スペック早見表

ヘルメット・保護帽規格早見表|飛来・落下物用と墜落時保護用の違い

労働安全衛生法の型式検定制度と保護帽の規格(昭和50年労働省告示第66号)に基づき、保護帽(産業用ヘルメット)の検定区分・構造・適用作業・帽体材質・交換時期の目安を一覧化。「高所作業にはどのヘルメット?」「電気工事用は?」「交換は何年ごと?」に即答します。

⚡ 保護帽規格 即答ボックス

検定区分3種類飛来・落下物用/墜落時保護用/電気用(使用電圧7,000V以下)
墜落時保護用衝撃吸収ライナー入り発泡スチロール製等。高所作業はこの区分(兼用品)を使用
電気用7,000V以下の電気作業絶縁用保護具として型式検定を受けたもの
区分の確認帽体内側のラベル型式検定合格の「労・検」ラベルと区分表記を確認
交換の目安熱可塑性3年以内/FRP5年以内メーカー・日本ヘルメット工業会の推奨目安(法定期限ではない)
衝撃を受けたら直ちに交換外観に異常がなくても再使用しない

このページについて

労働現場で使用する保護帽(産業用ヘルメット)は、労働安全衛生法に基づく型式検定に合格したものでなければならず、その性能・構造は「保護帽の規格」(昭和50年労働省告示第66号)で定められています。検定区分は用途によって「飛来・落下物用」「墜落時保護用」に分かれ、頭部感電防止用の「電気用」(使用電圧7,000V以下)は絶縁用保護具として別途検定を受けます。本ページはこの区分の違いと適用作業、帽体材質の特性、交換時期の目安を一覧化した早見表です。

「飛来・落下物用と墜落時保護用はどう違う?」「電気工事にはどれを使う?」「FRPとABSどちらを選ぶ?」「何年で交換?」といった、現場の保護具選定・安全衛生管理・新規入場者教育で頻発する確認に即答できる構成です。

下の入力欄に「墜落」「電気用」「FRP」「ライナー」などと入力すると、表1〜2の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う:

表1: 保護帽の検定区分と構造・適用作業

区分(ラベル表記)目的・性能構造主な適用作業
飛来・落下物用物体の飛来・落下による頭部への危険を防止(耐貫通性・衝撃吸収性)帽体+着装体(ハンモック・ヘッドバンド等)+あごひも建設・土木、林業、採石、荷役運搬など、物が飛んでくる・落ちてくるおそれのある作業
墜落時保護用墜落による頭部への危険を防止(墜落・転落時の衝撃から頭部を保護)帽体+衝撃吸収ライナー(発泡スチロール製等)+あごひも高所作業、足場上の作業など、墜落・転落のおそれのある作業
電気用(使用電圧7,000V以下)頭部の感電による危険を防止(耐電圧性能)耐電圧性能を持つ帽体(ABS・PC・PE等の熱可塑性樹脂製が中心)。絶縁用保護具として型式検定を受ける使用電圧7,000V以下の充電電路の取扱いなど電気作業
兼用(複数区分表記)複数区分の検定に合格したもの(例: 飛来・落下物用+墜落時保護用、さらに電気用を併せ持つ製品も)衝撃吸収ライナーと着装体の両方を備えるなど、各区分の構造要件を満たす建設現場の標準的な保護帽。1つで複数の危険に対応

※ 「飛来・落下物用」「墜落時保護用」は保護帽の規格(昭和50年労働省告示第66号)、「電気用」は絶縁用保護具等の規格に基づく区分です。どの区分に合格しているかは帽体内側のラベルで確認します。

表2: 帽体材質の一般特性

材質樹脂の種別主な特長注意点電気用
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)熱硬化性耐熱性・耐候性・耐薬品性に優れる。高温場所(溶接・炉前など)や屋外での使用に強い一般に電気用の耐電圧性能を持たない。熱可塑性樹脂製よりやや重い傾向不可(一般に)
ABS樹脂熱可塑性軽量で耐衝撃性のバランスが良く、最も広く使われる。電気用の検定品が多い耐熱性は高くない。有機溶剤・薬品に弱い検定品あり
PC(ポリカーボネート)熱可塑性耐衝撃性が特に高く、熱可塑性樹脂の中では耐熱性も比較的高い。電気用の検定品がある有機溶剤・薬品に弱い(溶剤で劣化・割れのおそれ)検定品あり
PE(ポリエチレン)熱可塑性耐薬品性(酸・アルカリ)に優れる。電気用の検定品がある耐熱性・剛性は低め検定品あり

※ 材質の特性は一般的な傾向です。個々の製品の使用可能環境(温度範囲・薬品・電気用の適否)は必ずラベル表記とメーカーの取扱説明書で確認してください。

表3: 交換時期の目安

対象交換時期の目安備考
帽体(ABS・PC・PE等の熱可塑性樹脂製)使用開始から3年以内メーカー・日本ヘルメット工業会の推奨目安
帽体(FRP等の熱硬化性樹脂製)使用開始から5年以内メーカー・日本ヘルメット工業会の推奨目安
着装体・あごひも(内装品)1年程度汗・汚れ・損傷があればその都度交換(推奨目安)
衝撃を受けた保護帽直ちに交換外観に異常がなくても再使用しない

※ 上記の年数は法令で定められた使用期限ではなく、樹脂の経年劣化を考慮したメーカーおよび日本ヘルメット工業会の推奨目安です。直射日光下や高温環境での使用・保管が多い場合は、より早めの交換が推奨されます。交換時期の管理には帽体の製造年月日表示を活用します。

検定ラベルの見方

型式検定に合格した保護帽には、帽体の内側に型式検定合格標章(いわゆる「労・検」ラベル)が貼付されています。確認のポイントは次のとおりです。

  • 区分表記 — 「飛来・落下物用」「墜落時保護用」「電気用」のうち、どの区分に合格しているかが表記されます。作業の危険性に合った区分か確認します。
  • 製造年月日 — 保護帽の規格により、見やすい箇所への製造者名・製造年月日の表示が義務付けられています。交換時期(目安)の管理に使います。
  • ラベルのない製品は使用不可 — 「労・検」ラベルのないヘルメット(自転車用・レジャー用・検定を受けていない輸入品など)は、労働現場の保護帽として使用できません。

正しい着用方法

  • 正しい向きで深くかぶる — つばを前にし、水平に深くかぶります。前後逆・浅かぶり・傾けかぶりは保護性能を発揮できません。
  • ヘッドバンドを調整する — 頭の大きさに合わせて調整し、頭を振ってもぐらつかない状態にします。
  • あごひもを確実に締める — 緩んでいると衝撃時・墜落時に脱落します。あごとひもの間に指1本程度の余裕を目安に確実に締めます。
  • 衝撃吸収空間をつぶさない — 帽体と頭部の間の空間は衝撃を吸収するための構造です。タオルや帽子を挟んで着用してはいけません。
  • 部品は同一型式用の純正品を使う — 着装体・あごひもを交換する際は、その保護帽の型式に適合した部品を正しく取り付けます。他機種の部品の流用は検定合格時の性能を保証できません。

使い方・選び方のポイント

使用場面

建設・製造・電気工事などの現場での保護帽選定、安全衛生管理者による保護具の点検・更新計画、新規入場者教育・KY活動での確認に使います。

選定の手順

①作業の危険性を洗い出す(飛来・落下物/墜落・転落/感電) ②危険性に対応する検定区分を選ぶ — 高所作業があるなら墜落時保護用(兼用品)、使用電圧7,000V以下の電気作業があるなら電気用 ③使用環境で材質を選ぶ — 高温場所・屋外長期はFRP、電気用はABS・PC等の熱可塑性樹脂 ④帽体内側のラベルで検定区分と製造年月日を確認する ⑤ヘッドバンド・あごひもを調整し、正しく着用する。

よくある間違い

  • 自転車用ヘルメットとの混同 — 自転車用・レジャー用は消費者向けの安全基準に基づく製品で、労働現場では使用できません。労働現場では型式検定合格品(「労・検」ラベル付き)が必要です。
  • 区分違いの使用 — 飛来・落下物用のみの保護帽を高所作業で使う、電気用でない保護帽で充電電路を取り扱う、といった区分違いは重大災害につながります。作業の危険性に合った区分を選びます。
  • FRP製で電気作業 — FRP製帽体は一般に電気用の耐電圧性能を持ちません。電気作業には「電気用」表記のある検定品を使用します。
  • 穴あけ・改造 — 通気穴を開ける、着装体を外す・他機種用に付け替えるなどの改造は、帽体の強度と検定合格時の性能を損ないます。
  • あごひもの未着用・緩み — あごひもを締めていないと、衝撃時・墜落時に保護帽が脱落して頭部を保護できません。
  • 交換目安の超過・高温放置 — 見た目がきれいでも樹脂は紫外線・熱で劣化します。交換目安(熱可塑性3年以内・FRP5年以内)を超えた使用や、直射日光の当たる車内への放置は避けます。
  • 衝撃履歴のある保護帽の再使用 — 一度衝撃を受けた保護帽・落下させた保護帽は、外観に異常がなくても交換します。中古品や履歴不明品も使用しません。

型式検定制度と保護帽の性能の背景

保護帽は労働者の生命に直結する保護具のため、労働安全衛生法により国の定めた規格(保護帽の規格)に適合し、登録型式検定機関の型式検定に合格したものでなければ、譲渡・貸与等をしてはならないとされています(同法第42条・第44条の2)。物体の飛来・落下や墜落の危険がある作業では、事業者は労働安全衛生規則に基づき労働者に保護帽を着用させる義務があり、そこで使用できるのは型式検定合格品です。「労・検」ラベルはこの合格を示す標章です。

飛来・落下物用の保護帽は、帽体で貫通を防ぎ(耐貫通性)、着装体(ハンモック・ヘッドバンド)が変形しながら衝撃を頭部全体に分散・吸収します(衝撃吸収性)。帽体と頭部の間の空間はこの吸収のための余裕であり、つぶすと性能が失われます。一方、墜落時には頭部が帽体ごと構造物や地面に打ち付けられるため、着装体だけでは吸収しきれません。そこで墜落時保護用には発泡スチロール製等の衝撃吸収ライナーが帽体内側に組み込まれ、ライナー自体が潰れることで墜落時の衝撃エネルギーを吸収します。区分によって守れる危険が異なるのはこの構造の違いによります。

交換時期の目安が材質で異なるのは、樹脂の劣化特性の違いによります。ABS・PC・PEなどの熱可塑性樹脂は紫外線や熱による経年劣化が比較的早く進むため3年以内、熱硬化性のFRPは耐候性に優れるため5年以内が推奨目安とされています(メーカー・日本ヘルメット工業会)。劣化は外観から判断しにくいため、期間管理と定期点検(帽体のひび・変色、着装体の損傷、取付部のがたつき)を併用することが推奨されています。

よくある質問

Q1. 飛来・落下物用と墜落時保護用の違いは何ですか?

A. 検定区分の違いです。飛来・落下物用は物体の飛来・落下から頭部を守る性能を検定したもの、墜落時保護用は墜落・転落時の頭部保護性能を検定したもので、帽体内側に発泡スチロール製等の衝撃吸収ライナーが入っています。高所作業など墜落の危険がある作業では、墜落時保護用(または兼用品)を使用します。

Q2. 工事現場のヘルメットの交換時期はいつですか?

A. メーカー・日本ヘルメット工業会が推奨する目安は、ABS・PC・PEなどの熱可塑性樹脂製で使用開始から3年以内、FRP製で5年以内の交換です(法令で定められた期限ではありません)。着装体(内装)は1年程度での交換が推奨されています。一度でも衝撃を受けた保護帽は、期間内でも直ちに交換してください。

Q3. 一度衝撃を受けたヘルメットは使い続けられますか?

A. 使えません。外観に傷やへこみがなくても、帽体や衝撃吸収ライナーの内部が損傷して保護性能が低下しているおそれがあります。飛来物・落下物が当たった、高い所から落とした、墜落時に頭部を打ったなど、一度でも衝撃を受けた保護帽は直ちに交換します。

Q4. 電気工事にはどのヘルメットを使えばよいですか?

A. 使用電圧7,000V以下の電気作業(充電電路の取扱いなど)では、感電防止用の「電気用」保護帽(絶縁用保護具として型式検定に合格したもの)を使用します。帽体内側のラベルに「電気用」の表記があるか確認してください。一般にFRP製の帽体は電気用の性能を持ちません。

Q5. 自転車用ヘルメットを工事現場で使ってもよいですか?

A. 使えません。労働現場で使用する保護帽は、労働安全衛生法に基づく型式検定に合格したもの(「労・検」ラベル付き)である必要があります。自転車用ヘルメットは消費者向けの安全基準に基づく製品で、労働安全衛生法の保護帽には該当しません。

Q6. 「兼用」ヘルメットとは何ですか?

A. 飛来・落下物用と墜落時保護用の両方の型式検定に合格した保護帽のことです。ラベルに両方の区分が表記されます。さらに電気用の性能を併せ持つ製品もあり、建設現場では兼用品が広く使われています。

Q7. あごひもは必ず締める必要がありますか?

A. はい。あごひもは保護帽の規格で定められた構成部品で、正しく締めていないと衝撃を受けたときや墜落時に保護帽が脱落し、頭部を保護できません。作業中はあごひもを確実に締め、緩みのない状態を保ちます。

Q8. ヘルメットに穴を開けたりシールを貼ったりしてもよいですか?

A. 穴あけなどの改造は帽体の強度を低下させ、型式検定合格品としての性能を損なうため行ってはいけません。ステッカーや塗装も、溶剤が帽体を劣化させるおそれがあるため、メーカーの指示に従ってください。

関連する早見表

出典・参考

  • 労働安全衛生法 — 第42条(譲渡等の制限等)、第44条の2(型式検定)/労働安全衛生法施行令(型式検定を受けるべき機械等)
  • 保護帽の規格(昭和50年労働省告示第66号) — 飛来・落下物用/墜落時保護用の構造・性能(耐貫通性・衝撃吸収性・衝撃吸収ライナー・あごひも等)
  • 絶縁用保護具等の規格(昭和47年労働省告示第144号) — 電気用保護帽(使用電圧7,000V以下)の耐電圧性能
  • 日本ヘルメット工業会の公開資料 — 交換時期の目安(熱可塑性樹脂製3年以内・FRP製5年以内、着装体1年程度)、取扱い上の注意

※ 本ページの検定区分・構造は労働安全衛生法および各告示の規定に基づき、交換時期はメーカー・日本ヘルメット工業会の推奨目安です。材質の特性は一般的な傾向であり、個々の製品の仕様・使用条件はラベル表記とメーカーの取扱説明書で必ず確認してください。法令・告示は改正されることがあるため、実際の選定・使用に際しては最新の原文を確認してください。

最終更新: 2026-07-11