電圧降下計算ツール|電線サイズ・こう長・電流から一発計算
内線規程の簡易式(単相2線式35.6・三相3線式30.8・単相3線式17.8)に基づき、電線サイズ×こう長×電流から電圧降下(V)と降下率(%)を即計算。VVF1.6/2.0/2.6mm〜38mm²で2%以内に収まる最大こう長の早見表、内線規程1310-1の許容値(標準2%・こう長60m超の区分)まで、配線設計・電気工事・試験勉強で必要な値に即答します。
⚡ 電圧降下 即答ボックス
このページについて
電線に電流が流れると導体抵抗により電圧が下がり、負荷端の電圧は電源側より低くなります。これが電圧降下です。低圧屋内配線では内線規程の簡易式(資料1-3-2。単相2線式 e=35.6×L×I/(1000×A) など)で計算し、内線規程1310-1の許容値(標準2%)に収まるよう電線サイズを選定するのが基本です。
本ページは、電気方式・こう長・電流・電線サイズを入れるだけで電圧降下と降下率が出る計算ツールと、単相2線式100Vで2%以内に収まる最大こう長の早見表、許容基準の一覧をまとめたものです。「VVF1.6mmで何mまで引ける?」「20Aでこう長30mなら何mm²必要?」といった配線設計・電気工事・電気工事士試験の確認に即答できます。
⚡ 電圧降下 計算ツール
電気方式・電圧・こう長・電流・電線サイズを入れると、簡易式による電圧降下(V)と降下率(%)を即計算します。単相3線式は平衡負荷として電圧線と中性線の間で計算するため、電圧欄には100(V)を入れてください。
条件を入力すると結果が表示されます。
📐 計算式・前提条件
電圧降下 e(V) = 係数 × L(m) × I(A) ÷ (1000 × A(mm²))、降下率(%) = e ÷ 標準電圧 × 100
係数: 単相2線式・直流2線式 35.6 / 三相3線式 30.8 / 単相3線式・直流3線式・三相4線式 17.8(電圧線と中性線の間)
内線規程の簡易計算式です。力率1・電線のリアクタンス無視・平衡負荷が前提のため、太い電線・長距離・低力率の負荷では精密計算で検証してください。電線の許容電流は別途電線許容電流で確認が必要です。
出典: 内線規程(JEAC 8001) 資料1-3-2(電圧降下計算式)・1310-1(許容電圧降下)
下の入力欄に「1.6mm」「2.0mm」「14mm」などと電線サイズを入力すると、表1の行を絞り込めます(未入力で全表示)。
該当なし
表1: 電圧降下2%以内に収まる最大こう長(単相2線式100V)
単相2線式100V(許容降下2V=2%)で、e=35.6×L×I/(1000×A)から逆算した最大こう長 L=2×1000×A÷(35.6×I) の計算値です(小数第2位以下切り捨て。単線は実断面積2.0mm=3.14mm²・2.6mm=5.31mm²で計算)。
| 電線サイズ | 10A | 15A | 20A | 30A |
|---|---|---|---|---|
| VVF 1.6mm (2mm²) | 11.2m | 7.4m | 5.6m | 3.7m |
| VVF 2.0mm (3.14mm²) | 17.6m | 11.7m | 8.8m | 5.8m |
| VVF 2.6mm (5.31mm²) | 29.8m | 19.8m | 14.9m | 9.9m |
| 8mm² (単線3.2mm) | 44.9m | 29.9m | 22.4m | 14.9m |
| 14mm² | 78.6m | 52.4m | 39.3m | 26.2m |
| 22mm² | 123.5m | 82.3m | 61.7m | 41.1m |
| 38mm² | 213.4m | 142.3m | 106.7m | 71.1m |
※ 表は電圧降下だけからの計算値です。各サイズの許容電流による上限は別のため、電流が電線の許容電流(布設条件で変わる)を超えないことを電線許容電流で必ず確認してください。
※ 単相2線式200Vでは2%=4Vとなるため、最大こう長は表の値の2倍になります。単相3線式(平衡負荷・100V部分)は係数が17.8のため表の値の2倍です。より線3.5mm²・5.5mm²は単線2.0mm・2.6mmより断面積が大きいため、最大こう長は表より約11%・約4%長くなります。こう長60m超の回路では4%以上の区分(表2)を適用できる場合があります。
表2: 許容電圧降下の基準(内線規程1310-1)
低圧配線中の電圧降下は、幹線・分岐回路それぞれで標準電圧の2%以下が原則です(電気使用場所内の変圧器から供給される場合の幹線は3%以下にできます)。供給変圧器の二次側端子または引込線取付点から最遠端の負荷までのこう長が60mを超える場合は、次の区分によることができます(勧告)。
| こう長(最遠端の負荷まで) | 電気事業者から低圧で受電 | 構内変圧器から供給 |
|---|---|---|
| 60m以下(原則) | 2%以下 | 3%以下(幹線) |
| 120m以下 | 4%以下 | 5%以下 |
| 200m以下 | 5%以下 | 6%以下 |
| 200m超過 | 6%以下 | 7%以下 |
※ 60m以下の行が原則(1310-1 1項)で、幹線・分岐回路それぞれ2%以下。「3%以下」は電気使用場所内に施設した変圧器から供給される場合の幹線に適用されます。60m超の区分は勧告事項で、負荷電流により計算します。適用条件は最新版の内線規程1310-1を確認してください。
簡易式と係数(35.6・30.8・17.8)の意味
| 電気方式 | 簡易式 | 電圧降下の対象 |
|---|---|---|
| 単相2線式・直流2線式 | e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A) | 線間 |
| 三相3線式 | e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A) | 線間 |
| 単相3線式・直流3線式・三相4線式 | e' = 17.8 × L × I ÷ (1000 × A) | 電圧線(外側線・各相)と中性線の間 |
基準になる係数は17.8 ≒ 1000/56で、軟銅線の抵抗率(導電率を標準軟銅の97%とした約1/56 Ω·mm²/m)に由来します。単相2線式は往復2本分の抵抗で降下するため35.6 = 17.8×2、三相3線式は線間で√3倍となるため30.8 ≒ 17.8×√3です。単相3線式・三相4線式は平衡負荷なら中性線に電流が流れず、片道1本分の17.8で電圧線〜中性線間の降下を計算します。
※ 簡易式は力率1・電線のリアクタンス無視が前提です。断面積が大きい電線や力率の低い負荷では、リアクタンスを含む精密計算で検証してください。
使い方・選び方のポイント
使用場面
屋内配線・幹線・分岐回路の電線サイズ選定、長距離配線(屋外灯・ポンプ・倉庫など)の事前検討、第二種・第一種電気工事士や電験の計算問題対策に使います。
電線サイズ選定の手順
①負荷電流を求める ②許容電流を満たすサイズを仮選定(ブレーカー定格との協調はブレーカー容量) ③こう長を測り、簡易式で電圧降下と降下率を計算 ④許容値(標準2%、こう長60m超は表2の区分)を超えるならサイズアップして再計算 ⑤電動機など始動電流の大きい負荷は始動時の電圧降下も確認する。
よくある間違い
- こう長と電線長の混同 — こう長Lは配線の片道の距離。往復分は係数(35.6=17.8×2)に織り込み済みで、往復長を入れると2倍の過大計算になります。
- 単相3線式で35.6を使う — 平衡負荷の単相3線式は17.8で、電圧線と中性線の間(100V)の降下を計算します。降下率の分母も100Vです。
- 降下率の分母を間違える — 降下率は「電圧降下÷標準電圧」。三相200Vなら2%=4V、100Vなら2Vです。
- 許容電流の確認漏れ — 電圧降下が2%以内でも、電流が電線の許容電流(布設条件・周囲温度で変わる)を超えていれば使えません。逆に許容電流内でも長距離では電圧降下で不適になります。
- 簡易式の適用範囲外での使用 — 力率の低い負荷・断面積の大きい電線・長距離では、リアクタンス無視の簡易式は誤差が大きくなるため精密計算が必要です。
電圧降下と配線設計の背景
電線は断面積A・長さLに応じた抵抗R=ρL/Aを持ち、電流Iが流れるとオームの法則により e=IR の電圧が電線上で失われます。負荷端の電圧はその分だけ下がるため、こう長が長い・電流が大きい・電線が細いほど電圧降下は大きくなります。簡易式の係数は、この導体抵抗(軟銅線)を電気方式ごとの回路構成(往復2線・三相・中性線あり)に当てはめて定数化したものです。
許容値が標準電圧の2%と定められているのは、電気機器が定格電圧付近で使われることを前提に設計されているためです。電圧が下がると照明はちらつき・光量低下、電動機は始動不良やトルク低下(トルクはほぼ電圧の2乗に比例)、電熱器は発熱量低下を起こします。一方、こう長が60mを超える長距離配線で一律2%を要求すると電線が過大になるため、内線規程はこう長に応じて4〜7%まで認める現実的な区分(勧告)を設けています。
実務の電線サイズ選定は「許容電流」と「電圧降下」の二段構えです。短い分岐回路では許容電流が支配的ですが、こう長が10mを超えるあたりから電圧降下が効きはじめ、屋外灯・ポンプ・門扉など長距離の回路では電圧降下でサイズが決まることがほとんどです。表1のとおり、VVF1.6mm(2mm²)は20Aではわずか5.6mで2%に達するため、長さのある回路では一段〜二段太い電線を選ぶのが定石です。
よくある質問
Q1. 電圧降下の簡易計算式は?
A. 単相2線式(直流2線式)は e=35.6×L×I÷(1000×A)、三相3線式は e=30.8×L×I÷(1000×A)、単相3線式・直流3線式・三相4線式(電圧線と中性線の間)は e'=17.8×L×I÷(1000×A) です。L=こう長(m)、I=電流(A)、A=電線の断面積(mm²)。内線規程の簡易計算式(資料1-3-2)で、力率1・リアクタンス無視が前提です。
Q2. 電圧降下の許容値は何%ですか?
A. 内線規程1310-1では、低圧配線の電圧降下は幹線・分岐回路それぞれで標準電圧の2%以下が原則です(電気使用場所内の変圧器から供給される場合の幹線は3%以下)。こう長が60mを超える場合は、こう長に応じて4%〜7%まで認める区分(勧告)があります。
Q3. こう長とは何ですか?電線の往復の長さですか?
A. こう長は配線の片道の距離(m)です。往復分の電線抵抗は式の係数(35.6=2×17.8など)に織り込み済みのため、Lには片道の長さを入れます。往復の電線長を入れると約2倍の過大な計算になります。
Q4. VVF1.6mm(2mm²)・20A・こう長15mの電圧降下は?
A. 単相2線式100Vなら e=35.6×15×20÷(1000×2)=5.34V(5.34%)で、標準値2%を大きく超えます。より線5.5mm²なら e=35.6×15×20÷(1000×5.5)≒1.94V(約1.94%)で2%以内、VVF2.6mm(実断面積5.31mm²)では e≒2.01V とわずかに超えるため、余裕を見るなら8mm²(単線3.2mm)で e≒1.34V(約1.34%)です。
Q5. 単相3線式100/200Vの回路はどの式を使いますか?
A. 平衡負荷であれば e'=17.8×L×I÷(1000×A) を使い、電圧線と中性線の間(100V)の電圧降下として計算します(降下率の分母は100V)。中性線に大きな電流が流れる不平衡負荷では簡易式の前提から外れるため、精密計算が必要です。
Q6. 簡易式(35.6・30.8・17.8)はいつでも使えますか?
A. 力率1・電線のリアクタンス無視を前提とした式のため、断面積の小さい電線・短いこう長の屋内配線向けです(目安)。太い電線や長距離、力率の低い負荷ではリアクタンス分を含む精密計算(ベクトル計算など)で検証してください。
Q7. 三相3線式200Vで2%は何Vですか?
A. 200V×0.02=4Vです。三相3線式の簡易式 e=30.8×L×I÷(1000×A) で計算した線間の電圧降下が4V以下なら2%以内です。同様に100Vでは2V、415Vでは8.3Vが2%に相当します。
Q8. 電圧降下が大きいとどんな問題が起きますか?
A. 負荷端の電圧が下がり、照明の明るさ低下やちらつき、電動機の始動不良・トルク低下(トルクはほぼ電圧の2乗に比例)、制御機器の誤動作などの原因になります。特に始動電流の大きい電動機回路やこう長の長い回路では、許容電流だけでなく電圧降下でも電線サイズを検証する必要があります。
関連する早見表
出典・参考
- 内線規程(JEAC 8001) — 1310節(電圧降下): 1310-1(許容電圧降下: 標準2%・こう長60m超の区分)、資料1-3-2(電圧降下計算式)
- 電気設備の技術基準・解釈 — 低圧配線・電気使用場所の施設に関する規定(電圧降下の許容値自体は内線規程による)
※ 本ページの係数・許容値は内線規程の規定に基づき、表1は簡易式からの計算値です。規程は改定されることがあるため、設計・施工の際は最新版の内線規程の原文を必ず確認してください。
最終更新: 2026-07-11