スペック早見表

耐切創手袋レベル早見表|EN388の「4X42F」の読み方とA〜Fの強さ

作業手袋の甲に印字された「4342」や「4X42F」という暗号を、1文字ずつ解読するページです。並びは左から摩耗・切創(クープ)・引裂・突刺・切創(TDM法A〜F)・衝撃P。手元の手袋の印字とこのページを照らせば、何にどれだけ耐えるかが分かります。

🧤 EN388表示 解読ボックス

読み順摩耗→切創→引裂→突刺→A〜F→P例: 4X42F+P
数字の意味大きいほど高性能各項目1〜4(切創のみ1〜5)
A〜F(TDM法)Fが最高A=2N 〜 F=30N
X未試験性能ゼロの意味ではない
P耐衝撃合格甲の衝撃保護
一般作業の通例レベルC前後ガラス・鋼板はD〜F

印字「4X42F+P」を左から分解すると

位置例の値項目この例の意味
1文字目4耐摩耗性(1〜4)最高。8,000回の摩耗に耐えた
2文字目X耐切創性・クープテスト(1〜5)未試験(高性能繊維のためTDM法で評価)
3文字目4耐引裂性(1〜4)最高。75N以上の引裂に耐えた
4文字目2耐突刺性(1〜4)60N以上の突刺に耐えた
5文字目F耐切創性・TDM法(A〜F)最高。切断に30N以上必要
末尾P耐衝撃性(あれば)甲の耐衝撃試験に合格

※ 旧版(EN388:2003)の手袋は「4342」のような4文字だけの表示です。5文字目以降があるのは2016年改正版で試験されたもの。

表1: 各項目のレベル判定基準(EN388:2016)

よく使う:
項目(位置)レベル1レベル2レベル3レベル4レベル5
耐摩耗性(1文字目)
摩耗回数
100回500回2,000回8,000回
耐切創性・クープテスト(2文字目)
指数
1.22.55.010.020.0
耐引裂性(3文字目)
引裂に要する力
10N25N50N75N
耐突刺性(4文字目)
突刺に要する力
20N60N100N150N

※ 各値は「以上」の下限値。クープテストは円形刃を5Nで往復させ、基準布との比(指数)で判定します。

表2: TDM法(ISO 13997)の耐切創レベルA〜F

レベル切断に必要な荷重使われ方の通例
A2N以上ごく軽い切創リスク
B5N以上軽作業・組立
C10N以上一般の組立・板金・物流(売れ筋帯)
D15N以上鋼板・ガラスの取扱い
E22N以上重度の切創リスク
F30N以上最高レベル。鋭利物の常時取扱い

※ 新品の刃で20mm切断するのに必要な荷重で判定。「使われ方の通例」は一般的な目安であり、実際の選定は作業のリスクアセスメントとメーカーの適合表が正です。

よくある間違い

  • 「A〜FのAが一番強い」 — 逆です。A(2N)→F(30N)の順で強くなります。成績のA評価とは違う。
  • Xを「性能なし」と読む — Xは未試験の意味。高性能手袋ほどクープ欄がXでTDM欄にD〜Fが入ります。
  • 耐切創=防刃と思う — EN388は「刃が滑って切る」への抵抗。ナイフの突き・注射針は別規格の領域で、動力刃物(チェーンソー等)には専用保護具が必要です。
  • 旧版(4桁)と新版(5〜6文字)の等級を直接比べる — クープテストの2桁目とTDMのA〜Fは試験法が別。比べるならTDM同士で。
  • ボロボロの高級手袋を使い続ける — 表示値は新品時の性能。摩耗・穴あきが出たら等級にかかわらず交換。

なぜ切創だけ2つの試験があるのか

2016年改正の核心は、クープテストの「刃が負ける」問題への対処でした。従来のクープテストは同じ円形刃を往復させ続けるため、ガラス繊維や高強度ポリエチレンを編み込んだ現代の耐切創手袋では布より先に刃が鈍り、実力より高いレベルが出てしまう。そこで毎回新品の刃で「何ニュートンで切れるか」を直接測るTDM法(ISO 13997)が導入され、6段階(A〜F)に細分されました。手袋の印字で2桁目がXになっているのは手抜きではなく、「この素材はクープテストでは正しく測れないのでTDM法を見てくれ」という規格からのメッセージです。

「記号を1文字ずつ読む」型の規格は、IP規格(IPX7等)洗濯表示と同じ構造です。保護具の仲間では安全靴の規格防塵マスクとあわせてどうぞ。

よくある質問

Q1. 手袋に書いてある「4342」はどういう意味?

A. 左から耐摩耗4・耐切創(クープ)3・耐引裂4・耐突刺2。数字が大きいほど高性能。2016年版では5文字目にA〜F、末尾にPが付くことがあります。

Q2. 耐切創レベルのAとFはどちらが強い?

A. Fが最高です。A=2N→F=30Nの順に強くなります。一般作業はC前後、ガラス・鋼板はD〜Fが通例。

Q3. 表示の中の「X」は何?

A. 未試験の意味で、性能ゼロではありません。高性能品はクープ欄をXにしてTDM法(A〜F)で表示します。

Q4. クープテストとTDM法は何が違う?

A. クープ=円形刃の往復回数から指数(1〜5)、TDM=新品の刃での切断荷重を直接測定(A〜F)。刃が鈍る高性能繊維を正しく測るために2016年からTDM法が追加されました。

Q5. 耐切創手袋なら刃物も釘も防げる?

A. 別物です。突きは4文字目の耐突刺性の領域で、しかも試験針は先が丸く、ナイフや針を想定した防刃・耐針規格とは異なります。「切れない」保証でもありません。

Q6. 洗濯すると性能は落ちる?

A. 表示値は新品状態の試験結果です。洗濯可否はメーカーの取扱表示に従い、摩耗・穴あきが出たら交換してください。

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出典・参考

  • EN 388:2016(機械的リスクに対する保護手袋)・EN ISO 13997(TDM法) — 各試験のレベル判定値
  • カケンテストセンター・手袋メーカー(ショーワ・シモン・アンセル等)の規格解説 — 摩耗100〜8,000回、引裂10〜75N、突刺20〜150N、TDM 2〜30Nの各基準と表示順

※ 本ページは表示の読み方を引くための早見表です。どのレベルの手袋が必要かは作業のリスクアセスメントで決まります。選定は職場の安全管理者・メーカーの用途適合表に従ってください。いかなるレベルも「切れない」ことを保証するものではありません。

最終更新: 2026-08-20