スペック早見表

表面処理・めっき記号 早見表|JIS H 0404の電気めっき記号と膜厚

Ep=電気めっき。図面のめっき記号(JIS H 0404)の読み方、亜鉛・ニッケル・クロム・すず・金・銀の目的(耐食・装飾・機能)と一般膜厚の目安、溶融亜鉛めっき(JIS H 8641 HDZ)の付着量区分、三価/六価クロメート(RoHS)まで、設計・調達・現場で必要な確認に即答する早見表です。

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Ep電気めっきElectroplating。JIS H 0404の記号の先頭
記号の読み方Ep-Fe/Zn8鉄鋼素地に亜鉛めっき 最小8μm
溶融亜鉛めっきHDZT(旧HDZ)JIS H 8641。2021改正で膜厚基準へ。旧HDZ35→現行HDZT49
耐食の主役亜鉛(犠牲防食)亜鉛が先に腐食して鉄を守る
RoHS対応三価クロメート六価クロムは規制対象
混同注意クロムめっき≠クロメート前者は金属めっき、後者は化成処理

このページについて

表面処理は、素地の金属を保護(耐食)・装飾・機能付与するために表面へ皮膜を作る処理の総称です。図面では、電気めっきをJIS H 0404(電気めっきの記号による表示方法)の記号で、溶融亜鉛めっきをJIS H 8641(溶融亜鉛めっき)のHDZ記号で指定します。本ページは、これらの記号の読み方と、めっき種類ごとの用途・膜厚の目安を一覧化した早見表です。

「Ep-Fe/Zn8はどう読む?」「HDZ35の膜厚は?」「電気亜鉛と溶融亜鉛は何が違う?」「三価クロメートと六価クロメートは?」といった、設計・調達・現場で頻発する確認に即答できる構成です。

下の入力欄に「亜鉛」「ニッケル」「耐食」「装飾」「電気接点」などと入力すると、表1(電気めっきの種類)の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う:

表1: 電気めっきの種類・目的・用途・膜厚の目安

めっきの種類(記号)主な目的主な用途一般膜厚の目安(μm)色・外観
亜鉛めっき Zn耐食(犠牲防食)鉄鋼のねじ・ボルト・板金・金具・建材5〜25(目安)銀白色〜有色(クロメートによる)
ニッケルめっき Ni耐食・装飾・下地装飾部品・機械部品、クロムめっきの下地5〜30(目安)銀白色(半光沢・光沢)
装飾クロムめっき Cr装飾・耐食・耐指紋水栓金具・自動車外装(Ni下地の上に薄く)0.1〜0.5(目安)青みのある銀白色
硬質クロムめっき Cr機能(耐摩耗)金型・シャフト・ロール・シリンダ数十〜数百(目安)銀白色
すずめっき Sn耐食・はんだ付け性・電気接点電子部品の端子・リード、食缶2〜15(目安)銀白色
金めっき Au電気接点・耐食・装飾コネクタ・接点・端子、装飾品0.05〜3(目安)金色
銀めっき Ag導電・電気接点・装飾電気接点・反射面、装飾品1〜10(目安)白色(光沢)
銅めっき Cu下地・導電ニッケル/クロムの下地、電子部品1〜20(目安)赤褐色

※ 膜厚は代表的な範囲の目安であり、規格値ではありません。実際の指定膜厚は用途・使用環境・図面指示によります。目的・用途の区分は一般的な使い分けの整理です。

表2: 電気めっき記号の構成(JIS H 0404)

電気めっきの表示はEpで始め、素地・めっき金属・膜厚・後処理を並べて表します。並びの基本は Ep-素地/めっき金属 膜厚 後処理 です。

位置記号(例)意味
先頭Ep電気めっき(Electroplating)を表す
素地Fe / Cu / Zn / Al / PL素地の材質(Fe=鉄鋼、Cu=銅・銅合金、Zn=亜鉛合金、Al=アルミ及びアルミ合金、PL=プラスチック)
めっき金属Zn / Ni / Cr / Cu / Sn / Au / Agめっきする金属(亜鉛・ニッケル・クロム・銅・すず・金・銀 など)
膜厚数字(μm)めっきの最小厚さをμmで表す(例: 8 = 最小8μm)
後処理など記号光沢の程度やクロメートなどの後処理を表す記号を付記

例: Ep-Fe/Zn8 = 鉄鋼素地に亜鉛めっきを最小厚さ8μm。この後ろにクロメートなどの後処理記号が続く場合があります。記号の細部(後処理の表記など)は最新のJIS H 0404の本文で確認してください。

表3: 溶融亜鉛めっきの種類の記号(JIS H 8641)|旧HDZ(付着量)→現行HDZT(膜厚)

溶融亜鉛めっき(どぶ漬け)の記号は、2021年12月の改正で付着量基準のHDZから膜厚基準のHDZTへ変わりました。旧HDZは続く数字が最小付着量(g/m²)の1/10(HDZ35=最小付着量350g/m²以上)、現行HDZTは続く数字が最小膜厚(μm)を表します(HDZT49=最小膜厚49μm以上)。旧HDZ指定の図面・製品も流通するため、両者を対応づけて示します(素材厚さの適用区分が対応)。

旧記号(付着量基準)最小付着量(g/m²)膜厚換算の目安(μm)現行記号(膜厚基準)
HDZ35350以上約49(目安)HDZT49(49μm以上)
HDZ40400以上約56(目安)HDZT56(56μm以上)
HDZ45450以上約63(目安)HDZT63(63μm以上)
HDZ50500以上約70(目安)HDZT70(70μm以上)
HDZ55550以上約77(目安)HDZT77(77μm以上)

※ 2021年12月20日の改正で現行JIS H 8641は膜厚基準(HDZT)へ移行し、旧HDZ(付着量基準)の記号は現行規格では使われません。旧図面との対応のため両者を併記しています。膜厚換算値は亜鉛の密度(約7.14g/cm³)による換算(付着量g/m² ÷ 7.14 ≒ μm)で、目安です。どの記号を適用するかは素材の厚さ等で区分され(番号が大きいほど厚い素材向け)、旧HDZと現行HDZTは素材厚さの適用区分が対応します。適用区分の詳細は最新のJIS H 8641で確認してください。

化成処理・陽極酸化の概要

めっき(金属の析出)以外にも、化学反応で皮膜を作る化成処理や、電解で酸化皮膜を作る陽極酸化があります。代表的なものを整理します。

処理主な対象素地目的・特徴
クロメート処理亜鉛めっき上・亜鉛合金・アルミ亜鉛めっきの後処理として耐食性を高める化成皮膜。光沢・有色・緑色・黒色などの種類がある。三価と六価がある(下記)
リン酸塩処理鉄鋼・亜鉛めっき塗装の下地・防錆・すべり性向上に使う化成皮膜(いわゆるパーカライジング)
陽極酸化(アルマイト)アルミニウム素地を電解して酸化皮膜を作る処理。耐食・耐摩耗・着色。めっきとは原理が異なる(JIS H 8601)

三価クロメートと六価クロメート(RoHS)

亜鉛めっきの後処理であるクロメートには、皮膜に含まれるクロムの価数の違いで三価クロメート(Cr3+)六価クロメート(Cr6+)があります。

  • 六価クロム(Cr6+)は有害物質で、RoHS指令やELV指令などにより使用が規制されます。従来の有色クロメート等は六価が主流でした。
  • 現在は三価クロメート(Cr3+)への置き換えが進んでおり、三価クロメートはRoHSに適合します。
  • 外観だけで三価/六価を見分けるのは困難です。RoHS対応が必要な場合は、図面・仕様書で「三価クロメート」を明確に指定してください。

使い方・選び方のポイント

使用場面

機械部品・板金・ねじ類の図面指示、表面処理の発注・調達、現場での仕様確認で、めっき記号の読み取りと処理の選定に使います。

目的から選ぶ

耐食を主目的とするなら亜鉛めっき(屋内・ねじ類)や溶融亜鉛めっきHDZ(屋外・構造物) ②装飾+耐食ならニッケル下地に装飾クロム ③機能なら耐摩耗の硬質クロム、電気接点・はんだ付け性のすず/金/銀。図面はJIS H 0404の記号(Ep-素地/金属 膜厚 後処理)で、溶融亜鉛はHDZ記号(JIS H 8641)で指定し、RoHS対応が要る場合は三価クロメート等を明記します。

よくある間違い

  • 電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの耐食性を同一視する — 膜厚が桁違い(電気亜鉛は数〜25μm、溶融亜鉛は数十〜100μm超)。屋外・長期防食は溶融亜鉛(HDZ)が基本です。
  • クロムめっきとクロメート処理の混同 — 前者は金属クロムの電気めっき、後者は亜鉛めっき等の化成処理(後処理)。まったく別物です。
  • 「膜厚が厚い=常に高耐食」と単純化する — 耐食はめっきの種類・使用環境・後処理・下地で決まります。亜鉛は犠牲防食、Ni/Cr/Auは素地より貴な金属で皮膜の緻密さが効くなど、メカニズムが異なります。装飾クロムは非常に薄く、耐食は主にNi下地が担います。
  • 三価/六価クロメートを外観で判別しようとする — 見た目では困難。RoHS対応は仕様で指定します。

表面処理の考え方(背景)

表面処理は、素地を保護・装飾・機能付与するために表面に別の皮膜を形成する処理の総称です。大きくは、金属を電気的に析出させる電気めっき、溶けた金属に浸す溶融めっき、化学反応で皮膜を作る化成処理、電解で酸化皮膜を作る陽極酸化に分かれます。JIS H 0404は、このうち電気めっきを図面で統一して表示するための記号を定めた規格です。

亜鉛めっきの防食は「犠牲防食(電気防食)」で、鉄より腐食しやすい亜鉛が先に腐食して鉄を守ります。膜厚が厚いほど守れる期間が長くなるため、屋外の鉄骨や構造物には付着量の多い溶融亜鉛めっき(HDZ)が使われます。一方、ニッケル・クロム・金などは素地より貴な金属で、皮膜の緻密さ・ピンホールの少なさが耐食性を左右します。だから同じ膜厚でも、亜鉛と貴な金属めっきでは耐食のメカニズムが根本的に異なります。

よくある質問

Q1. めっき記号の「Ep」とは何を意味しますか?

A. Epは電気めっき(Electroplating)を表す記号です。JIS H 0404では、めっきの表示をEpで始め、続けて素地の記号・めっき金属の記号・膜厚・後処理を並べて表します。例えばEp-Fe/Zn8は、鉄鋼素地に亜鉛めっきを最小厚さ8μm施したことを表します。

Q2. 「Ep-Fe/Zn8」はどう読みますか?

A. Ep=電気めっき、Fe=素地が鉄鋼、Zn=めっき金属が亜鉛、8=めっきの最小厚さ8μm、を表します。つまり「鉄鋼素地に亜鉛めっきを最小8μm施したもの」です。この後ろに後処理(クロメートなど)の記号が続く場合があります。

Q3. 電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっき(HDZ)は何が違いますか?

A. どちらも亜鉛による防食ですが、膜厚が大きく異なります。電気亜鉛めっきは一般に数〜25μm程度と薄く、寸法精度が良く外観がきれいなため屋内部品・ねじ類に多く使われます。溶融亜鉛めっき(HDZ)は溶けた亜鉛に浸すため数十〜100μm超と厚く、屋外・長期防食の鉄骨や構造物に使われます。耐食できる期間が桁違いなので、屋外の長期防食を電気亜鉛めっきで代替することはできません。

Q4. クロメート処理の色にはどんな種類がありますか?

A. 亜鉛めっきの後処理であるクロメート処理には、光沢クロメート(青銀色)、有色クロメート(黄色〜虹色)、緑色クロメート、黒色クロメートなどがあります。一般に有色クロメートは光沢クロメートより耐食性が高い傾向とされます。耐食性は皮膜の種類・厚さで決まるため、図面では色ではなく処理の種類を指定します。

Q5. 三価クロメートと六価クロメートの違いとRoHS対応は?

A. クロメート皮膜に含まれるクロムの価数の違いです。六価クロム(Cr6+)は有害物質でRoHS指令などにより規制されるため、現在は三価クロム(Cr3+)を用いた三価クロメートへの置き換えが進んでいます。三価クロメートはRoHSに適合します。外観だけで両者を見分けるのは難しいため、RoHS対応が必要な場合は図面・仕様書で三価クロメートを明確に指定してください。

Q6. HDZ35の膜厚は何μmですか?

A. HDZの後ろの数字は最小付着量(g/m²)の1/10を表すため、HDZ35は最小付着量350g/m²以上です。亜鉛の密度(約7.14g/cm³)から膜厚に換算すると約49μm相当(目安)になります。付着量は規格上の管理値で、実際の膜厚は素材形状などで変わるため、膜厚換算値はあくまで目安です。

Q7. クロムめっきとクロメート処理は同じものですか?

A. 別物です。クロムめっきは金属クロムを電気めっきで析出させる処理で、装飾クロムめっきや硬質クロムめっきがあります。クロメート処理は亜鉛めっきなどの上に化学反応で防食皮膜(化成皮膜)を作る後処理です。名前が似ていますが目的も原理も異なるため、図面指定の際は混同しないよう注意してください。

Q8. アルマイトはめっきですか?

A. いいえ。アルマイト(陽極酸化)は、アルミニウムを電解して素地そのものを酸化させ、緻密な酸化皮膜を作る処理です。別の金属を表面に析出させる「めっき」とは原理が異なります。耐食性・耐摩耗性の向上や着色に使われ、アルミニウムの陽極酸化皮膜はJIS H 8601で規定されています。

関連する早見表

出典・参考

  • JIS H 0404 電気めっきの記号による表示方法 — Ep・素地記号・めっき金属・膜厚・後処理の記号体系
  • JIS H 8641 溶融亜鉛めっき — 種類の記号(HDZ)・付着量区分
  • JIS H 8601(参考) アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜 — アルマイトの規定

※ 膜厚(電気めっき)や膜厚換算値(溶融亜鉛めっき)は目安であり、規格の管理値は付着量・最小厚さです。記号の細部や適用区分は改正されることがあるため、設計・発注の際は最新のJIS原文を必ず確認してください。企業名・商品名(商標)は本ページでは扱いません。

最終更新: 2026-07-15