水を温める熱量・加熱時間 早見表(水量×温度上昇)
水を温める熱量は、水の量と初め・終わりの温度で決まります。水100Lを20℃から60℃にするには4.64kWh(1kWのヒーターで約4時間38分)。国際水・蒸気性質協会(IAPWS)の式IAPWS-IF97で計算した、熱量(kWh・kJ・kcal)と加熱時間の表です(1気圧・熱損失と効率を含まない理論値)。
🔥 水の加熱 判断即答ボックス
表1: 水の量×温度上昇で引く熱量(kWh・初めの温度20℃)
| 水の量 L | +10℃ (→30℃) | +20℃ (→40℃) | +30℃ (→50℃) | +40℃ (→60℃) | +50℃ (→70℃) | +60℃ (→80℃) | +70℃ (→90℃) | 沸点まで (→99.97℃) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0.0116 | 0.0232 | 0.0348 | 0.0464 | 0.0580 | 0.0696 | 0.0812 | 0.0929 |
| 2 | 0.0232 | 0.0464 | 0.0695 | 0.0927 | 0.116 | 0.139 | 0.162 | 0.186 |
| 5 | 0.0580 | 0.116 | 0.174 | 0.232 | 0.290 | 0.348 | 0.406 | 0.464 |
| 10 | 0.116 | 0.232 | 0.348 | 0.464 | 0.580 | 0.696 | 0.812 | 0.929 |
| 20 | 0.232 | 0.464 | 0.695 | 0.927 | 1.16 | 1.39 | 1.62 | 1.86 |
| 50 | 0.580 | 1.16 | 1.74 | 2.32 | 2.90 | 3.48 | 4.06 | 4.64 |
| 100 | 1.16 | 2.32 | 3.48 | 4.64 | 5.80 | 6.96 | 8.12 | 9.29 |
| 200 | 2.32 | 4.64 | 6.95 | 9.27 | 11.6 | 13.9 | 16.2 | 18.6 |
| 300 | 3.48 | 6.96 | 10.4 | 13.9 | 17.4 | 20.9 | 24.4 | 27.9 |
| 500 | 5.80 | 11.6 | 17.4 | 23.2 | 29.0 | 34.8 | 40.6 | 46.4 |
| 1,000 | 11.6 | 23.2 | 34.8 | 46.4 | 58.0 | 69.6 | 81.2 | 92.9 |
| 2,000 | 23.2 | 46.4 | 69.5 | 92.7 | 116 | 139 | 162 | 186 |
| 5,000 | 58.0 | 116 | 174 | 232 | 290 | 348 | 406 | 464 |
| 10,000 | 116 | 232 | 348 | 464 | 580 | 696 | 812 | 929 |
初めの温度20℃の水を、1気圧(0.101325MPa)のまま温めるのに要る熱量です。水の量は初めの温度(20℃)での体積です(20℃の水1Lは0.9982kg)。kJにするには×3,600、kcalにするには×860.4(1kcal=4.184kJ)です。初めの温度が5〜30℃の場合でも、+10〜+70℃の列の値との差は0.6%以内です。1気圧の水は99.97℃で沸騰するため、「沸点まで」は沸騰し始めるまでの熱量で、蒸発させる熱量は含みません。
表2: 初めと終わりの温度で引く熱量(水1Lあたり・kJ)
| 初め\終わり | 40℃ | 50℃ | 60℃ | 70℃ | 80℃ | 90℃ | 沸点 99.97℃ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5℃ | 146.5 | 188.3 | 230.1 | 271.9 | 313.9 | 355.9 | 397.9 |
| 10℃ | 125.5 | 167.2 | 209.0 | 250.9 | 292.8 | 334.8 | 376.8 |
| 15℃ | 104.5 | 146.2 | 188.0 | 229.8 | 271.7 | 313.6 | 355.6 |
| 20℃ | 83.5 | 125.2 | 166.9 | 208.7 | 250.5 | 292.5 | 334.4 |
| 25℃ | 62.5 | 104.2 | 145.9 | 187.6 | 229.4 | 271.3 | 313.1 |
| 30℃ | 41.6 | 83.2 | 124.8 | 166.5 | 208.2 | 250.1 | 291.9 |
行が初めの温度、列が終わりの温度です。水の量は初めの温度での体積(1L)です。実際の量に掛けて使います(例: 15℃→60℃は1Lあたり188.0kJなので、300Lなら188.0×300÷3,600=15.7kWh)。
表3: 同じ熱量をkcalで(水1Lあたり)
| 初め\終わり | 40℃ | 50℃ | 60℃ | 70℃ | 80℃ | 90℃ | 沸点 99.97℃ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5℃ | 35.0 | 45.0 | 55.0 | 65.0 | 75.0 | 85.1 | 95.1 |
| 10℃ | 30.0 | 40.0 | 50.0 | 60.0 | 70.0 | 80.0 | 90.0 |
| 15℃ | 25.0 | 34.9 | 44.9 | 54.9 | 64.9 | 75.0 | 85.0 |
| 20℃ | 19.9 | 29.9 | 39.9 | 49.9 | 59.9 | 69.9 | 79.9 |
| 25℃ | 14.9 | 24.9 | 34.9 | 44.8 | 54.8 | 64.8 | 74.8 |
| 30℃ | 9.9 | 19.9 | 29.8 | 39.8 | 49.8 | 59.8 | 69.8 |
表2の丸める前の値(kJ)を4.184で割った値です(計量単位令のカロリー: 1cal=4.184J。表2の表示値で割ると末尾が0.1ずれることがあります)。「1Lを1℃上げると1kcal」とした値(例: 15℃→60℃なら45kcal)とは少し違います(同じ組合せで44.9kcal)。
表4: ヒーター容量ごとの加熱時間(水100L・初めの温度20℃)
| 温度上昇 | 熱量 kWh | 1kW | 2kW | 3kW | 5kW | 10kW | 20kW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| +10℃ (20→30℃) | 1.16 | 1時間10分 | 35分 | 23分 | 14分 | 7.0分 | 3.5分 |
| +20℃ (20→40℃) | 2.32 | 2時間19分 | 1時間10分 | 46分 | 28分 | 14分 | 7.0分 |
| +30℃ (20→50℃) | 3.48 | 3時間29分 | 1時間44分 | 1時間10分 | 42分 | 21分 | 10分 |
| +40℃ (20→60℃) | 4.64 | 4時間38分 | 2時間19分 | 1時間33分 | 56分 | 28分 | 14分 |
| +50℃ (20→70℃) | 5.80 | 5時間48分 | 2時間54分 | 1時間56分 | 1時間10分 | 35分 | 17分 |
| +60℃ (20→80℃) | 6.96 | 6時間58分 | 3時間29分 | 2時間19分 | 1時間24分 | 42分 | 21分 |
| +70℃ (20→90℃) | 8.12 | 8時間7分 | 4時間4分 | 2時間42分 | 1時間37分 | 49分 | 24分 |
| 沸点まで (20→99.97℃) | 9.29 | 9時間17分 | 4時間39分 | 3時間6分 | 1時間51分 | 56分 | 28分 |
加熱時間(h)=熱量(kWh)÷ヒーター容量(kW)で、ヒーターの電力がすべて水の温度上昇に使われ、熱が逃げないとした理論値です。容器・配管・空気への放熱、容器自体を温める熱、水面からの蒸発、電源電圧による出力の違いは含みません。実際の時間はこれより長くなります。水の量が200Lなら2倍、50Lなら半分の時間です。
使い方
- 水の量と温度上昇から熱量を引く — 表1の行(水の量)と列(温度上昇)の交わる欄です。表にない量は比例で求めます(例: 300Lを20℃→60℃なら、100Lの4.64kWh×3=13.9kWh)。
- 初めと終わりの温度が決まっているとき — 表2(kJ)・表3(kcal)の1Lあたりの値に水の量を掛けます。冬の冷たい水から温めるときなどは、こちらのほうが表1より正確です。
- ヒーターで何時間かかるかを見積もる — 時間(h)=熱量(kWh)÷ヒーター容量(kW)。100Lを20℃→60℃なら4.64kWhなので、1kWで4時間38分、3kWで1時間33分、5kWで56分です(理論値)。
- ガス・ボイラーなどで温めるとき — 表の熱量は水が受け取る熱量です。燃料の量を見積もるには、機器の効率(メーカーの資料の値)で割ってから、燃料の発熱量で割ります。
- 単位を換える — 1kWh=3,600kJ、1kcal=4.184kJ、1kWh=約860.4kcalです。
計算のしかた(原理)
- 熱量=質量×比エンタルピーの差 — 1気圧のまま水を温めるのに要る熱量は、水の質量に、終わりと初めの温度の比エンタルピーの差を掛けた値です。これは、その温度範囲で平均した定圧比熱×温度差と同じです(20℃→60℃の平均は4.180kJ/(kg·K)、20℃→沸点は4.189kJ/(kg·K))。比熱を1つの値で一定とはしていません。
- 水の量は初めの温度での体積 — 体積から質量にするときは、初めの温度の密度を使います。同じ1Lでも、温度が高いほど軽くなります。
- 1Lを1℃上げる熱量は温度で少し違う — 初めの温度での1Lあたりで、5℃付近は4.20kJ、20℃付近は4.18kJ、80℃付近は4.08kJです(比熱と密度の両方が温度で変わるため)。温度別の比熱・密度そのものは水の物性の早見表にあります。
- 時間=熱量÷出力 — 1kWは1秒に1kJ、1kWhは3,600kJです。熱量(kWh)をヒーターの容量(kW)で割ると時間(h)になります。
- 沸騰と蒸発は別 — 1気圧の水は99.97℃で沸騰します。沸騰した水をさらに蒸発させるには、1kgあたり2256.5kJ(1気圧の蒸発潜熱)が別に要ります。蒸気の熱量は飽和蒸気表で引きます。
間違えやすいポイント
- kWとkWhの取り違え — kWはヒーターの能力(1秒あたりの熱量)、kWhは熱量そのものです。「4.64kWh」は、1kWのヒーターなら約4.6時間、5kWなら約56分で供給できる熱量です。
- 100℃まで温める計算で蒸発分を忘れる — 開いた容器で沸騰させ続けると、加えた熱は水の蒸発に使われ、温度は上がりません。20℃の水1Lを全部蒸発させる熱量は、沸点までの334.4kJに加えて約2,252kJ(約6.7倍)です。
- カロリーの種類 — このページのkcalは計量単位令のカロリー(1cal=4.184J)です。国際蒸気表カロリー(1cal=4.1868J)で換算した資料とは約0.07%違います(1kWhは860.4kcalと859.8kcal)。
- 表の時間をそのまま実際の時間にする — 表4は損失のない理論値です。保温の悪い容器・屋外の配管・大きな水面では、実際の時間はかなり長くなることがあります。
よくある質問
Q1. 水1Lを1℃上げるのに必要な熱量は?
A. 20℃付近で約4.18kJ(=1.16Wh、約1.00kcal)です。初めの温度での1Lあたりで、5℃付近は4.20kJ、80℃付近は4.08kJと、温度で少し変わります(1気圧、IAPWS-IF97による計算値)。
Q2. 100Lの水を温める時間の計算方法は?
A. 時間(h)=熱量(kWh)÷ヒーター容量(kW)です。100Lを20℃から60℃にする熱量は4.64kWhなので、1kWで4時間38分、3kWで1時間33分、5kWで56分です。熱が逃げず、電力がすべて水の温度上昇に使われるとした理論値で、実際はこれより長くなります。
Q3. 比熱は4.18と4.186のどちらで計算する?
A. 水の比熱は温度で少し変わるため、このページでは比熱を一定とせず、IAPWS-IF97の比エンタルピーの差で計算しています。平均の比熱は20℃→60℃で4.180、20℃→沸点で4.189kJ/(kg·K)です。「1L=1kg・比熱4.186で一定」とする略算でも、表の組合せでは表の値との差は-0.07〜+0.61%です。
Q4. kJ・kWh・kcalの換算は?
A. 1kWh=3,600kJ、1kcal=4.184kJ(計量単位令のカロリー)なので、1kWh=約860.4kcalです。国際蒸気表カロリー(4.1868J)を使う資料とは約0.07%違います。なお計量法では、カロリーを取引・証明に使えるのは、原則として人や動物が摂取する物(食べ物など)の熱量と代謝で消費する熱量の計量に限られ、それ以外の取引・証明にはJ・Whなどを使います。
Q5. 実際の加熱時間が表より長くなるのはなぜ?
A. 表は損失・効率を含まない理論値だからです。実際には、容器・配管・空気への放熱、容器自体を温める熱、水面からの蒸発があり、ヒーターの出力も電源電圧などで定格と違うことがあります。ガスや燃料で温める場合は、機器の効率(メーカーの資料の値)も掛かります。
Q6. 沸騰させて蒸発させる熱量もこの表で分かる?
A. 分かりません。表は沸点(1気圧で99.97℃)までの液体の水を温める熱量です。蒸発には1kgあたり2256.5kJ(1気圧の蒸発潜熱)が別に要り、20℃の水1Lを全部蒸発させるには、沸点までの334.4kJに加えて約2,252kJ(約0.626kWh)です。
Q7. 圧力のかかったタンクの水でも使える?
A. 水が液体のままなら、ほぼそのまま使えます。絶対圧1MPa(ゲージ圧約0.9MPa)で計算しても、表2の組合せでの差は0.03%未満です。ただし圧力が高いと沸点が上がり、99.97℃を超えても液体のまま温められます。その範囲はこのページにはありません(飽和蒸気表の飽和水の比エンタルピーの差で目安をつけられます)。
関連する早見表
- 水の密度・比熱・粘度 — 温度別の物性値
- 飽和蒸気表 — 沸点・蒸発潜熱
- 断熱材の熱伝導率 — 保温材の選び方
- 配管の保温厚さ — 給湯・蒸気管
- 温度換算 — 摂氏・華氏・ケルビン
出典・参考
- IAPWS R7-97(2012) Revised Release on the IAPWS Industrial Formulation 1997 for the Thermodynamic Properties of Water and Steam(IAPWS-IF97) — 国際水・蒸気性質協会(IAPWS)、2007年8月ルツェルン会議で承認(2012年に一部の記述を明確化した版)。Eq.(1)(定数R)、5.1節 Eq.(7)・Table 2〜4(Region 1: 液の基本式)、p.9の適用範囲とTable 5(検証値)、6.1節 Eq.(15)・Table 15(Region 2: 蒸発潜熱の計算に使用)、8節 Eq.(30)(31)・Table 36(飽和圧力・飽和温度)、12節・Fig.4(推定不確かさ) — iapws.org 公開PDF
- 計量単位令(平成4年政令第357号) — 別表第一 第三号(時)・第十一号(リットル)・第二十七号(ワット)・第三十号(熱量: ジュール、ワット時=ジュールの3,600倍)、別表第六 第十三号(カロリー=ジュールの4.184倍。人・動物が摂取する物の熱量・代謝で消費する熱量の計量) — e-Gov法令検索の現行版(令和5年政令第376号による改正、2023年12月28日施行)で確認
- 計量法(平成4年法律第51号) — 第5条第2項・第8条(非法定計量単位の使用の禁止) — e-Gov法令検索の現行版(令和4年法律第68号による改正、2025年6月1日施行)で確認
- NIST Special Publication 811 (2008 Edition) Guide for the Use of the International System of Units (SI) — 米国国立標準技術研究所(NIST)。Appendix B.8(calorieIT=4.1868J、calorieth=4.184J、kilowatt hour=3.6MJ) — nist.gov
※ 表の値は、IAPWS-IF97の式を当サイトがプログラム(倍精度)で計算した値です。計算の前に、文書に載っている検証用の計算値(Region 1のTable 5の18点、蒸発潜熱の計算に使うRegion 2のTable 15の18点、飽和温度のTable 36の3点)と9桁で一致することを確認しています。
※ 計算の条件: 圧力は1気圧(0.101325MPa、絶対圧)で一定。熱量=水の量(初めの温度での体積)×初めの温度の密度×(終わりの温度の比エンタルピー−初めの温度の比エンタルピー)。比エンタルピーと密度はIAPWS-IF97のRegion 1(液)の式で求め、すべての点が式の適用範囲内です。沸点99.97℃はEq.(31)による1気圧の飽和温度です。IF97では、定圧での比エンタルピーの差の不確かさは定圧比熱の不確かさ(この範囲で±0.2%、Fig.4)より小さいとされています。
※ 丸め(四捨五入): 表1・表4の熱量は有効数字3桁、表2(kJ)・表3(kcal)は小数第1位、加熱時間は10分未満を小数第1位の分、60分未満を整数の分、それ以上を「◯時間◯分」(分は整数)で示しています。
※ 本ページの数値は2026年10月時点で確認した出典にもとづきます。改正・改定されることがあるため、最新の原典を確認してください。
※ 本ページの熱量・加熱時間は、熱損失・効率・余裕を含まない理論値です。加熱設備・電気設備の設計や安全の判断は、原典とメーカーの資料・有資格者の確認のうえで行ってください。
※ 本ページの表・数値は、上記の出典をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関・団体が作成したものではありません。
最終更新: 2026-10-24