スペック早見表

LPガスの蒸気圧 早見表(プロパン・ノルマルブタン・イソブタン)

LPガスの主な成分であるプロパン・ブタンは、純物質なら、容器に液が残っているあいだの圧力が温度だけで決まります(製品のLPガスは混合物で、組成でも変わります)。純プロパンなら20℃でゲージ圧0.735MPa、40℃で1.268MPa。米国国立標準技術研究所(NIST)のChemistry WebBookから取得した純物質の飽和蒸気圧を、絶対圧とゲージ圧で一覧にしました。

🔥 LPガスの圧力 判断即答ボックス

純プロパン、20℃の容器内の圧力は?ゲージ圧0.735MPa絶対圧0.836MPa。液が残っているとき
真夏40℃なら純プロパンは?ゲージ圧1.268MPa絶対圧1.369MPa
冬−10℃、純プロパンは大気圧より高い?高い(ゲージ圧0.244MPa)−42.1℃より低いと大気圧を下回る
−10℃のノルマルブタンは?大気圧より低い(ゲージ圧−0.032MPa)−0.5℃より低いと大気圧を下回る
イソブタンが大気圧を下回るのは?−11.7℃より低いとき標準沸点(1気圧での沸点)
容器の圧力で残量はわかる?わからない純物質は温度で決まり、混合物は組成でも変わる
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表1: 温度から引くLPガス成分の蒸気圧(−40〜60℃)

温度
℃
プロパン
絶対圧
MPa
プロパン
ゲージ圧
MPa
ノルマル
ブタン
絶対圧
MPa
ノルマル
ブタン
ゲージ圧
MPa
イソブタン
絶対圧
MPa
イソブタン
ゲージ圧
MPa
−400.1110.0100.017−0.0850.029−0.073
−350.1370.0360.022−0.0790.037−0.065
−300.1680.0670.028−0.0730.047−0.055
−250.2030.1020.036−0.0650.058−0.043
−200.2450.1430.045−0.0560.072−0.029
−150.2920.1900.056−0.0450.089−0.012
−100.3450.2440.070−0.0320.1080.007
−50.4060.3050.085−0.0160.1310.030
00.4740.3730.1030.0020.1570.056
50.5510.4500.1240.0230.1870.085
100.6370.5350.1480.0470.2210.119
150.7320.6300.1760.0750.2590.158
200.8360.7350.2080.1060.3020.201
250.9520.8510.2430.1420.3510.249
301.0790.9780.2830.1820.4050.303
351.2181.1170.3280.2270.4650.363
401.3691.2680.3780.2770.5310.430
451.5341.4330.4340.3330.6040.503
501.7131.6120.4960.3940.6850.584
551.9071.8060.5640.4620.7730.672
602.1172.0150.6380.5370.8690.768

それぞれ純物質の飽和蒸気圧(液とガスが共存しているときの圧力)です。容器の中に液が残っていて、全体がその温度になっているときの圧力にあたります。ゲージ圧=絶対圧−0.101325MPa(標準大気圧)として計算しています。ゲージ圧がマイナスの欄は、蒸気圧が大気圧より低いことを示します。

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表2: 飽和液の密度(kg/m³)

温度
℃
プロパン
kg/m³
ノルマルブタン
kg/m³
イソブタン
kg/m³
−40578.4641.9624.1
−30566.6631.9613.6
−20554.5621.7602.9
−10541.8611.4591.9
0528.6600.7580.6
10514.7589.8568.9
15507.5584.3562.9
20500.1578.6556.9
30484.4567.0544.3
40467.5554.9531.2
50448.9542.3517.4
60428.0529.1502.7

飽和状態(その温度の蒸気圧の下)にある液の密度です。1kgの液の体積(L)は1000÷密度で、プロパンの15℃なら1000÷507.5≒1.97Lです。液は温度が上がると膨らみ、プロパンは15℃(507.5kg/m³)から40℃(467.5kg/m³)で同じ質量の体積が約8.6%増えます。

表3: 基本の値(標準沸点・臨界点)

物質標準沸点
℃
(0.101325MPa)
臨界温度
℃
臨界圧力
MPa(絶対圧)
プロパン−42.196.744.2512
ノルマルブタン−0.5151.9753.7960
イソブタン−11.7134.663.6290

標準沸点は絶対圧0.101325MPaでの飽和温度で、これより低い温度では蒸気圧が大気圧を下回ります。臨界温度・臨界圧力はNIST WebBookの補助データ(Auxiliary Data)の値をそのまま転記しています。

使い方

  • 容器の中の圧力の見当をつける — 表1で温度の行を引きます。純プロパンなら20℃でゲージ圧0.735MPa、40℃で1.268MPaです。
  • 寒いときに大気圧を上回るかを見る — 標準沸点(表3)より低い温度では、蒸気圧が大気圧を下回ります。ノルマルブタンは−0.5℃、イソブタンは−11.7℃、プロパンは−42.1℃が境目です。
  • 液の質量と体積を換算する — 表2の密度で、体積(L)=質量(kg)×1000÷密度。温度で密度が変わるので、同じ温度の値を使います。
  • 圧力計の読みと比べる — 多くの圧力計はゲージ圧を示すので、ゲージ圧の列と比べます。

蒸気圧の考え方(原理)

  • 純物質の蒸気圧は温度で決まる — 純物質が密閉した容器で液とガスが共存していると、圧力はその温度の飽和蒸気圧になり、液の量では決まりません。圧力を変えるのは温度です(混合物では組成でも変わります。下の「製品のLPガスは混合物」)。
  • 成分で大きく違う — 同じ温度ではプロパン>イソブタン>ノルマルブタンの順に蒸気圧が高く、20℃のゲージ圧はプロパン0.735MPa・イソブタン0.201MPa・ノルマルブタン0.106MPaです。
  • 製品のLPガスは混合物 — 実際のLPガスはプロパン・ブタンなどの混合物で、蒸気圧は成分の割合で変わります。蒸気圧の高い成分(プロパン)が先にガスになって出ていくため、使うにつれて残った液の組成が変わり、同じ温度でも圧力が下がっていくことがあります。このページの一次資料(NIST WebBook)には純物質の表しかないため、混合物の値は載せていません。
  • 液だけで満たされると危ない — 液で満たされてガスの空間がない容器・配管では、温度が上がったときに液の膨張の逃げ場がなく、圧力が急に上がるおそれがあります(表2のとおり、液は温度で膨らみます)。

間違えやすいポイント

  • 絶対圧とゲージ圧を取り違える — プロパンの20℃は絶対圧0.836MPa、ゲージ圧0.735MPaで、約0.1MPa違います。
  • 混合物のLPガスに純物質の値をそのまま当てはめる — 製品のLPガスの蒸気圧は組成で変わります。表の値は純物質のものです。
  • 圧力で残量を判断する — 純物質では、液が残っている間は圧力は温度で決まり、残量では決まりません(混合物では組成でも変わります)。
  • 標高の高い場所 — ゲージ圧は現地の大気圧を0とした圧力です。表のゲージ圧は標準大気圧で計算しているので、高地では現地の大気圧を足して絶対圧の列で比べると正確です(標高別の気圧)。単位の換算は圧力換算の早見表へ。

このページは物性値を引くための早見表です。LPガスの容器・設備の取扱い、高圧ガス保安法・液化石油ガス法にかかわる判断は、法令の原典・事業者の資料と有資格者の確認のうえで行ってください。

よくある質問

Q1. プロパンの蒸気圧は20℃で何MPa?

A. 20℃でゲージ圧0.735MPa(絶対圧0.836MPa)、40℃でゲージ圧1.268MPa(絶対圧1.369MPa)です(純プロパン)。ゲージ圧は絶対圧−0.101325MPaです。

Q2. ゲージ圧と絶対圧の違いは?

A. ゲージ圧は大気圧を0、絶対圧は真空を0とした圧力です。このページではゲージ圧=絶対圧−0.101325MPa(標準大気圧)です。

Q3. 寒いとブタンのガスが出にくいのはなぜ?

A. ノルマルブタンは−0.5℃より低いと蒸気圧が大気圧を下回るためです(−10℃でゲージ圧−0.032MPa)。イソブタンは−11.7℃、プロパンは−42.1℃が境目です。

Q4. 容器の圧力で残量はわかる?

A. 液が残っている間はわかりません。純物質では、圧力はその温度の蒸気圧で決まり、液の量では決まりません(混合物では組成でも変わります)。

Q5. 製品のLPガスの蒸気圧は?

A. 混合物なので成分の割合で変わります。このページは純物質の値だけを載せています。

Q6. 温度が上がると液はどれくらい膨らむ?

A. プロパンは15℃→40℃で密度が507.5→467.5kg/m³になり、体積が約8.6%増えます。

Q7. 表の値の出どころは?

A. NIST Chemistry WebBook(SRD 69)の飽和の表を2026年10月に取得し、圧力は0.001MPa、密度は0.1kg/m³、温度は0.1℃に丸めています。

関連する早見表

出典・参考

  • NIST Chemistry WebBook, NIST Standard Reference Database Number 69 — Thermophysical Properties of Fluid Systems(E.W. Lemmon, I.H. Bell, M.L. Huber, M.O. McLinden、米国国立標準技術研究所(NIST)、doi:10.18434/T4D303)— Propane・Butane・Isobutane の Saturation Properties(温度刻み: −40〜60℃・5℃刻みの Pressure と液相の Density、圧力刻み: 絶対圧0.101325MPaの飽和温度)と、各ページの Auxiliary Data(Critical temperature・Critical pressure・Normal boiling point)。2026年10月24日取得 — webbook.nist.gov/chemistry/fluid/

※ WebBookが値の計算に使っている状態方程式(WebBookのReferences and Notesに示されたもの): プロパンはLemmon・McLinden・Wagner(J. Chem. Eng. Data 54, 2009)、ノルマルブタンとイソブタンはBücker・Wagner(J. Phys. Chem. Ref. Data 35, 2006)。

※ 丸め(四捨五入): 圧力(絶対圧・ゲージ圧)は小数第3位(0.001MPa)、密度は小数第1位(0.1kg/m³)、標準沸点は小数第1位です。WebBookの表示桁(8桁)の値から丸めています。ゲージ圧は丸める前の絶対圧から0.101325MPaを引いてから丸めるため、表の絶対圧から引いた値と0.001ずれることがあります。臨界温度・臨界圧力は補助データの表示のままです。

※ 本ページの数値は2026年10月時点で確認した出典にもとづきます。改定されることがあるため、最新の原典を確認してください。

※ 本ページの表・数値は、上記の出典をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関・団体が作成したものではありません。

最終更新: 2026-10-24