冷媒規格早見表|30種類以上の物性・GWP・安全等級・用途一覧
家庭用エアコン(R32)・業務用エアコン(R410A/R407C)・カーエアコン(R134a/R1234yf)・冷凍機(R404A)・自然冷媒(R290/R744)など主要冷媒30種以上の沸点・GWP・ODP・ISO 817安全等級・主な用途を一覧。フロン排出抑制法・キガリ改正対応の選定リファレンス。
❄️ 冷媒 即答ボックス(よく使われる12種)
このページについて
冷媒(refrigerant)とは、エアコンや冷凍機の中で気化・凝縮を繰り返しながら熱を運ぶ流体です。本ページではASHRAE Standard 34 / ISO 817:2014に基づき、現在主流のHFC系・次世代HFO系・自然冷媒・廃止/段階廃止CFC/HCFC系まで主要30種以上を5表に分類し、化学式・沸点・GWP(IPCC AR5基準)・ODP・安全等級・主な用途・規制状況を網羅しています。
空調・冷凍機の設計・施工・保守、カーエアコンの整備、フロン排出抑制法・キガリ改正への対応、CO2換算量の算定など、現場で頻発する確認業務に直接答える構成です。下記の3種の計算ツール(GWP×充填量→CO2換算 / 旧冷媒→置換候補 / 部屋容積→A2L安全充填量)もご活用ください。
表1: HFC系冷媒(現在主流)
フッ素・水素のみで構成(塩素なし)。オゾン層は破壊しないがGWPが高い。キガリ改正により段階的に削減対象。
| 冷媒番号 | 化学式 | 沸点(℃) | ODP | GWP | 安全等級 | 主な用途 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| R32 | CH2F2 | -52 | 0 | 675 | A2L | 家庭用エアコン | 現役主流 |
| R125 | C2HF5 | -49 | 0 | 3,500 | A1 | 混合冷媒成分 | 現役 |
| R134a | C2H2F4 | -26 | 0 | 1,430 | A1 | カーエアコン・冷蔵 | 段階廃止予定 |
| R143a | C2H3F3 | -47 | 0 | 4,470 | A2L | 混合冷媒成分 | 現役 |
| R152a | C2H4F2 | -25 | 0 | 124 | A2 | スプレー缶等 | 現役 |
| R227ea | C3HF7 | -16 | 0 | 3,220 | A1 | 業務用冷凍 | 現役 |
| R245fa | C3H3F5 | 15 | 0 | 1,030 | B1 | 高温ヒートポンプ | 現役 |
表2: HFC混合冷媒
複数のHFCを混合し、温度特性・性能を調整した冷媒。業務用エアコン・冷凍機で広く採用。
| 冷媒番号 | 構成成分 | 沸点(℃) | GWP | 安全等級 | 主な用途 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| R404A | R125/R143a/R134a | -47 | 3,920 | A1 | 業務用冷凍機 | 段階廃止予定 |
| R407A | R32/R125/R134a | -45 | 2,107 | A1 | 業務用冷凍 | 現役 |
| R407C | R32/R125/R134a | -44 | 1,774 | A1 | 業務用エアコン | 現役 |
| R407F | R32/R125/R134a | -46 | 1,825 | A1 | 業務用冷凍 | 現役 |
| R410A | R32/R125 (50:50) | -52 | 2,090 | A1 | 業務用エアコン | 段階廃止予定 |
| R507A | R125/R143a | -47 | 3,985 | A1 | 業務用冷凍 | 現役 |
| R513A | R134a/R1234yf | -29 | 631 | A1 | チラー | 現役 |
表3: HFO系・次世代冷媒
フルオロオレフィン(二重結合あり)で大気中で短時間に分解。GWPが極めて低く次世代の主流候補。
| 冷媒番号 | 構成 | 沸点(℃) | GWP | 安全等級 | 主な用途 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| R1234yf | C3H2F4 | -29 | 4 | A2L | 新型カーエアコン | 次世代主流 |
| R1234ze(E) | C3H2F4 | -19 | 7 | A2L | チラー・ヒートポンプ | 次世代 |
| R1233zd(E) | C3H2ClF3 | 18 | 1 | A1 | 高温ヒートポンプ | 次世代 |
| R448A | HFC/HFO混合 | -46 | 1,387 | A1 | 業務用冷凍 | 次世代 |
| R449A | HFC/HFO混合 | -46 | 1,397 | A1 | 業務用冷凍 | 次世代 |
| R452A | HFC/HFO混合 | -47 | 2,140 | A1 | 輸送用冷凍 | 次世代 |
| R454A | HFC/HFO混合 | -48 | 238 | A2L | 商用冷凍 | 次世代 |
| R454B | HFC/HFO混合 | -51 | 466 | A2L | 新型エアコン候補 | 次世代主流 |
| R454C | HFC/HFO混合 | -46 | 148 | A2L | 商用冷凍 | 次世代 |
表4: 自然冷媒
自然界に存在する物質を冷媒として使用。GWPが極めて低く長期的な持続可能性が高い。
| 冷媒番号 | 名称 | 化学式 | 沸点(℃) | GWP | 安全等級 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| R290 | プロパン | C3H8 | -42 | 3 | A3 | 業務用冷凍・小型機 |
| R600a | イソブタン | C4H10 | -12 | 3 | A3 | 家庭用冷蔵庫 |
| R717 | アンモニア | NH3 | -33 | 0 | B2L | 業務用大型冷凍 |
| R744 | 二酸化炭素 | CO2 | -78 | 1 | A1 | CO2ヒートポンプ給湯 |
| R1270 | プロピレン | C3H6 | -47 | 2 | A3 | 産業用冷凍 |
表5: CFC・HCFC系(廃止・段階廃止)
塩素を含むためオゾン層を破壊。モントリオール議定書により段階廃止。既存設備の整備時は同等代替冷媒への切替を推奨。
| 冷媒番号 | 化学式 | 沸点(℃) | ODP | GWP | 安全等級 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| R11 | CCl3F | 24 | 1.0 | 4,750 | A1 | 廃止(CFC) |
| R12 | CCl2F2 | -30 | 1.0 | 10,900 | A1 | 廃止(CFC) |
| R22 | CHClF2 | -41 | 0.055 | 1,810 | A1 | 段階廃止中(HCFC) |
| R123 | C2HCl2F3 | 28 | 0.02 | 79 | B1 | 段階廃止中(HCFC) |
| R141b | C2H3Cl2F | 32 | 0.11 | 725 | A2 | 廃止(HCFC) |
🧮 ツール1: GWP × 充填量 → CO2換算
冷媒漏えい・廃棄時のCO2換算量を即算定。フロン排出抑制法の報告・環境負荷評価に。
🔄 ツール2: 旧冷媒 → 推奨置換候補
機器更新時の代替冷媒候補を提示。互換性・環境性能の両面で評価。
📏 ツール3: 部屋容積 → A2L冷媒の安全充填量
IEC 60335-2-40のクラスA2L冷媒(R32等)漏えい時の安全濃度から、室容積に対する最大充填可能量を概算します。
※ 値は IEC 60335-2-40 の家庭用機器向け簡易計算で、LFL(可燃下限)×0.5×室容積を最大充填量目安とする近似。実機器の充填量はメーカー指定値を必ず確認してください。
ASHRAE安全等級とは(ISO 817 / ANSI/ASHRAE 34)
冷媒の安全性を「毒性区分(A/B)」と「燃焼性区分(1/2/2L/3)」の組み合わせで分類した国際規格です。
| クラス1 不燃 | クラス2L 微燃 | クラス2 可燃 | クラス3 強燃 | |
|---|---|---|---|---|
| A 低毒性 | A1 (R410A/R134a/R744) | A2L (R32/R1234yf/R454B) | A2 (R152a) | A3 (R290/R600a) |
| B 毒性 | B1 (R123/R245fa) | B2L (R717アンモニア) | B2 | B3 |
2Lは「微燃性(燃焼速度10cm/s以下)」で2014年改訂で追加された区分。漏えい時の発火リスクは2より小さい。
冷媒の世代と規制の歴史
- 第1世代 自然冷媒(〜1930年代): アンモニア・CO2・SO2・プロパン等。事故多発で人工冷媒に置換。
- 第2世代 CFC(1930年代〜1990年代): R11/R12等の塩素・フッ素化合物。ODP高くオゾン層破壊判明。モントリオール議定書(1987)で先進国 1996年廃止。
- 第3世代 HCFC(1990年代〜現在): R22等のCFC移行用代替。ODPは低いが残存。日本は2020年に新規生産禁止。
- 第4世代 HFC(1990年代後半〜現在): R32/R134a/R410A等。ODP=0だがGWP高い。キガリ改正(2016)で段階廃止予定。
- 第5世代 HFO・自然冷媒(2010年代〜): R1234yf/R454B/R290/R744等。GWP極低。次世代の主流。
GWPとODPの違い
- GWP(地球温暖化係数): CO2を1としたときの温室効果の強さ。本ページではIPCC AR5(第5次評価報告書)の100年GWP値を採用(規制基準)。
- ODP(オゾン破壊係数): CFC-11(R11)を1としたときのオゾン層破壊の強さ。塩素を含むCFC・HCFCで高く、HFC・HFO・自然冷媒は0。
現在の冷媒規制(キガリ改正・フロン排出抑制法)はGWPベースで段階削減を進めるフェーズです。
家庭用エアコンの冷媒変遷
- R22 (〜2010年): HCFC・GWP 1,810。生産禁止に伴い段階廃止。
- R410A (2010〜2015年頃): HFC混合・GWP 2,090。R22の代替として普及。
- R32 (2015年〜現在): HFC単一・GWP 675・A2L微燃性。日本のメーカーが主導して世界標準化。
- R454B / R32/R466A等 (次世代): GWP 150以下を目指す移行が世界的に進行中。
カーエアコンの冷媒変遷
- R12 (〜1994年): CFC・GWP 10,900・ODP 1.0。モントリオール議定書で廃止。
- R134a (1994〜2017年頃): HFC・GWP 1,430・A1不燃。世界中で標準化。
- R1234yf (2017年〜): HFO・GWP 4・A2L微燃性。EUで2017年から義務化、日本・米国・中国でも普及拡大。
よくある質問
Q1. R32とR410Aの違いは?
A. R32は単一冷媒(CH2F2)でGWP 675・安全等級A2L(微燃性)。R410AはR32とR125を50:50で混合したHFC冷媒でGWP 2,090・A1(不燃)。R32は環境負荷がR410Aの約1/3で家庭用エアコンの現在の主流。R410Aは業務用エアコンで現在も使われていますが段階廃止の方向です。
Q2. なぜR22は生産禁止になった?
A. R22(クロロジフルオロメタン)はHCFC系冷媒で、塩素を含むためオゾン層を破壊する性質があります。1987年のモントリオール議定書により段階廃止が決定し、日本では2020年に新規生産が禁止されました。既存設備での使用は可能ですが、補充用は徐々に入手困難になっています。
Q3. R134aがカーエアコンで使われる理由は?
A. R134a(テトラフルオロエタン)はオゾン層を破壊せず(ODP=0)、A1(不燃)で安全性が高く、適度な沸点(-26℃)を持つため、1994年頃から旧CFCのR12を置き換える形で世界中のカーエアコンで採用されました。ただしGWPが1,430と高いため、EUでは2017年からR1234yf(GWP=4)への移行が義務化されています。
Q4. GWP値とは何ですか?
A. GWP(Global Warming Potential、地球温暖化係数)は、CO2を1としたときの温室効果の強さを示す指標です。例えばR410AのGWP=2,090は、1kgの漏えいがCO2 2,090kg分の温暖化効果に相当することを意味します。IPCC AR5(第5次評価報告書)の100年GWP値が現在の規制基準として用いられています。
Q5. 冷媒の安全等級A2Lとは?
A. ISO 817:2014で規定された安全分類で、毒性区分A(低毒性)+燃焼性区分2L(微燃性、燃焼速度10cm/s以下)を意味します。A1(不燃)とA2(可燃)の中間で、R32・R1234yf・R454Bなど低GWP冷媒の多くが該当。漏えい時の発火リスクは小さいですが、密閉空間では適切な換気と充填量制限(IEC 60335-2-40)が必要です。
Q6. プロパン(R290)冷媒は危険ではない?
A. R290(プロパン)は安全等級A3(強燃性)で、可燃性ガスとして取り扱いに注意が必要です。ただしGWP=3と極めて環境性能が高く、家庭用冷蔵庫・小型業務用冷凍機・ヒートポンプで採用が拡大。充填量を150g以下に抑える等の安全規格(IEC 60335-2-89)を遵守すれば安全に運用可能。EUでは2030年までに大半の小型機器がR290化する見込みです。
Q7. CO2が冷媒に使える理由は?
A. R744(CO2、二酸化炭素)は自然冷媒の代表格で、GWP=1(基準値)・ODP=0・A1(不燃)と環境・安全性能が極めて高い冷媒。沸点-78℃と低温対応が可能で、高圧運転(臨界圧力73気圧)が必要ですが、近年は超臨界サイクル技術の発展でエコキュート(CO2ヒートポンプ給湯機)として広く普及しています。
Q8. 古いエアコンの冷媒を新しい冷媒に交換できる?
A. 原則として不可です。冷媒は配管・コンプレッサ・潤滑油・圧力設計が冷媒種類ごとに最適化されているため、別冷媒への置換(レトロフィット)は機器の改造が必要で、メーカー保証外となります。R22機器を運用継続するか、R32等の新冷媒対応機器に丸ごと更新する判断が一般的です。
Q9. キガリ改正とは何ですか?
A. 2016年にモントリオール議定書のキガリ改正で合意された国際枠組みで、HFC冷媒(R32/R410A/R134a等)の段階的削減を規定。先進国は2019年から削減開始し、2036年までに2011-2013年比85%削減。日本でもフロン排出抑制法の改正で対応が進んでおり、低GWP冷媒(HFO・自然冷媒)への移行が加速しています。
Q10. 微燃性冷媒(A2L)を安全に扱うには?
A. 主な対策は3点: ①充填量制限(室内容積に応じた最大充填量をIEC 60335-2-40で算定)、②漏えい検知器の設置(機械室・密閉空間)、③火気・電気火花からの隔離(ガスコンロ等の発火源から離す)。家庭用R32エアコンは設計上の安全対策が施されているため通常使用では問題ありませんが、設置・修理時は資格者(冷媒フロン類取扱技術者)による作業が必要です。
関連する早見表
出典・参考
- ISO 817:2014 — 冷媒指定および安全等級分類
- ANSI/ASHRAE Standard 34 — Designation and Safety Classification of Refrigerants
- IPCC AR5(第5次評価報告書, 2014) — 100年GWP値の規制基準
- IEC 60335-2-40 / -2-89 — 家庭用ヒートポンプ・冷凍機の安全要求事項
- モントリオール議定書 キガリ改正(2016) — HFC段階削減枠組み
- フロン排出抑制法(環境省・経産省 共管) — 国内法規制
- 一般社団法人 日本冷凍空調工業会(JRAIA) 公開技術資料
※ GWP・ODP・沸点・安全等級はISO 817:2014およびIPCC AR5に基づく代表値です。混合冷媒の組成比・最新の規格改訂はメーカー安全データシート(SDS)と最新規格をご確認ください。
最終更新: 2026-05-20