スペック早見表

ヘリサート下穴早見表|M2〜M20の下穴径と専用タップ・挿入工程

ヘリサート(一般名: ねじ込み式ねじインサート・コイルインサート)は専用タップを使うため、下穴が通常のタップ下穴より大きくなります。M6なら約6.3mm(通常タップは5.0mm)。本ページはメートル並目ねじM2〜M20の下穴ドリル径の目安・専用タップ(STIタップ)・挿入5工程を一覧化した早見表です。下穴径の指定はメーカーごとに異なるため、施工時は必ず使用製品メーカーの公表表で確認してください。

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M6の下穴約6.3mm通常のM6タップ下穴は5.0mm。混同注意(目安・要メーカー表確認)
M8の下穴約8.4mm通常のM8タップ下穴は6.8mm(目安)
M10の下穴約10.5mm通常のM10タップ下穴は8.5mm(目安)
タップ専用タップ必須インサートねじ用タップ(STIタップ)。通常のタップは使えない
下穴の傾向呼び径よりやや大きい下限はおおむね「呼び径+ピッチ×0.2」前後(目安)
一般名称ねじ込み式ねじインサート「ヘリサート」は商標由来の通称(コイルインサートとも)

このページについて

ヘリサートは、ひし形断面の線材をコイル状に巻いたインサートをめねじに埋め込み、アルミ・樹脂など軟らかい母材のめねじ補強や、つぶれためねじの修理に使う部品です。挿入には「通常より大きい下穴 → 専用タップ(STIタップ) → 挿入工具」という専用の工程が必要で、通常のタップ下穴表(呼び径−ピッチ)はそのまま使えません

本ページは、複数メーカーが公表している下穴値をもとに、M2〜M20(並目)の下穴ドリル径の目安と挿入工程をまとめた早見表です。「M6のヘリサート下穴は何mm?」「タップは普通のでいい?」「タングは折るの?」といった現場の疑問に即答します。なお、下穴径の許容範囲はメーカー・製品ごとに少しずつ異なるため、実際の加工では使用するインサートメーカーの下穴表を最優先してください。通常のめねじの下穴はタップ下穴径早見表をご覧ください。

下の入力欄に「M6」「10.5」「STI」などと入力すると、表1の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う:

表1: ヘリサート用下穴径の目安(メートル並目 M2〜M20)

ねじの呼び×ピッチ下穴径の範囲(目安)ドリル径の目安専用タップの呼び(比較)通常タップの下穴
M2×0.42.1〜2.2mm程度約2.1mmM2×0.4 STI1.6mm
M2.5×0.452.55〜2.65mm程度約2.6mmM2.5×0.45 STI2.05mm
M3×0.53.1〜3.2mm程度約3.15mmM3×0.5 STI2.5mm
M4×0.74.2〜4.3mm程度約4.2mmM4×0.7 STI3.3mm
M5×0.85.2〜5.3mm程度約5.2mmM5×0.8 STI4.2mm
M6×1.06.2〜6.4mm程度約6.3mmM6×1 STI5.0mm
M8×1.258.3〜8.5mm程度約8.4mmM8×1.25 STI6.8mm
M10×1.510.3〜10.6mm程度約10.5mmM10×1.5 STI8.5mm
M12×1.7512.4〜12.7mm程度約12.5mmM12×1.75 STI10.2mm
M14×2.014.4〜14.8mm程度約14.5mmM14×2 STI12.0mm
M16×2.016.4〜16.8mm程度約16.5mmM16×2 STI14.0mm
M18×2.518.6〜19.0mm程度約18.75mmM18×2.5 STI15.5mm
M20×2.520.6〜21.0mm程度約20.75mmM20×2.5 STI17.5mm

※ 下穴径・ドリル径は複数メーカーの公表値を丸めた目安です。許容範囲(最小〜最大)の規定はメーカー・製品で異なるため、施工時は使用するインサートメーカーの下穴表を最優先してください。STI=Screw Thread Insert(インサートねじ用)。細目ねじ用は別系列の下穴になります(メーカー表参照)。(比較)列は通常のめねじ用タップ下穴(タップ下穴径早見表と同じ値)です。

表2: 挿入工程の5ステップ

ステップ作業ポイント
① 下穴あけ表1の目安・メーカー指定の下穴径でドリル穴をあける止まり穴はインサート長さ+余裕の深さを確保。口元は面取りしてバリを除く
② 専用タップ立てインサートねじ用タップ(STIタップ)でめねじを切る通常のタップは径が合わず使用不可。タップ深さもメーカー表で確認
③ 挿入挿入工具にインサートをセットし、縮径させながらねじ込む母材表面から1/4〜1/2山ほど沈んだ位置で止めるのが目安
④ タング折り取りノッチ(切欠き)部でタングを折り取り、破片を回収する止まり穴は底に残った破片の回収を忘れずに。タングレス品はこの工程が不要
⑤ 確認ボルトやねじゲージをねじ込み、正常に通ることを確認する浮き上がり・斜め挿入・飛び出しがないかも目視で確認

※ 手順の細部(挿入深さ・工具の種類など)は製品により異なります。メーカーの取扱説明・技術資料に従ってください。

ヘリサートの主な用途

  • 軟らかい母材のめねじ補強 — アルミ・樹脂・マグネシウム合金などに直接めねじを切ると、繰り返しの締め付けでねじ山がつぶれやすくなります。硬い線材のインサートを入れておくことで、ボルトを何度も着脱する箇所でもめねじの耐久性を確保できます。金型・治具・機械のカバー類・二輪や自動車のアルミ部品などで多用されます。
  • つぶれためねじの修理 — なめてしまっためねじを一回り大きい下穴にあけ直し、専用タップ+インサートで元と同じ呼びのボルトが使える状態に復元できます。部品ごと交換せずに済むため、補修用のキット(ドリル・タップ・挿入工具・インサートのセット)も市販されています。
  • 強度・信頼性の向上 — インサートのばね作用で荷重がねじ山全体に分散されるため、母材に直接めねじを切るより緩みや山崩れに強くなるとされています(効果は条件による)。

注意: 名称とメーカー指定について

  • 「ヘリサート」は商標由来の通称です。一般名称は「ねじ込み式ねじインサート」「コイルスレッドインサート(コイルインサート)」などで、同種の製品が複数のメーカーから別々の商品名で販売されています。
  • 下穴径・タップ・工具の指定はメーカーごとに異なります。本ページの数値は各社公表値を丸めた目安であり、施工時は使用する製品のメーカー公表表を最優先してください。インサートとタップは同一メーカー(同一規格系列)の組み合わせで使うのが原則です。
  • 材質は一般にステンレス鋼線材が主流ですが、製品により異なります。使用環境(温度・腐食)に応じてメーカー仕様を確認してください。

使い方・選び方のポイント

使用場面

アルミ・樹脂部品のめねじ設計、量産部品の締結部の耐久性確保、なめためねじの補修、図面の「ヘリサート(インサート)挿入」指示の加工で、下穴径・タップ・工程の確認に使います。

選定の手順

①ねじの呼び×ピッチを確認(並目/細目で下穴が変わる) ②母材と用途から長さを選ぶ(1D・1.5D・2D・2.5D・3Dが標準。軟らかい母材・高強度要求ほど長め、が目安) ③タング付き/タングレスを選ぶ ④使用メーカーの表で下穴径・下穴深さ・タップを確定 ⑤表2の5ステップで挿入し、最後に必ず通り確認。

よくある間違い

  • 通常のタップ下穴表で穴をあけてしまう — ヘリサート用の下穴は通常より大きい別物です(M6: 通常5.0mm ⇔ ヘリサート約6.3mm)。通常の下穴にはSTIタップが立てられません。
  • 通常のタップでめねじを切ってしまう — 同じ「M6×1」表記でもSTIタップは径が大きい専用品。通常タップで切っためねじにインサートは入りません。
  • タングの折り忘れ・破片の回収忘れ — タングが残るとボルト先端と干渉し、折り取った破片が装置内に残ると異物トラブルの原因になります。止まり穴は特に注意。
  • 下穴深さの不足 — 止まり穴では「インサート長さ+タップの不完全ねじ部+余裕」の深さが必要です。深さもメーカー表で確認します。
  • メーカーの混用 — インサートとタップ・工具を別メーカーで組み合わせると、下穴・めねじの指定が合わないことがあります。同一メーカーの規格系列でそろえるのが原則です。

下穴が大きくなる理由(原理)

ヘリサートは、断面がひし形の線材をコイルばね状に巻いた部品です。自由状態の外径はタップ穴より少し大きく作られており、挿入工具で縮径させながらねじ込むと、ばねの復元力でめねじに密着して固定されます。コイルの内側には、元の呼び(例: M6×1)の正規のめねじが形成される仕組みです。

つまり母材側には「コイル線材の厚みの分だけ外側に大きいめねじ」を作る必要があり、そのための専用タップがSTIタップ、その下穴が本ページの値です。ねじ山の幾何から、下穴の下限はおおむね「呼び径+ピッチ×0.2」前後になります(M6×1で約6.2mm、M10×1.5で約10.3mm。あくまで傾向の目安で、実際の許容範囲はメーカーが規定します)。通常タップの下穴の目安「呼び径−ピッチ」とはまったく別の系列である点が重要です。

また、硬い線材が母材とボルトの間に入ることで、締め付け荷重がねじ山全体に分散され、軟らかい母材でも実用的なめねじ強度が得られます。航空機分野で発達した技術が、現在では金型・産業機械・車両・電子機器筐体まで広く使われています。

よくある質問

Q1. M6のヘリサート用下穴は何mmですか?

A. 目安は約6.3mm(許容範囲はおおむね6.2〜6.4mm)です。通常のM6タップ下穴(5.0mm)より大きい点に注意してください。実際の下穴径は、使用するインサートのメーカーが公表する下穴表の値を最優先してください。

Q2. 通常のタップ下穴表をそのまま使ってもいいですか?

A. 使えません。ヘリサートはコイルの厚みの分だけ大きいめねじを作ってから挿入するため、下穴は通常タップ用より大きくなります(M6で5.0mm→約6.3mm、M10で8.5mm→約10.5mm)。通常の下穴にヘリサート用タップを立てることも、ヘリサート用下穴に通常のタップを立てることもできません。

Q3. ヘリサート用のタップは普通のタップと違うのですか?

A. 違います。インサートねじ用タップ(STIタップ)と呼ばれる専用タップで、同じ「M6×1」の呼びでも、ねじ山の径がコイル線材の断面の分だけ大きく作られています。通常のタップでは代用できず、逆にSTIタップで通常のめねじを作ることもできません。

Q4. 「ヘリサート」の正式名称は何ですか?

A. 「ヘリサート」は特定メーカーの商標に由来する通称で、一般名称は「ねじ込み式ねじインサート」「コイルスレッドインサート(コイルインサート)」などです。同種の製品は複数のメーカーからそれぞれ別の商品名で販売されており、下穴径や工具の指定はメーカーごとに少しずつ異なります。

Q5. タングとは何ですか?折り取りは必須ですか?

A. タングはインサートをねじ込むために挿入工具を掛ける「つかみ代」で、挿入後はノッチ(切欠き)の部分で折り取るのが原則です。残したままだとボルトの先端と干渉します。折り取ったタングは、貫通穴では下に落ち、止まり穴では穴の底に残るため、必ず回収してください。なお、タングのない「タングレスタイプ」の製品もあります。

Q6. ヘリサートはどんなときに使いますか?

A. 主な用途は2つです。①アルミ・樹脂・マグネシウムなど軟らかい母材のめねじ補強(ボルトを繰り返し着脱してもねじ山がつぶれにくくなる)、②つぶれた・なめためねじの修理(下穴をあけ直してインサートを入れ、元と同じ呼びのボルトが使える状態に復元)です。

Q7. ヘリサートの長さはどう選びますか?

A. 長さは呼び径Dの倍数で「1D・1.5D・2D・2.5D・3D」(M6なら6〜18mm)が標準的なラインアップです。母材が軟らかいほど、また要求される強度が高いほど長いものを選ぶのが目安です。必要な下穴深さ・タップ深さは長さに応じて変わるため、メーカーの表で確認してください。

Q8. 挿入に失敗したヘリサートは抜けますか?

A. 抜き取り用の工具で取り外せます。ただし、一度挿入したインサートは再使用せず、新品を挿入し直すのが原則です。めねじ(タップ穴)側が傷んでいなければ、同じ穴に新しいインサートを挿入できます。

関連する早見表

出典・参考

  • ねじ込み式コイルインサート(通称ヘリサート)各社の公開技術資料 — 下穴径・専用タップ・挿入工程。本ページの下穴値は複数社の公表値を丸めた目安であり、施工時は使用する製品メーカーの下穴表を最優先してください。
  • JIS B 0205(一般用メートルねじ-基準寸法) — ねじの呼び径・ピッチ、(比較)列の通常タップ下穴の基準

※ 本ページの数値は目安です。下穴径の許容範囲・下穴深さ・タップ・工具の指定は製品ごとに異なるため、設計・施工の際はメーカーの最新カタログ・技術資料を必ず確認してください。

最終更新: 2026-07-11