スペック早見表

ブレーカー容量計算(単相2線/単相3線/三相3線)

負荷電力(W)・配電方式・電圧・力率・負荷種別から必要電流を計算し、125%ルールに基づく推奨ブレーカー容量を自動提示します。内線規程 JEAC 8001 / 電気設備技術基準 準拠。

計算結果

漏電遮断器(ELB)の選定基礎

漏電遮断器(ELB/ELCB)は、零相変流器(ZCT)で「行き」と「帰り」の電流差(=地絡電流)を検出して遮断する機器で、感度は定格感度電流で表します。JIS C 8201-2-2 による区分は次のとおりです。

定格感度電流の区分(JIS C 8201-2-2)

区分定格感度電流代表的な値主な用途
高感度形30mA以下5・6・10・15・30 mA感電保護。住宅・一般回路は高感度30mA・動作時間0.1秒以内(高速形)が標準
中感度形30mA超〜1000mA50・100・200・300・500・1000 mA幹線の地絡保護・漏電火災防止(感電保護には使えない)
低感度形1000mA超3・5・10・20・30 A大容量幹線の地絡保護

動作時間の区分: 高速形(定格感度電流で0.1秒以内)・時延形(0.1秒超〜2秒以内)。主幹と分岐にELBを直列に置く場合は、分岐側を高速形・主幹側を時延形として保護協調をとります。

地絡保護と接地抵抗の関係(D種接地との組合せ)

漏電時に人が触れる金属外箱の対地電圧(接触電圧)は「地絡電流 × 接地抵抗」で決まるため、漏電遮断器の感度・動作時間と接地工事はセットで考えます。電気設備技術基準の解釈(電技解釈)第17条の規定は次のとおりです。

条件D種接地抵抗値
原則(300V以下の低圧機器)100Ω以下
地絡時に0.5秒以内に自動遮断する装置(漏電遮断器)を施設した場合500Ω以下に緩和

「高感度・高速形の漏電遮断器を付けること」と「接地抵抗の緩和(100Ω→500Ω)」は、電技解釈上ひとつながりの規定です。接地工事の種別・抵抗値・接地線の太さは接地工事早見表(A種〜D種)を参照してください。

よくある間違い(過電流保護との混同)

  • 「配線用遮断器(MCCB)があれば漏電も防げる」は誤り。MCCBが検出するのは過電流・短絡電流のみで、mAオーダーの地絡電流では動作しません。感電・漏電火災の保護には漏電遮断器が別途必要です。
  • ELBには過電流素子付き(OC付)と過電流素子なしがある。OC付は「漏電+過電流・短絡」を1台で保護できます。過電流素子なし(漏電保護専用)は地絡しか遮断できないため、別途配線用遮断器などによる過電流保護が必要です。銘板の「OC付」表記と定格電流の記載を確認します。
  • 定格電流(A)と定格感度電流(mA)の混同。「20A・30mA」のように、通常時に流せる定格電流と、漏電を検出する定格感度電流は別の値です。負荷電流には定格電流を、感電保護には感度電流を対応させます。

根拠: JIS C 8201-2-2(漏電遮断器)、電気設備技術基準・解釈 第17条・第36条。

電流計算式(配電方式別)

配電方式電流計算式用途
単相2線式
(AC100V or 200V)
I = P ÷ (V × cosφ)小規模住宅・小型機器単独
単相3線式
(100/200V)
I = P ÷ (V × cosφ)
単回路の線電流(100Vまたは200V)
一般住宅・店舗の標準
三相3線式
(200V or 400V)
I = P ÷ (√3 × V × cosφ)
= P ÷ (1.732 × V × cosφ)
動力・工場・大型空調

P: 有効電力 W, V: 線間電圧 V, cosφ: 力率(純抵抗=1.0, モーター=0.7〜0.85, インバータ=0.9〜1.0, LED照明=0.9〜0.95)

125%ルール(ブレーカー定格選定基準)

ブレーカー定格 ≧ 計算電流 × 1.25(連続負荷)

負荷種別係数内容
連続負荷(3時間以上連続動作)×1.25照明・コンセント・ヒーター・定常機器
短時間負荷×1.00間欠運転・短時間のみ動作する機器
電動機(始動電流大)×1.50以上ポンプ・コンプレッサ・エレベータ
インバータ機器×1.25〜1.50始動突入電流を考慮
溶接機・X線装置×2.0以上瞬間大電流を考慮

根拠: 内線規程 JEAC 8001(3605-3: 連続負荷は過電流遮断器定格の80%以下=定格は計算電流の1.25倍以上) / 電気設備技術基準の解釈 第148条・第149条

標準ブレーカー定格(配線用遮断器 MCCB)

JIS C 8201-2-1(旧 JIS C 8370)に基づく標準定格:

15, 20, 30, 40, 50, 60, 75, 100, 125, 150, 175, 200, 225, 250, 300, 350, 400, 500, 600, 700, 800, 1000 A

計算値より一つ上の定格を選択。例: 必要23.8A → 30A選定(20Aでは不足)

電圧降下の考慮(長距離配線)

配線距離が長い場合は、許容電流に加えて電圧降下も検討します。内線規程の推奨値:

区分許容電圧降下
幹線2%以内
分岐回路2%以内
幹線+分岐の合計4%以内

単相2線: ΔV = 2 × I × R × L ÷ 1000
単相3線: ΔV = 1 × I × R × L ÷ 1000(中性線平衡時)
三相3線: ΔV = √3 × I × R × L ÷ 1000

R: 電線抵抗 Ω/km, L: 線路長 m, I: 電流 A

よくある電気機器の電流・推奨ブレーカー

機器消費電力電圧電流推奨Br
エアコン 2.2kW(6畳用)約800〜1500WAC100V8〜15A専用20A
エアコン 4.0kW(14畳用)約1500〜2500WAC200V8〜13A専用20A
IHクッキングヒーター約5800WAC200V29A専用30A
エコキュート約1500WAC200V8A専用20A
食洗機ビルトイン約1300WAC100V13A専用20A
電子レンジ1500WAC100V15A20A
温水洗浄便座1200WAC100V12A15-20A
三相モーター 3.7kW3700W(出力)3φ200V約15A(力率0.8)30A
三相モーター 11kW11000W(出力)3φ200V約42A(力率0.85)75A
三相コンプレッサ 15kW15000W3φ200V約54A100A(始動考慮)

※ 消費電力・電流は代表的な機種の目安。IHクッキングヒーター(最大5.8kW)はメーカー据付基準で単相200V・30A専用回路(250V 30Aコンセント・2.6mm配線)が標準です。実際の選定は各機器の据付説明書に従ってください。

漏電遮断器(ELCB)の追加要件

水回り・屋外・金属筐体機器は漏電遮断器の設置が義務付けられています(電気設備技術基準の解釈 第36条)。

  • 高感度形(30mA以下): 人体感電防止 — 住宅・水回り(標準は30mA)
  • 中感度形(30mA超〜1000mA): 幹線の地絡保護・漏電火災防止
  • 低感度形(1000mA超): 大容量幹線の地絡検出 — 主幹

動作時間: 高速形(0.1秒以内)、時延形(0.1秒超)。一般住宅は高速形30mA。

ブレーカーが電流を遮断する仕組みと125%ルールの根拠

配線用遮断器(MCCB)は、過負荷に反応する熱動式(バイメタルが発熱で湾曲して接点を開く)と、短絡時の大電流に反応する電磁式(瞬時引き外し)の二段構えで、電線と機器を保護します。過電流はじわじわ、短絡は一瞬で切る、という性質の違いに対応しているわけです。

連続負荷で125%の余裕を取るのは、連続通電による定常的な発熱に備えるためです。

  • 連続して電流が流れる回路では、電線もブレーカーも定常的に発熱する
  • 定格ぎりぎりでは温度上昇で誤遮断や絶縁劣化を招く
  • さらに重要なのが「電線の許容電流とブレーカー定格の協調」— 定格を電線許容電流以下に収める

異常時に電線が焼損する前にブレーカーが先に切れることが、安全の要になります。

したがって選定は、次の順序で根拠を積み上げます。

  1. 負荷電流を求める
  2. 連続分は1.25倍する
  3. 直近上位の標準定格を選ぶ
  4. その電線の許容電流が定格以上か確認する
  5. 長距離なら電圧降下も確認する

各ステップが保護の理屈に対応しているため、どれを飛ばしても安全性が崩れます。

使い方・選び方のポイント

使用場面

分電盤の主幹・分岐回路の遮断器選定、電気機器の専用回路設計、回路の増設時に使います。負荷の電流から、過電流・短絡から電線と機器を守るための適切な定格を決める場面が中心です。

よくある間違い

負荷電流ぴったりの定格を選ぶのは誤りです。

  • 連続して流れる負荷は125%ルールで余裕を見る
  • 逆に大きすぎる定格は、電線が先に発熱・焼損しても遮断されず危険

ブレーカー定格は必ず電線の許容電流と協調させる必要があります。

選び方のコツ

  1. 負荷の定格電流を把握
  2. 連続負荷は1.25倍して余裕を見る
  3. 直近上位の標準定格(20/30/40/50/60Aなど)を選ぶ
  4. その電線の許容電流が定格以上かを確認
  5. 水回り・屋外回路は漏電遮断器を使う

モーターなど始動電流が大きい負荷では動作特性(時延)も考慮します。

よくある質問

Q. ブレーカーはなぜ電流の125%?

A. 内線規程では、連続定格負荷に対してブレーカー定格を計算電流の125%以上とすることが定められています。

  • 連続動作による発熱を考慮
  • ブレーカー自体の熱余裕を確保

根拠は内線規程 JEAC 8001 です。

Q. 単相3線式とは?

A. 中性線と2本の電圧線で、中性線-電圧線間100V、電圧線-電圧線間200Vが同時に取れる方式。住宅・店舗の標準方式。

Q. 三相の√3はなぜ?

A. 三相交流は3つの正弦波が120度位相差で重なり、電力計算式 P = √3 × V × I × cosφ (√3≒1.732) で表されます。Y結線では線間電圧が相電圧の√3倍になるためです。

Q. 電圧降下も考慮する?

A. 長距離配線では必ず考慮します。

  • 内線規程の目安: 幹線2%以内
  • 分岐2%以内
  • 合計4%以内

許容電流から選定した電線で電圧降下も満たすか確認します。

Q. モーター起動電流はどう扱う?

A. 始動電流を見込み、定格×1.5〜2倍程度で選定するのが一般的です。

  • 直入始動では定格電流の5〜7倍の始動電流が流れる
  • 熱動遮断特性の瞬時領域を考慮して定格×1.5〜2倍程度で選定

始動時の突入電流で不要遮断させないための余裕です。

Q. 漏電遮断器(ELB)の感度電流はどう選ぶ?

A. 住宅・一般回路の感電保護は「高感度形30mA・動作時間0.1秒以内(高速形)」が標準です。

  • 高感度形(定格感度電流30mA以下)は感電保護用
  • 中感度形(30mA超〜1000mA)は幹線の地絡・漏電火災保護用で、感電保護には使えない

また、地絡時0.5秒以内に自動遮断する装置を施設した場合、D種接地は500Ω以下に緩和されます(電技解釈 第17条)。区分の詳細は上の「漏電遮断器(ELB)の選定基礎」を参照。

関連する早見表

出典・参考

内線規程 JEAC 8001:2022, 電気設備技術基準・解釈, JIS C 8201-2-1(配線用遮断器・旧 JIS C 8370), JIS C 8201-2-2(漏電遮断器)

参考: 電気設備学会・日本電気工業会等の公開資料、および配線用遮断器メーカーの公開技術資料。

※ 本計算は標準的な選定目安。実設計は資格保有電気工事士・電気主任技術者による確認が必要です。

最終更新: 2026-07-11