スペック早見表

遮音等級早見表|D値・L値(Lr)・T値の意味とLL-45・T-2などの目安

仕様書・カタログ・マンション広告に出てくる遮音の3指標——壁のD値(大きいほど良)・床のL値(小さいほど良)・サッシのT値(T-1〜T-4)の読み方が3秒で引けます。等級と生活実感の目安、ΔL等級への移行も。性能の判断・保証は設計者・測定者の領域です。

🔇 遮音等級 即答ボックス

D値(壁・空気音)大きいほど高遮音D-50は優秀
L値(床衝撃音)小さいほど高遮音LL-45がマンション定番
T値(サッシ)T-1〜T-4T-4が最高・約40dB相当
LLとLH軽量/重量衝撃音スプーン落下/飛び跳ね
床材の表示ΔL等級へ移行ΔLL(I)-4など・大が良
規格JIS A 1419 / A 4706Dr・Lrは現行表記

このページについて

遮音の等級は「音の種類ごとに別の指標」になっています。話し声のように空気で伝わる音はD値(室間音圧レベル差・JIS A 1419-1)、足音のように床を直接叩く音はL値(床衝撃音レベル・JIS A 1419-2)、窓・ドアを通り抜ける外の音はT値(JIS A 4706・A 4702)。しかもD値は大きいほど良く、L値は小さいほど良いという逆向きの読み方をするため、混同が絶えません。本ページはこの3つの読み方と目安を一枚にまとめたものです。

表1: 壁のD値(空気音の遮断)と生活実感の目安

よく使う:
等級隣室のピアノ・ステレオ(大きい音)の聞こえ方の目安使われ方の目安
D-55かすかに聞こえるグレードの高い分譲マンション界壁・音楽室まわり
D-50小さく聞こえる分譲マンション界壁の標準的な設計水準
D-45聞こえる(曲がわかる)集合住宅界壁のひとつ下の水準
D-40よく聞こえる賃貸集合住宅で見られる水準・戸建の間仕切り上位
D-35かなり聞こえる一般的な住宅内の間仕切り壁
D-30以下話し声も筒抜けに近い簡易な間仕切り

※ 聞こえ方は日本建築学会の遮音性能基準の考え方を参考にした目安。実際の体感は音源の大きさ・暗騒音・個人差で変わります。現行JISの表記はDr値(意味・読み方は同じ)。

表2: 床のL値(床衝撃音)と生活実感の目安

等級上階の音の聞こえ方の目安使われ方の目安
L-40ほとんど聞こえない〜かすか高グレード分譲の設計水準
L-45(LL-45)聞こえるが意識するほどではない分譲マンションの定番要求水準(学会1級相当)
L-50小さく聞こえ、気になり始める集合住宅の標準〜やや下
L-55発生音が聞こえ、うるさく感じることも旧い集合住宅で見られる水準
L-60以上よく聞こえる木造・軽量鉄骨の素床など

LL=軽量床衝撃音(スプーン落下・椅子の引きずり。床材で改善しやすい)、LH=重量床衝撃音(子どもの飛び跳ね。スラブ厚・躯体剛性で決まり床材では改善しにくい)。現行JIS表記はLr値。マンションの体感はLH側で決まることが多い点に注意。

表3: サッシ・ドアのT値(JIS A 4706)

等級遮音性能の目安使われ方の目安
T-125dB相当の等級線一般住宅の標準サッシ
T-230dB相当の等級線幹線道路沿い・防音を意識したサッシ
T-335dB相当の等級線線路・幹線至近、二重サッシや防音サッシ
T-440dB相当の等級線空港周辺・スタジオ等の高遮音仕様

※ T値は125Hz〜4kHzの音響透過損失が規定の遮音等級線を全帯域で上回るかで判定します(「T-2=全周波数で30dB」ではありません)。等級なし(T-1未満)の普及サッシも多くあります。窓の遮音はガラスよりも隙間(気密)が支配的です。

ΔL等級(床材の低減性能表示)

フローリングなど床材の製品カタログは、従来の「推定L等級(LL-45相当)」からΔL等級表示へ移行しています。ΔLは「その床材を敷くことで衝撃音がどれだけ小さくなるか」という低減量の等級で、ΔLL(I)-1〜5(軽量衝撃音)・ΔLH(I)-1〜4(重量衝撃音)、数字が大きいほど低減量が大きいと読みます。建物としてのL値は「スラブ(躯体)の素性+床材のΔL」の組合せで決まるため、床材単体で「この部屋はLL-45になる」とは言えない——これが推定L等級が廃れた理由です。

よくある間違い

  • D値とL値の向きを混同する — D値は大きいほど良、L値は小さいほど良。D-50とL-50はまったく意味が違います。
  • LL-45のフローリング=静かな部屋と思う — 軽量衝撃音の等級であり、重量衝撃音(LH)はスラブ厚次第。子どもの足音はLL値では測れません。
  • T-2サッシ=30dBカットと読む — 等級線判定なので周波数により異なります。低音側はもっと通ります。
  • 等級=保証値と思う — 実験室値と現場実測(側路伝搬・施工精度)は別物。現場では設計値より5dB程度落ちることも普通です。
  • 壁だけ・窓だけ対策する — 遮音は最弱部で決まります。D-50の壁でも換気口・ドア下の隙間があれば台無しです。
  • 音の悩みを等級だけで解決しようとする — どの等級が必要かは音源・立地・間取りに依存する設計判断です。具体の物件は騒音測定・設計者への相談を。

遮音等級のしくみ

音の伝わり方は物理的に2系統あります。空気伝搬音(話し声・テレビ)は壁の質量が効くため「重い壁ほど遮音が良い」という質量則が支配し、これを評価するのがD値。固体伝搬音(足音・給排水音)は構造体そのものが振動して伝わるため、壁を厚くしても止まらず、スラブ厚・浮き床・防振が効きます。これを評価するのがL値。指標が2本立てなのは、対策がまったく別物だからです。

等級の測定はJIS A 1419(評価方法)とJIS A 1416/1418(測定方法)の体系で、タッピングマシン(軽量)とバングマシン/ゴムボール(重量)という標準音源を使います。「LL-45」という一見客観的な数字も、標準音源での実験室・現場測定値を等級線に当てはめた結果であって、生活音そのものではありません。だからこのページの生活実感はあくまで目安——マンション選び・リフォームで遮音が決定的に重要な場合は、設計者・音響測定の専門家に個別条件で確認してください石膏ボード断熱材窓サッシ規格と組み合わせて使えます。

よくある質問

Q1. D値とL値は何が違う?

A. D値=壁越しの空気音の減り(大きいほど良)、L値=床衝撃音の下階での聞こえ(小さいほど良)。向きが逆なのが最大の注意点です。

Q2. LL-45とはどういう意味?

A. 軽量床衝撃音の等級がL-45ということ。マンション床の定番要求水準(学会1級相当)で、「聞こえるが意識するほどではない」程度の目安です。重量衝撃音はLH等級です。

Q3. T-1とT-4はどちらが高性能?

A. T-4が最高です。目安はT-1=25dB、T-2=30dB、T-3=35dB、T-4=40dB相当(等級線判定)。標準サッシはT-1前後です。

Q4. DとDr、LとLrの違いは?

A. JIS A 1419の現行表記がDr・Lrで、読み方(Dr大=高遮音、Lr小=高遮音)は従来のD値・L値と同じです。図面・カタログでは新旧が混在しています。

Q5. ΔL等級とは? 推定L等級と何が違う?

A. ΔL等級は床材単体の低減量の表示(ΔLL(I)-1〜5・大きいほど良)。建物のL値は躯体+床材で決まるため、床材に「LL-45」と書く推定L等級は廃止方向になりました。

Q6. D-45の壁なら隣の音は聞こえない?

A. 大きい音は小さく聞こえ得ます。D-45は「ピアノがかすかに〜聞こえる」水準の目安で、無音の保証ではありません。現場では隙間・側路伝搬で設計値より落ちるのが普通です。

関連する早見表

出典・参考

  • JIS A 1419-1/-2 — 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法(空気音遮断性能Dr・床衝撃音遮断性能Lr)
  • JIS A 4706(サッシ)・JIS A 4702(ドアセット) — 遮音等級T-1〜T-4と遮音等級線
  • JIS A 1416・A 1418 — 音響透過損失・床衝撃音の測定方法
  • 日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」 — 適用等級と生活実感の目安

※ 生活実感の記述は目安であり、実際の聞こえ方は音源・施工・立地・個人差で変わります。物件の遮音性能の判断・保証、必要等級の選定は、設計者・確認検査機関・音響測定の専門家によってください。

最終更新: 2026-08-06