スペック早見表

DINレール 早見表(TS35/TS15/TS32 ・機器幅計算)

制御盤・分電盤で使用されるDINレール(TS35/TS15/TS32/G形)の規格寸法、1U=18mm単位の機器幅計算、MCB/RCCB/端子台/リレー等の標準機器幅一覧を収録。JIS C 2812 / IEC 60715 準拠。

計算結果

DINレール規格一覧

規格形状幅(mm)高さ(mm)板厚(mm)用途
TS35 (TH35)頂部ハット形(Top Hat)357.5 / 151.0〜2.3最汎用。家庭分電盤・制御盤・産業機器
TS15頂部ハット形(小)155.51.0小型機器・計測器内部
TS32 (G形)G形(曲線状)32152.0古い機器・一部欧州仕様
TS75 (TH75)頂部ハット形(大)75253.0大型機器・高電流端子台
AR形(非対称)ASY32--旧形・ほぼ使われない

規格呼称の新旧対照(カタログ表記の逆引き)

同じレールが規格の統合を経て複数の名前を持っています。海外カタログや古い図面で旧番号を見かけたら、この表で現行呼称に読み替えてください。

現行呼称(IEC 60715)旧EN規格通称・カタログ表記断面・寸法
TH35-7.5EN 50022TS35薄形 / DIN 46277-3ハット形 35×7.5mm
TH35-15EN 50022TS35厚形(深形)ハット形 35×15mm
G32EN 50035TS32 / G形レールG形(非対称) 32mm
TH15EN 50045TS15 / ミニチュアレールハット形 15×5.5mm

TS35 詳細寸法(IEC 60715準拠)

記号寸法説明
幅 W35.0 ±0.3 mmレール全幅
高さ H7.5 (薄形) / 15.0 (厚形)レール断面高さ
ハット部幅 W227.0 ±0.2 mm (高さ7.5) / 24.0 ±0.2 mm (高さ15)断面中央のハット部の幅。機器の爪はW=35mmの両縁リップに掛かる
板厚 t1.0 mm (薄形) / 1.5〜2.3 mm (厚形)材質: 冷間圧延鋼・SUS・アルミ
表面処理亜鉛めっき / クロメート / SUS304腐食環境ではSUS推奨

モジュラー機器の標準幅(1U = 18mm)

IEC 60715では、DINレール取付のモジュラー機器の標準幅を 18mm = 1U と定めています。

機器種別極数・種類幅 (mm)U数
MCB (配線用遮断器)1P (単極)181U
2P362U
3P543U
4P724U
RCCB/RCBO (漏電)2P RCCB36〜452〜2.5U
4P RCCB724U
RCBO (過電流+漏電)362U
端子台貫通型(単極)5〜6-
アース端子6〜8-
ヒューズ端子8〜10-
電磁リレー小型(8ピン)27〜29約1.5U
中型(11ピン)35〜37約2U
電磁接触器9〜18A級45〜722.5〜4U
電源(スイッチング)24V 60W36〜542〜3U
24V 240W90〜1205〜6.5U
タイマーリレーデジタル17〜351〜2U
SSR(ソリッドステート)単相22〜291〜1.5U

分電盤選定例

家庭用分電盤で主幹50A漏電ブレーカー1個 + 分岐20A×10回路の場合:

  • 主幹(2P RCBO): 36mm = 2U
  • 分岐(1P MCB×10): 18×10 = 180mm = 10U
  • 合計: 2U + 10U = 12U = 216mm
  • 必要レール長: 216 + 両端マージン40mm = 256mm以上

実機では配線スペース・結束バンド・将来拡張余裕を見込み、計算長の1.3〜1.5倍程度を推奨します。

分岐回路数からレール長を逆引き

主幹2P(36mm=2U)+分岐1P MCB、両端マージン各20mmとした場合の必要レール長です。上の計算ツールと同じ条件(余裕率1.3倍、10mm単位切り上げ)で算出しています。

分岐回路数(1P)機器幅合計(主幹込)マージン込(+40mm)推奨レール長(×1.3)
4回路108 mm148 mm200 mm
6回路144 mm184 mm240 mm
8回路180 mm220 mm290 mm
10回路216 mm256 mm340 mm
12回路252 mm292 mm380 mm
14回路288 mm328 mm430 mm
16回路324 mm364 mm480 mm

主幹に3P(54mm=3U)を使う場合は機器幅合計・マージン込に+18mm(推奨レール長は切り上げの関係で+20〜30mm)。エンドクランプ・端子台エンドプレートの厚み(下記参照)は別途加算してください。

DINレールの取付方法

  • 金属板(鉄板1.6mm以上)・パンチングパネルにねじ止め(M4〜M5)
  • 取付穴は長穴(5mm×25mm程度)で位置調整可能に
  • 取付間隔: 200〜300mm毎にねじ(曲げ強度確保)
  • 水平設置が原則。垂直設置では機器自重で落下の可能性、ストッパー必須
  • 両端にエンドクランプを取付、機器の横ズレを防止

材質・選定

材質特徴用途
亜鉛めっき鋼標準・安価屋内・一般分電盤
クロメート鋼耐食性向上屋内湿気環境
ステンレス(SUS304)耐食性◎食品工場・屋外・海岸付近
アルミ合金軽量航空機・搬送機器
樹脂(PA)絶縁・軽量絶縁が必要な箇所

DINレールが盤内の標準になった理由

DINレールは、機器を1本のレールにワンタッチで着脱・整列できる仕組みで、配線・保守・増設を大幅に効率化します。ドイツのDIN規格として生まれ、のちに国際規格(IEC/EN)となって世界共通の標準になりました。

最も普及しているのはTH35(幅35mm)で、端子台・ブレーカー・リレー・電源など多くの機器が対応します。レール上で機器を自由に配置・交換できるため、制御盤・分電盤の設計と保守が容易になります。

高さ(浅型/深型)や材質(鋼/アルミ)は設置環境と機器で選び、エンドストッパで機器を固定します。標準化されているからこそ、メーカーをまたいで機器を組み合わせられます。

実務でよくある取り違え・注意点

「TS35」と「TS32(G形)」の手配ミス

「TH35」「TS35」「EN 50022」「DIN 46277-3」はすべて同じ35mm幅ハット形レールの新旧呼称ですが、「TS32(G形)」だけは別物です。G形は幅32mmで断面が非対称のため、TH35用機器の取付爪は物理的に掛かりません。幅の差はわずか3mmで目視では区別しにくく、1980年代以前の古い制御盤を更新する際に「35mmだと思って手配したらG形だった」という手戻りが起きがちです。既設盤では必ず現物の断面形状(左右対称のハット形か、片側だけ折り返したG形か)を確認してから発注してください。

高さ7.5mmと15mmの取り違え

機器を掛ける35mm幅部分の爪形状は薄形・厚形で共通のため、機器はどちらにも取付できます。問題は盤面から機器前面までの高さが7.5mm変わることで、既設盤のレールだけを交換して薄形と厚形を取り違えると、化粧カバーの開口面と機器前面がずれたり、扉裏の部材や配線ダクトと干渉したりします。新規設計では、電磁接触器や大容量電源など重量機器を並べる場合や支持ねじ間隔を広く取りたい場合は断面剛性の高い厚形(15mm)、盤の奥行きが浅い場合は薄形(7.5mm)を選ぶのが基本です。

レール長の「計算落ち」

機器幅18mm×U数の合計だけで長さを決めると、エンドクランプ(1個あたり約5〜10mm、両端で10〜20mm)と、端子台のエンドプレート(約2mm)・仕切板の厚みが漏れます。端子台を20連、30連と並べる盤では、実際の占有幅が公称幅の合計より1cm前後長くなることが珍しくありません。また穴あき(スロット)タイプのレールを切断するときは、切断位置が長穴にかかると端部の固定ねじが利かなくなるため、穴と穴の間で切るようにします。

よくある質問

Q. TS35とTS32の違いは?

A. TS35=35mm幅の頂部ハット形(最汎用)、TS32=32mm幅のG形(曲線状)。TS35が現代の標準で、TS32は古い制御盤や一部欧州製機器で見られます。

Q. 1U=18mmはどこ由来?

A. IEC 60715で規定されたモジュラー機器の標準幅。家庭用単極MCBが18mm幅を基準とし、2極=36mm(2U)、3極=54mm(3U)となります。

Q. TS35の7.5mmと15mmの違いは?

A. 頂部高さの違い。TS35×7.5(薄形)は軽量用途、TS35×15(厚形)は耐荷重・機械強度が高く大電流機器・振動環境に適します。

Q. DINレールに直接アース接続してよい?

A. 可能だが注意。ステンレスやクロメート処理なら機能しますが、亜鉛めっきは経年で接触抵抗が上がるため専用アース端子経由が推奨です。

Q. エンドクランプは必要?

A. 必須ではないが推奨。機器の横ずれ防止・レール端部の保護・配線張力から機器を守るため両端に取り付けるのが標準施工です。

Q. 「EN 50022」表記のレールはTH35(TS35)と同じ?

A. 同じです。EN 50022は統合前の旧欧州規格番号で、現行のIEC 60715ではTH35に相当します。海外カタログや古い図面には旧番号が残っていることが多く、DIN 46277-3も同系の旧称です。

Q. レール長の計算でエンドクランプ分はどれくらい見込む?

A. 1個あたり約5〜10mm(ねじ式は約10mm、ばね式薄型は約5mm)で、両端で10〜20mmを機器幅合計に加算します。端子台を並べる場合はエンドプレート(約2mm)や仕切板の厚みも忘れずに加えます。

関連する早見表

出典・参考

JIS C 2812:1998(機器取付け用レール。2025年に改正版あり), IEC 60715:2017(低圧開閉装置の取付レール), DIN EN 60715(欧州対応規格)

参考: 端子台・制御機器メーカー各社の公開技術資料を集約した参考値です。

本表のレール寸法・呼称はJIS C 2812:1998およびIEC 60715:2017の公表値と照合(2026-07-19)。

最終更新: 2026-07-19