階段寸法 早見表|建築基準法の蹴上・踏面・階段幅の基準(令23〜25条)
建築基準法施行令第23条が定める用途区分別の階段寸法(蹴上げ・踏面・階段及び踊場の幅)と、踊場(令24条)・手すり(令25条)の規定を一覧化。住宅・小学校・劇場・物販店舗など区分ごとの規定値、回り階段の測り方、使いやすい寸法の目安まで、設計・確認申請・リフォーム検討の確認業務に答えます。
🏗️ 階段寸法 即答ボックス(令23条の規定値)
このページについて
階段の蹴上げ(1段の高さ)・踏面(足を載せる奥行き)・幅は、建築基準法施行令第23条で建物の用途・規模の区分ごとに最低基準が定められています。本ページはその規定値を用途区分別の一覧表にまとめ、あわせて踊場の位置・踏幅(令24条)、手すり・側壁の設置(令25条)、回り階段の踏面の測定位置、手すりの幅の算定緩和など、階段設計で確認頻度の高い規定を1ページに集約したものです。
数値はすべて法令の規定値(最低基準)であり、条例による付加基準や、バリアフリー法・品確法などの上乗せ基準は含みません。実際の設計・確認申請では最新の法令・特定行政庁の取り扱いを必ず確認してください。
用途区分別 階段寸法一覧表(建築基準法施行令 第23条)
「幅」は階段及びその踊場の幅。蹴上げは「以下」、踏面と幅は「以上」の最低基準です。踏面は段鼻から段鼻までの水平距離で測ります。
| 区分 | 対象となる階段 | 階段・踊場の幅 | 蹴上げ | 踏面 |
|---|---|---|---|---|
| (一) | 小学校(義務教育学校の前期課程を含む)における児童用の階段 | 140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
| (二) | 中学校・高等学校・中等教育学校等における生徒用の階段/床面積の合計が1500㎡を超える物品販売業(物品加工修理業を含む)の店舗における客用の階段/劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場における客用の階段 | 140cm以上 | 18cm以下 | 26cm以上 |
| (三) | 直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階の階段/居室の床面積の合計が100㎡を超える地階・地下工作物内の階段 | 120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
| (四) | (一)〜(三)以外の階段(事務所ビル・小規模店舗・共同住宅の共用階段など ※規模により(三)に該当する場合あり) | 75cm以上 | 22cm以下 | 21cm以上 |
| 住宅 | 住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く) — 蹴上げ・踏面の緩和(令23条1項ただし書)。幅は表の区分による(通常の住宅は(四)で75cm以上) | 75cm以上 | 23cm以下 | 15cm以上 |
※ 屋外階段の幅は、令第120条・第121条の規定による直通階段では90cm以上、その他の屋外階段では60cm以上とすることができます(令23条1項ただし書)。蹴上げ・踏面は上表の区分どおりです。
※ 令23条4項により、上表と同等以上に安全に昇降できる構造方法として国土交通大臣が定めるもの(告示による基準)を用いる場合は上表によらないことができます。
踊場の規定(建築基準法施行令 第24条)
| 対象 | 踊場を設ける位置 |
|---|---|
| 令23条の表(一)(二)に該当する階段(小学校の児童用、中学・高校の生徒用、劇場等の客用、物販1500㎡超) | 高さ3mを超えるものは高さ3m以内ごとに踊場を設ける |
| その他の階段(住宅・事務所等を含む) | 高さ4mを超えるものは高さ4m以内ごとに踊場を設ける |
この規定によって設ける直階段の踊場の踏幅は120cm以上としなければなりません(令24条2項)。踊場の「幅」は階段幅と同じ規定値(令23条の表)が適用されます。
手すりの規定(建築基準法施行令 第25条)
- 手すりの設置義務: 階段には手すりを設けなければならない(1項)。
- 側壁: 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く)には、側壁またはこれに代わるものを設ける(2項)。
- 中間手すり: 階段の幅が3mを超える場合は中間に手すりを設ける。ただし蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上の場合は不要(3項)。
- 適用除外: 上記1〜3項の規定は、高さ1m以下の階段の部分には適用しない(4項)。
また、令23条3項により、手すり等(手すり、および高さ50cm以下の昇降設備)を設けた場合の階段・踊場の幅は、出幅10cmを限度として手すり等がないものとみなして算定できます。手すりの高さ自体は建築基準法施行令に一律の規定はなく、慣用的には75〜85cm程度(目安)で計画されます。
使いやすい階段の目安(慣用式・法規ではありません)
法規の最低基準(住宅で蹴上23cm・踏面15cm)を満たしていても、昇降のしやすさとしてはかなり急な階段になります。慣用的な設計目安として次の式がよく使われます。
蹴上げ(R) × 2 + 踏面(T) = 60cm前後(おおむね55〜65cm)
| 例 | 蹴上げ R | 踏面 T | 2R+T | 印象(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 法規上限ぎりぎりの住宅階段 | 23cm | 15cm | 61cm | 式は満たすが急勾配(約57°) |
| 一般的な住宅階段の例 | 20cm | 22cm | 62cm | 標準的(約42°) |
| ゆとりのある住宅階段の例 | 19cm | 24cm | 62cm | 緩やか(約38°) |
| 公共建築でよく見る例 | 16cm | 30cm | 62cm | 非常に緩やか(約28°) |
※ 2R+T式・角度・印象はいずれも設計上の目安であり、法規の規定ではありません。同じ2R+Tでも蹴上が大きいほど急になります。
階段の勾配の考え方
階段の勾配は蹴上げ÷踏面で表せます。例えば蹴上20cm・踏面22cmなら 20/22 ≒ 0.91(約42°)。法規上限の住宅階段(23/15 ≒ 1.53)は約57°に達します。勾配・角度・パーセントの相互換算は勾配換算 早見表で計算できます。
なお、階段に代わる傾斜路(スロープ)を設ける場合は勾配1/8以下等の規定(令26条)が別途あります。
よくある間違い
- 踏面を踏板の奥行きで測ってしまう — 踏面は段鼻から直上段の段鼻までの水平距離です。蹴込み(段鼻の下の引っ込み)部分は踏面に含めないため、蹴込みのある階段では踏板の実寸は踏面より大きくなります。
- 回り階段の踏面を中央や広い側で測る — 回り階段の踏面は狭い方の端から30cmの位置で測ります(令23条2項)。住宅の回り階段でも、この位置で15cm以上が必要です。
- 手すりの出幅を階段幅から引いてしまう/引き忘れる — 手すり等は片側10cmを限度に「ないもの」とみなして幅を算定できます(令23条3項)。10cmを超える出幅の部分は幅から除かれます。
- 共同住宅の共用階段に住宅の緩和を使う — 蹴上23cm・踏面15cmの緩和は共同住宅の共用の階段には適用されません。共用階段は規模により(三)または(四)の区分です。
- 高さ1m以下の階段にも手すりが必須と思い込む — 手すり・側壁の規定は高さ1m以下の階段の部分には適用されません(令25条4項)。
使い方・選び方のポイント
使用場面
戸建住宅・共同住宅・店舗・学校などの階段の新設計画、確認申請前のチェック、リフォームで階段を掛け替える際の適法性確認、既存建物の実測調査に使います。まず建物の用途と規模から上表の区分を特定し、蹴上げ・踏面・幅の3点を規定値と照合します。
チェックの順序
①用途・規模から令23条の区分を特定 ②蹴上げ・踏面・幅を規定値と照合(回り階段は30cm位置で測定) ③階段の高さから踊場の要否を確認(令24条) ④手すり・側壁・中間手すりを確認(令25条) ⑤使いやすさは2R+T=60cm前後(目安)で評価、の順が確実です。
注意点
本ページの数値は建築基準法施行令の最低基準です。地方公共団体の条例(いわゆる建築基準条例)による付加、バリアフリー法・学校施設基準・品確法の等級基準などでより厳しい寸法が求められる場合があります。
背景解説: なぜ用途で基準が違うのか
階段寸法の規定は、転落・踏み外し事故の防止と、火災時の避難を安全に行えることを目的としています。蹴上げが大きい・踏面が狭い階段ほど踏み外しのリスクが高く、幅が狭い階段ほど避難時に人が滞留します。そこで建築基準法施行令第23条は、体格の小さい児童が使う小学校、群集が一斉に移動する劇場・大型物販店舗など、リスクの高い用途ほど緩い勾配と広い幅を求める構成になっています。
一方、住宅の階段は利用者が限定され日常的に使い慣れていることから、蹴上23cm以下・踏面15cm以上という最も緩い基準が認められています。ただしこれは「適法である」というだけで、高齢者や子どもには急すぎる寸法です。実際の住宅設計では、法規値ではなく2R+T=60cm前後(目安)や蹴上20cm以下・踏面22cm以上程度を確保する計画が広く行われています。
2014年(平成26年)の改正で令23条4項が追加され、両側手すりや滑りにくい仕上げなどの安全措置を講じた階段について、告示の基準により表の寸法によらない設計も可能になりました。住宅のリフォームなどで活用されることがありますが、適用条件が細かく定められているため、利用する場合は告示本文と特定行政庁の取り扱いの確認が必須です。
よくある質問
Q1. 住宅の階段の最低基準は?
A. 建築基準法施行令第23条により、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く)は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上・階段及び踊場の幅75cm以上です。共同住宅の共用階段にはこの緩和は適用されず、規模により表の(三)(幅120cm以上・蹴上20cm以下・踏面24cm以上)または(四)(幅75cm以上・蹴上22cm以下・踏面21cm以上)が適用されます。
Q2. 蹴上げ・踏面とはどこの寸法?
A. 蹴上げは階段1段分の高さ(段の上面から次の段の上面までの垂直距離)、踏面は足を載せる面の有効奥行きで、段鼻(段の先端)から直上段の段鼻までの水平距離で測ります。蹴込み(段鼻の下の引っ込み)部分は踏面に含めません。
Q3. 回り階段の踏面はどこで測る?
A. 建築基準法施行令第23条第2項により、回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置で測ります。住宅の回り階段なら、内側の端から30cmの位置で踏面15cm以上を確保する必要があります。
Q4. 踊り場はどこに設ける必要がある?
A. 建築基準法施行令第24条により、小学校の児童用や劇場等の客用など令23条の表(一)(二)に該当する階段で高さ3mを超えるものは高さ3m以内ごとに、その他の階段で高さ4mを超えるものは高さ4m以内ごとに踊場を設けなければなりません。また、この規定で設ける直階段の踊場の踏幅は120cm以上が必要です。
Q5. 階段の手すりは必ず必要?
A. 建築基準法施行令第25条により、階段には手すりを設けなければなりません。ただし高さ1m以下の階段の部分には適用されません。また、手すりのない側には側壁またはこれに代わるものが必要で、幅3mを超える階段には中間手すりが必要です(蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上の場合を除く)。
Q6. 手すりを付けると階段の幅は狭くなる扱いになる?
A. 建築基準法施行令第23条第3項により、手すり等の出幅は片側10cmを限度として「ないもの」とみなして階段幅を算定できます。例えば有効幅75cmの住宅階段に出幅10cm以内の手すりを設けても、幅の規定には適合したままです。
Q7. 使いやすい階段の寸法の目安は?
A. 慣用的な設計式として「蹴上げ×2+踏面=60cm前後(おおむね55〜65cm)」が昇降しやすい目安とされます。例えば蹴上げ20cm×2+踏面22cm=62cmです。これは法規の規定ではなく設計上の目安であり、法規上の最低基準(住宅で蹴上23cm・踏面15cm)ぎりぎりの階段はかなり急勾配になります。
Q8. 屋外階段の幅の基準は?
A. 建築基準法施行令第23条第1項ただし書により、屋外階段の幅は、令第120条・第121条の規定による直通階段では90cm以上、その他の屋外階段では60cm以上とすることができます。蹴上げ・踏面は用途区分の表の数値が適用されます。
関連する早見表
出典・参考
- 建築基準法施行令 第23条 — 階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法
- 建築基準法施行令 第24条 — 踊場の位置及び踏幅
- 建築基準法施行令 第25条 — 階段等の手すり等
※ 本ページの規定値は建築基準法施行令に基づく最低基準の要約です。条例による付加基準・告示による代替基準・最新の法改正については、e-Gov法令検索等で最新の条文および特定行政庁の取り扱いを必ず確認してください。「目安」と記載した数値は法規ではなく慣用的な設計指標です。
最終更新: 2026-07-08