によります。
最終更新: 2026-07-11