歯車モジュール早見表|標準系列(JIS B 1701-2)と平歯車の計算式
歯車のモジュールm(歯の大きさの基本単位)の標準系列と、平歯車の基本計算式をまとめた早見表です。基準円直径 d=mz・歯先円直径 da=m(z+2)・全歯たけ 2.25m・中心距離 a=m(z1+z2)/2 を計算例付きで確認できます。機械設計・機械保全・歯車の交換部品手配に。
📌 即答: モジュールとは
モジュール m = 基準円直径 d(mm) ÷ 歯数 z。歯の大きさを表すmm単位の基本値で、かみ合う歯車同士は同じモジュール・同じ圧力角でなければなりません。日本の標準圧力角は20°(JIS B 1701-1)です。
| 求めたいもの | 計算式 | 例 (m2・z20) |
|---|---|---|
| 基準円直径 d | d = m × z | 2×20 = 40 mm |
| 歯先円直径 da(外径) | da = m × (z + 2) | 2×22 = 44 mm |
| 全歯たけ h | h = 2.25 × m | 2.25×2 = 4.5 mm |
| 中心距離 a | a = m × (z1 + z2) ÷ 2 | z20×z40: 2×60÷2 = 60 mm |
※ いずれも標準平歯車(転位なし・並歯)の場合。転位歯車では値が変わります。
このページについて
モジュールはJIS B 1701-2(ISO 54と整合)で標準系列が定められており、市販の歯車や歯切工具(ホブ等)はこの系列値で作られています。本ページでは系列I(優先系列)26値の一覧と、標準平歯車(圧力角20°・並歯・転位なし)の基本計算式・計算例・簡易計算ツールを掲載します。
「既存の歯車のモジュールを調べたい」「m2で歯数30なら外径はいくつ?」「インチ図面のDP表記をモジュールに直したい」といった設計・保全の現場で頻発する疑問に即答できる構成です。
標準モジュール系列(JIS B 1701-2 系列I)
系列I(優先して用いる系列)の26値。円ピッチ p=πm、歯末のたけ ha=m、全歯たけ h=2.25m(並歯)。参考列は歯数20枚の場合の基準円直径d・歯先円直径da。オレンジ網掛けは一般産業機械で特に使用頻度の高いモジュール。
| モジュール m | 円ピッチ p=πm (mm) | 歯末のたけ ha=m (mm) | 全歯たけ h=2.25m (mm) | d (z=20) (mm) | da (z=20) (mm) |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.1 | 0.314 | 0.1 | 0.225 | 2 | 2.2 |
| 0.2 | 0.628 | 0.2 | 0.45 | 4 | 4.4 |
| 0.25 | 0.785 | 0.25 | 0.5625 | 5 | 5.5 |
| 0.3 | 0.942 | 0.3 | 0.675 | 6 | 6.6 |
| 0.4 | 1.257 | 0.4 | 0.9 | 8 | 8.8 |
| 0.5 | 1.571 | 0.5 | 1.125 | 10 | 11 |
| 0.6 | 1.885 | 0.6 | 1.35 | 12 | 13.2 |
| 0.8 | 2.513 | 0.8 | 1.8 | 16 | 17.6 |
| 1 | 3.142 | 1 | 2.25 | 20 | 22 |
| 1.25 | 3.927 | 1.25 | 2.8125 | 25 | 27.5 |
| 1.5 | 4.712 | 1.5 | 3.375 | 30 | 33 |
| 2 | 6.283 | 2 | 4.5 | 40 | 44 |
| 2.5 | 7.854 | 2.5 | 5.625 | 50 | 55 |
| 3 | 9.425 | 3 | 6.75 | 60 | 66 |
| 4 | 12.566 | 4 | 9 | 80 | 88 |
| 5 | 15.708 | 5 | 11.25 | 100 | 110 |
| 6 | 18.850 | 6 | 13.5 | 120 | 132 |
| 8 | 25.133 | 8 | 18 | 160 | 176 |
| 10 | 31.416 | 10 | 22.5 | 200 | 220 |
| 12 | 37.699 | 12 | 27 | 240 | 264 |
| 16 | 50.265 | 16 | 36 | 320 | 352 |
| 20 | 62.832 | 20 | 45 | 400 | 440 |
| 25 | 78.540 | 25 | 56.25 | 500 | 550 |
| 32 | 100.531 | 32 | 72 | 640 | 704 |
| 40 | 125.664 | 40 | 90 | 800 | 880 |
| 50 | 157.080 | 50 | 112.5 | 1000 | 1100 |
系列II(第2優先)について: JIS B 1701-2には系列Iのほかに系列II(1.125、1.375、1.75、2.25、2.75、3.5、4.5、5.5、7、9、11、14、18、22、28、36、45 など)が定められています。新規設計では系列Iを優先し、系列IIは既存機との互換等でやむを得ない場合に用います。市販の標準歯車・歯切工具も系列Iのラインナップが中心です。
平歯車の基本計算式(標準平歯車・転位なし)
圧力角20°・並歯・転位なしの標準平歯車に適用される式です。m=モジュール、z=歯数。転位歯車には適用できません。
| 項目 | 記号 | 計算式 | 例 (m2・z20) |
|---|---|---|---|
| 基準円直径(ピッチ円直径) | d | d = m z | 2×20 = 40 mm |
| 歯先円直径(外径) | da | da = m (z + 2) | 2×22 = 44 mm |
| 歯底円直径 | df | df = m (z − 2.5) | 2×17.5 = 35 mm |
| 歯末のたけ | ha | ha = 1.00 m | 2 mm |
| 歯元のたけ | hf | hf = 1.25 m | 2.5 mm |
| 全歯たけ | h | h = 2.25 m | 4.5 mm |
| 頂げき | c | c = 0.25 m | 0.5 mm |
| 円ピッチ | p | p = π m | 6.283 mm |
| 基礎円直径 | db | db = d cos α (α=20°) | 40×cos20° ≈ 37.59 mm |
| 中心距離 | a | a = m (z1 + z2) / 2 | z20×z40: 2×60÷2 = 60 mm |
計算例
よく使うモジュール・歯数の組合せの計算結果。すべて標準平歯車(転位なし)の値です。
| m | z | 基準円直径 d=mz | 歯先円直径 da=m(z+2) | 歯底円直径 df=m(z−2.5) | 全歯たけ h=2.25m |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 30 | 30 mm | 32 mm | 27.5 mm | 2.25 mm |
| 1.5 | 20 | 30 mm | 33 mm | 26.25 mm | 3.375 mm |
| 1.5 | 40 | 60 mm | 63 mm | 56.25 mm | 3.375 mm |
| 2 | 20 | 40 mm | 44 mm | 35 mm | 4.5 mm |
| 2 | 36 | 72 mm | 76 mm | 67 mm | 4.5 mm |
| 2.5 | 24 | 60 mm | 65 mm | 53.75 mm | 5.625 mm |
| 3 | 20 | 60 mm | 66 mm | 52.5 mm | 6.75 mm |
| 3 | 45 | 135 mm | 141 mm | 127.5 mm | 6.75 mm |
中心距離の計算例: m2でz20とz40の組合せ → a = 2×(20+40)÷2 = 60 mm / m1.5でz18とz36 → a = 1.5×54÷2 = 40.5 mm / m3でz20とz60 → a = 3×80÷2 = 120 mm
🔧 歯車寸法 簡易計算ツール
モジュールmと歯数zを入力すると、標準平歯車(転位なし)の基準円直径・歯先円直径・歯底円直径・全歯たけを計算します。上の静的表と同じ式(d=mz、da=m(z+2)、df=m(z−2.5)、h=2.25m)を使用しています。
※ 標準平歯車(圧力角20°・並歯・転位なし)専用。転位歯車・はすば歯車には適用できません。
モジュールとピッチの関係(CP・DP換算)
歯の大きさの表し方にはモジュールのほかに、円ピッチCP(Circular Pitch: 基準円上の歯1枚分の弧の長さ)とインチ系のDP(Diametral Pitch: 直径1インチあたりの歯数)があります。換算式は次のとおりです。
| 換算 | 式 | 換算例(小数第3位まで) |
|---|---|---|
| モジュール → 円ピッチ | p = π × m | m2 → p = 6.283 mm |
| CP → モジュール | m = CP ÷ π | CP5 → m = 1.592 / CP10 → m = 3.183 |
| DP → モジュール | m = 25.4 ÷ DP | DP8 → m = 3.175 / DP10 → m = 2.540 / DP16 → m = 1.588 |
| モジュール → DP | DP = 25.4 ÷ m | m2 → DP = 12.7 / m3.175 → DP = 8 |
※ CP系はラック&ピニオンの搬送装置(ストローク計算がしやすい)、DP系はインチ規格の輸入機械の図面で登場します。DP換算値は標準モジュール系列に一致しないことが多いため、かみ合わせ相手も必ず同じ規格系で揃えます。
実務上の注意点
かみ合い条件は「同モジュール・同圧力角」
かみ合う歯車同士はモジュールと圧力角の両方が一致している必要があります。歯数は違っていて構いません(むしろ歯数比が減速比になります)。交換部品を手配するときは、歯数と外径だけでなくモジュールと圧力角(通常20°)を必ず確認します。古い機械では圧力角14.5°の歯車が残っていることがあり、20°の歯車とはかみ合いません。
バックラッシ(遊び)は必要なもの
かみ合う歯面間には意図的にわずかなすきま(バックラッシ)を設けます。潤滑油膜の確保、熱膨張・加工誤差・組立誤差の吸収のために必要で、ゼロにすると焼付きや異常摩耗の原因になります。一方で過大なバックラッシは騒音・振動・回転伝達誤差(ガタ)を招くため、用途に応じた適正範囲に管理します。
切下げ(アンダーカット)に注意
圧力角20°の標準平歯車では、歯数が理論上17枚未満になると切下げが発生し、歯元がえぐられて曲げ強度が低下します。小歯数のピニオンが必要な場合は転位(プラス転位)を与えて回避するのが一般的です。転位歯車では本ページの外径・中心距離の式は適用できません。
モジュールという考え方の背景
歯車を任意の歯の大きさで作ると、かみ合う相手も専用品になり、歯を削る工具(ホブ・ピニオンカッタ)も専用になってしまいます。そこで「基準円直径を歯数で割った値」をモジュールとして定義し、その値をJIS B 1701-2(ISO 54と整合)の標準系列に揃えることで、同じモジュールの工具で多様な歯数の歯車を加工でき、市販の歯車同士がかみ合うという互換性が実現されています。モジュールはメートル法圏の指標で、インチ圏のDPと本質的に同じ役割を担います。
歯形にはインボリュート曲線が採用されています(JIS B 1701-1)。インボリュート歯形は、基礎円に巻いた糸をほどくときの糸の先端が描く曲線で、(1)ラック形の直線刃工具で創成加工できる、(2)中心距離が多少ずれても角速度比が一定に保たれる、(3)歯面の接触が滑らか、という実用上の利点があるためです。標準基準ラック歯形では圧力角20°・歯末のたけ1.00m・全歯たけ2.25m・頂げき0.25mが定められており、本ページの計算式はこの標準歯形に基づいています。
モジュールの選定は歯の曲げ強度に直結します。同じトルクを伝えるなら、モジュールが大きいほど歯が大きく折損に強くなる一方、歯数が減って回転の滑らかさや減速比の自由度は下がります。実務では強度計算(ルイスの式など)で必要モジュールを求め、標準系列Iの直近上位値に切り上げるのが定石です。
使い方・選び方のポイント
使用場面
歯車の交換部品手配(既存歯車のモジュール特定)、減速機構の新規設計(モジュール・歯数・中心距離の決定)、図面のDP・CP表記の読み替えに使います。
よくある間違い
①外径(歯先円直径da)を基準円直径dと混同する(daはd+2m) ②モジュール違い・圧力角違いの歯車をかみ合わせようとする ③中心距離の式a=m(z1+z2)/2を転位歯車に適用する ④歯底までの深さを2mと誤る(正しくは2.25m) ⑤DP表記をモジュールと読み違える、に注意します。
選び方のコツ
①強度計算から必要モジュールを求め、系列Iの直近上位値へ切り上げる ②ピニオンの歯数は切下げ回避のため17枚以上を基本とする(小歯数が必要なら転位を検討) ③かみ合う歯車・後日の補修部品も同一モジュール・同一圧力角で統一する。
よくある質問
Q1. 歯車のモジュールとは何ですか?
A. モジュールmは歯の大きさを表す基本単位で、基準円直径d(mm)を歯数zで割った値です(m=d÷z)。単位はmm。モジュールが大きいほど1枚1枚の歯が大きくなり、伝達できる力も大きくなります。
Q2. かみ合う歯車の条件は?
A. モジュールと圧力角の両方が同じであることが条件です。日本では圧力角20°が標準(JIS B 1701-1)。モジュールが異なる歯車や圧力角が異なる歯車は正しくかみ合いません。交換部品を手配するときは必ず両方を確認します。
Q3. モジュールから歯車の外径を計算するには?
A. 標準平歯車(転位なし)では歯先円直径 da=m×(z+2) で計算できます。例えばm2・z30なら da=2×(30+2)=64mm です。基準円直径d=m×z=60mmと混同しないよう注意してください。
Q4. 既存の歯車からモジュールを調べる方法は?
A. 歯数zを数え、歯先円直径daをノギスで測定し、m=da÷(z+2)で逆算します。例えば実測da=44mm・z=20なら m=44÷22=2 です。計算結果が1.5や2などの標準系列値にほぼ一致すれば、そのモジュールと判断できます(転位歯車では一致しないことがあります)。
Q5. 歯車の中心距離の計算式は?
A. 標準平歯車同士(転位なし)では a=m×(z1+z2)÷2 です。例えばm2でz20とz40の組合せなら a=2×(20+40)÷2=60mm。転位歯車では中心距離が変わるため、この式は転位なしの場合に限られます。
Q6. DP(ダイヤメトラルピッチ)とモジュールの換算は?
A. m=25.4÷DP で換算します。例えばDP8なら m=25.4÷8=3.175 です。CP(円ピッチ)表記の場合は m=CP÷π で、CP5なら m≈1.592 になります。インチ系図面や搬送ラック等で出てきたら必ず換算してから設計します。
Q7. 歯数が少ないと何が問題になりますか?
A. 圧力角20°の標準平歯車では、歯数が理論上17枚未満になると切下げ(アンダーカット)が発生し、歯元がえぐられて曲げ強度が低下します。小歯数が必要な場合は転位(プラス転位)を与えて回避するのが一般的です。
Q8. バックラッシとは何ですか?
A. かみ合う歯車の歯面間に設ける遊び(すきま)のことです。潤滑油膜の確保や熱膨張・加工誤差の吸収のために必要で、ゼロにすると焼付きや異常摩耗の原因になります。逆に過大だと騒音や回転伝達誤差(ガタ)が増えます。
関連する早見表
- ベアリング番号早見表 — 歯車軸の軸受選定
- キー・キー溝早見表 — 歯車と軸の締結
- ローラーチェーン早見表 — スプロケットと動力伝達
- 公差・はめあい早見表 — 軸・穴のはめあい選定
- 切削条件早見表 — 歯車素材の加工条件
関連規格・出典
- JIS B 1701-2「円筒歯車-インボリュート歯車歯形-第2部: モジュール」(ISO 54と整合) — 標準モジュール系列I・II
- JIS B 1701-1「円筒歯車-インボリュート歯車歯形-第1部: 標準基準ラック歯形」 — 圧力角20°・歯たけ比率の標準
- JIS B 0102「歯車用語」 — モジュール・基準円・バックラッシ等の用語定義
最終更新: 2026-07-03