スペック早見表

熱収縮チューブ早見表|収縮率・径の選び方

電線の絶縁・保護・識別に使う熱収縮チューブ(収縮率2:1のポリオレフィン標準系列)について、呼び径φ1〜φ30の収縮後内径と適用対象外径の目安を一覧表示。2:1/3:1/4:1収縮率の使い分け、使用温度の一般値、選定3ステップと加熱作業の注意点をまとめました。数値はUL 224を参考にした一般的な公称値で、メーカー固有の値は含みません。

📌 まず結論:標準は「収縮率2:1のポリオレフィン」

  • 収縮後内径 ≒ 呼び径(供給時内径)の約1/2。φ10のチューブは加熱後に約φ5まで縮む。
  • 選び方の一般則:対象物の外径が「収縮後内径×1.2 〜 呼び径×0.8」の範囲に入る呼び径を選ぶ(緩すぎず・通らなくならない範囲)。
  • 長さは約5%縮むので、必要被覆長より5〜10%長めに切る。
  • 段差やコネクタを跨ぐときだけ3:1・4:1の高収縮率品を使う。
対象物の外径(例)推奨呼び径(2:1品)
約1.5mm(細物リード線)φ2
約2mmφ3
約3mmφ4
約5mmφ8
約8mmφ12
約10mmφ15

※ いずれも下表の適用範囲(収縮後内径×1.2〜呼び径×0.8)に収まる組み合わせです。

収縮率2:1 標準系列 早見表(呼び径φ1〜φ30)

呼び径=供給時(収縮前)の内径。収縮後内径は「呼び径の約50%」という2:1品の公称値です。適用対象外径の目安は「収縮後内径×1.2 〜 呼び径×0.8」の一般則で算出しています。実際の公称寸法・許容差はメーカー・シリーズごとに多少異なるため、確実を期す場合は購入品のカタログ値で最終確認してください。

呼び径
(収縮前内径)
収縮後内径
(公称・約)
適用対象外径の目安
φ10.5mm0.6〜0.8mm
φ1.50.75mm0.9〜1.2mm
φ21.0mm1.2〜1.6mm
φ2.51.25mm1.5〜2.0mm
φ31.5mm1.8〜2.4mm
φ42.0mm2.4〜3.2mm
φ52.5mm3.0〜4.0mm
φ63.0mm3.6〜4.8mm
φ84.0mm4.8〜6.4mm
φ105.0mm6.0〜8.0mm
φ126.0mm7.2〜9.6mm
φ157.5mm9.0〜12.0mm
φ2010.0mm12.0〜16.0mm
φ2512.5mm15.0〜20.0mm
φ3015.0mm18.0〜24.0mm

※ オレンジ網掛けは電子工作・電気工事で特に使用頻度の高いサイズ。上の入力欄で数値を打つと該当行だけに絞り込めます(絞り込みなしでも全行表示)。

収縮率の使い分け(2:1 / 3:1 / 4:1)

収縮率特徴主な使いどころ
2:1
(標準)
種類・サイズ・在庫が最も豊富で安価。まずこれを検討電線・端子部の絶縁、保護、識別、結束端末処理などの一般用途
3:1収縮幅が大きい。内面に接着剤(ホットメルト)付きの防水タイプも多い径の段差がある接続部、防水・防湿処理が必要な屋外配線
4:1収縮幅が最も大きいコネクタ跨ぎ:太いコネクタ・端子を通した後、細いケーブル部に密着させる用途

2:1品は「通したい最大径」と「密着させたい最小径」の比が2倍未満の対象にしか使えません。例えばφ12のコネクタを通してφ4のケーブルに密着させたい場合、比が3倍なので3:1以上が必要になります。

材質と使用温度の一般値

項目一般値(ポリオレフィン2:1品)
連続使用温度-55〜125℃
収縮開始温度約90℃
完全収縮温度110〜120℃(目安)

市販の熱収縮チューブの主流は架橋ポリオレフィンです。より高温の環境や耐薬品性が必要な場合はフッ素樹脂系・シリコーンゴム系などの製品もありますが、収縮温度・使用温度は材質と製品ごとに大きく異なるため、必ず該当製品の仕様で確認してください。電気絶縁用として使う場合は、定格電圧・定格温度・難燃性(VW-1等)が表示されたUL 224認定品などを選びます。

使い方・選び方(選定3ステップ)

  1. 対象物の外径を測る — ノギスで被覆する部分の最大外径を実測する。圧着端子やスプライス部を覆う場合は、その膨らみ部分が最大径。
  2. 収縮後に密着する呼び径を選ぶ — 対象外径が「収縮後内径×1.2〜呼び径×0.8」に入るサイズを上の表から選ぶ。迷ったら細い側(収縮後内径が対象外径に近い方)を選ぶと締め付けが確実。
  3. 長さは5〜10%長めに切る — 軸方向にも約5%縮むため、必要被覆長ぴったりでは足りなくなる。端部の絶縁なら被覆と導体露出部の両方に十分かかる長さを確保する。

加熱はヒートガンで、チューブの中央から端へ、全周に均一に熱を回すのが基本です。片側から順に収縮させると内部の空気が押し出され、シワ・エア残りのない仕上がりになります。

よくある間違い・実務の注意点

  • ライターの直火であぶる — 局所過熱で焦げ・穴あき・収縮ムラが起きやすく、絶縁品質を損ないます。ヒートガンでの均一加熱が原則です。
  • オーバーヒート — 完全収縮後も加熱を続けると、軟化・変形・溶融や割れの原因になります。全周が密着したら加熱をやめます。
  • 「通ればいい」でサイズを選ぶ — 呼び径ギリギリの対象に通すと挿入しにくいだけでなく、収縮の余裕がなく密着不足になります。逆に太すぎる呼び径では収縮しきっても締め付かず、ずれ・浸水の原因になります。
  • 電圧のかかる部位に非絶縁品を使う — 結束・識別用の安価な品は絶縁性能が保証されていないことがあります。電気絶縁用途では定格電圧・難燃性表示のある製品(UL 224認定品など)を確認して使います。
  • 切り口が斜め・バリ付きのまま加熱する — 収縮時に切り口から裂けが進むことがあります。ハサミで直角にきれいに切ってから使います。

熱収縮チューブが縮む原理

熱収縮チューブの主材料は架橋ポリオレフィンです。製造時にはまず細い径で押出成形し、電子線照射などで分子鎖どうしを架橋(網目状に結合)させます。その後、加熱しながら径を機械的に拡げ、拡げた状態のまま冷却して形状を固定します。この「拡径状態」が店頭に並ぶチューブの姿です。

使用時に再び加熱すると、架橋された分子網目が元の細い形状に戻ろうとする力(形状記憶効果)が働き、チューブは成形時の径に向かって収縮します。架橋によって分子構造が固定されているため、加熱しても溶けて流れることなく、ゴム状の弾性を保ったまま対象物に密着して止まります。収縮率2:1・3:1といった値は、この「拡げた径」と「元の径」の比にほかなりません。

収縮が始まるのは材料が軟化する約90℃前後からで、110〜120℃程度で拡径時のひずみがほぼ解放されて完全収縮に至ります。一方、連続使用温度(-55〜125℃が一般値)はこれとは別の指標で、収縮後のチューブが絶縁・保護性能を維持できる温度範囲を示します。両者を混同しないことが、耐熱選定の基本です。

よくある質問

Q1. 収縮率2:1とはどういう意味ですか?

A. 加熱すると内径が供給時の約1/2まで縮む、という意味です。例えば呼び径φ10のチューブは収縮後に約φ5まで縮みます。収縮率は径方向の値で、長さ方向は別に約5%前後縮みます。

Q2. 収縮後の内径はどのくらいになりますか?

A. 2:1品では公称で呼び径の約50%です(φ6→約φ3)。ただし途中で対象物に当たればそこで止まり密着するため、実際の仕上がり径は対象物の外径になります。確実に締め付けるには、対象外径が収縮後内径(公称)より太いことが必要です。

Q3. 3:1や4:1の高収縮率品はいつ使いますか?

A. 段差のある部分やコネクタを跨いで被覆する場合です。太い部分(コネクタ・端子)を通せる供給径と、細い部分(ケーブル)に密着する収縮後径の両立が必要なとき、2:1では収縮幅が足りないため3:1・4:1を選びます。

Q4. 何℃で収縮しますか?

A. 一般的なポリオレフィン製では約90℃前後から収縮が始まり、110〜120℃程度で完全収縮するのが目安です。重要なのはヒートガンの設定温度ではなくチューブ自体の温度なので、全周に均一に熱を回すことがきれいに仕上げるコツです。

Q5. 長さはどのくらい縮みますか?

A. 径方向だけでなく軸方向にも約5%前後縮みます。必要な被覆長ぴったりに切ると収縮後に足りなくなるため、5〜10%程度長めに切り出すのが実務の定石です。

Q6. ドライヤーで収縮できますか?

A. 一般的な家庭用ヘアドライヤーの温風は吹き出し口付近でも100〜120℃程度で、少し離れると温度が大きく下がるため、チューブを完全収縮温度(110〜120℃目安)まで加熱できず、収縮しないか不完全な収縮になりがちです。確実に作業するにはヒートガン(工業用ドライヤー)を使います。

Q7. ライターであぶってもいいですか?

A. 推奨されません。炎が直接当たると局所的に過熱されて焦げ・穴あき・収縮ムラの原因になります。電気絶縁用途では絶縁品質を損なうおそれがあるため、ヒートガンでの均一加熱が原則です。

Q8. 電気絶縁用として使えますか?

A. 電気絶縁用に設計された製品(UL 224認定品など)であれば使えます。パッケージの定格電圧・定格温度・難燃性(VW-1等)の表示を必ず確認してください。装飾用・結束用として売られている安価な品は、絶縁性能が保証されていないことがあります。

関連する早見表

関連規格・出典

  • UL 224「Extruded Insulating Tubing」 — 絶縁チューブの安全規格。本ページの2:1標準系列・定格表示(VW-1等)の参考
  • 一般的なポリオレフィン熱収縮チューブ(収縮率2:1)の公称系列 — 呼び径・収縮後内径(呼び径の約50%)は業界で広く共通する公称値

本ページの数値は一般的な公称値・一般則によるもので、特定メーカーの保証値ではありません。個別製品の寸法・許容差・定格は各製品のカタログ値で確認してください。

最終更新: 2026-07-03