非常用照明の設置基準早見表|1ルクス(LEDは2ルクス)・予備電源30分
非常用照明の照度は床面1ルクス以上、ただし蛍光灯・LEDなら2ルクス以上。予備電源は30分。設置が必要な場所・要らない居室・求められる性能の3つに分けて、条文と告示の数値をそのまま並べました。
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このページについて
非常用照明でつまずくのは、「どこに要るか」(建築基準法施行令第126条の4)と「どういう性能が要るか」(令第126条の5+告示)が別の条文に分かれていることです。さらに「要らない居室」の条件が告示に書かれており、2018年の改正で緩和も入りました。3つに分けて引ける形にまとめています。設置の要否の最終判断は、設計者および建築主事・指定確認検査機関によってください。なお、これは建築基準法の非常用照明であり、消防法の誘導灯とは別の制度です。
表1: 設置が必要な場所(令第126条の4)
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 特殊建築物の居室 | 法別表第一(い)欄(一)項〜(四)項に掲げる用途 (一)項=劇場等/(二)項=病院・ホテル・共同住宅等/(三)項=学校・体育館等/(四)項=百貨店・飲食店・物販店舗等。 ※(三)項の学校等は表2の第三号で除外されます |
| 階数3以上かつ延べ面積500㎡超 | その建築物の居室 |
| 無窓の居室 | 令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室 (採光に有効な開口部が床面積の1/20未満の居室) |
| 延べ面積1,000㎡超 | その建築物の居室 |
| 上記の居室から地上に通ずる通路 | 廊下・階段その他の通路 (採光上有効に直接外気に開放された通路を除く) |
| これらに類する部分 | 照明装置の設置を通常要する部分 |
※ 「階数3以上かつ500㎡超」です。階数3でも500㎡以下なら、この号では対象になりません。一方、延べ面積1,000㎡超なら階数に関係なく対象です。
表2: 設置しなくてよい場所(令第126条の4ただし書き・告示)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 第一号 | 一戸建の住宅、または長屋・共同住宅の住戸 |
| 第二号 | 病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室その他これらに類する居室 |
| 第三号 | 学校等 |
| 第四号 (告示で定めるもの) | 避難階にある居室等で、各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離30m以下かつ避難上支障がないもの |
| 避難階の直上階・直下階にある居室等で、避難階の屋外への出口または屋外避難階段に通ずる出入口に至る歩行距離20m以下かつ避難上支障がないもの | |
| 第四号 (2018年に追加) | 床面積が30㎡以下の居室で地上への出口を有するもの/床面積30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が①非常用の照明装置が設けられたもの、または②採光上有効に直接外気に開放されたものに該当するもの |
※ 歩行距離30m/20mの免除は、対象が「令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室等」、つまり採光上有効な開口部を持つ居室に限られます(告示第1411号)。免除の規定は改正が入っている領域です。適用前に必ず現行の告示本文を確認してください。
表3: 求められる性能(令第126条の5・告示第1830号)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 照度 | 常温下で床面において水平面照度1ルクス以上 (蛍光灯またはLEDランプを用いる場合は2ルクス以上) |
| 照度の測定 | 十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測定方法 |
| 照明方式 | 直接照明とすること |
| 予備電源の容量 | 充電を行うことなく30分間継続して点灯させることができること |
| 予備電源の切替え | 常用電源が断たれた場合に自動的に切り替わり、復旧時に自動的に復帰 |
| 照明器具 | 耐熱性・即時点灯性を有する白熱灯・蛍光灯・LEDランプ(ソケット材料まで規定) 主要な部分は難燃材料で造るか覆う |
| 電気配線 | 他の電気回路に接続しない(電源および誘導灯に接続する部分を除く) 途中に一般の者が容易に電源を遮断できる開閉器を設けない |
| 口出線との接続 | 照明器具の口出線と電気配線は直接接続し、途中にコンセント・スイッチ等を設けない |
| 開閉器の表示 | 非常用の照明装置用である旨を表示 |
※ 実務でいちばん効くのが「蛍光灯・LEDなら2ルクス」という括弧書きです。LED化した器具で1ルクスの設計をしていると基準を外します。
誘導灯とは別の制度
混同されやすいのですが、非常用照明と誘導灯は根拠法が違います。
- 非常用の照明装置 — 建築基準法。停電時に床面を照らして避難経路を見えるようにする。白色の照明で、予備電源は30分。
- 誘導灯 — 消防法。避難口の位置と避難の方向を示す。緑色の灯火で、非常電源は20分(大規模等は60分)。
両方が必要な建物では、それぞれの基準を満たす必要があります。なお、非常用照明の電気配線は他の回路への接続が禁じられていますが、誘導灯に接続する部分は例外として認められています(告示第1830号 第二)。誘導灯の区分と有効範囲は誘導灯の設置基準、照度の一般的な推奨値は照度基準で確認できます。
間違えやすいポイント
- LEDでも1ルクスでよいと考える — 蛍光灯・LEDは2ルクス以上です。
- 予備電源を20分で見積もる — 20分は誘導灯(消防法)。非常用照明は30分です。
- 「階数3以上」だけで判断する — 「階数3以上かつ延べ面積500㎡超」です。
- 共同住宅は全部不要と思う — 不要なのは住戸。共用廊下・階段は対象になり得ます。
- スイッチを回路の途中に入れる — 器具の口出線と配線は直接接続し、途中にスイッチ・コンセントを設けられません。
- 免除規定を古い資料で判断する — 30㎡以下の居室の緩和など、改正が入っています。
よくある質問
Q1. 非常用照明の明るさの基準は?
A. 床面において水平面照度で1ルクス以上、蛍光灯またはLEDランプの場合は2ルクス以上です(告示第1830号 第四)。照明は直接照明とします。
Q2. 非常用照明の予備電源は何分必要?
A. 30分間です(充電を行うことなく継続点灯。告示第1830号 第三)。消防法の誘導灯が20分(大規模等60分)なので、混同しないよう注意してください。
Q3. 非常用照明はどんな建物に必要?
A. ①(一)〜(四)項の特殊建築物の居室 ②階数3以上かつ延べ面積500㎡超の居室 ③無窓居室 ④延べ面積1,000㎡超の居室、およびこれらから地上に通ずる廊下・階段等です(令第126条の4)。
Q4. 非常用照明が不要な居室は?
A. ①一戸建住宅・共同住宅等の住戸 ②病院の病室・下宿の宿泊室・寄宿舎の寝室等 ③学校等 ④告示で定めるもの(避難階で歩行距離30m以下、直上階/直下階で20m以下、床面積30㎡以下の居室の緩和など)です。
Q5. LED照明にすると基準は変わる?
A. 変わります。LEDは2ルクス以上が必要です。使用できるLEDランプも告示で限定されており(JIS C 8159-1のGX16t-5口金付直管LEDランプ等)、一般のLED器具をそのまま使えるわけではありません。
Q6. 非常用照明と誘導灯の違いは?
A. 非常用照明=建築基準法(床面を照らす・白色・予備電源30分)、誘導灯=消防法(避難口と方向を示す・緑色・非常電源20分/60分)。目的も根拠法も別で、両方必要な建物があります。
Q7. 非常用照明の配線に決まりはある?
A. あります。他の電気回路に接続しない(電源と誘導灯に接続する部分を除く)、途中に容易に遮断できる開閉器を設けない、口出線と配線は直接接続しコンセント・スイッチを設けないです(告示第1830号 第二)。
関連する早見表
出典・参考
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号) 第126条の4 — 非常用の照明装置の設置対象と除外(第一号〜第四号)。e-Gov法令検索の条文で確認
- 建築基準法施行令 第126条の5 — 構造(直接照明・床面1ルクス以上・予備電源)
- 昭和45年建設省告示第1830号「非常用の照明装置の構造方法を定める件」(平5建告1446号・平12建告1405号・平22国交告242号・平28国交告1419号・平29国交告600号により改正) — 第一(照明器具。白熱灯・蛍光灯・LEDランプの限定)、第二(電気配線)、第三(予備電源30分間)、第四(床面において水平面照度1ルクス。蛍光灯・LEDは2ルクス)。国土交通省公開の告示本文で確認
- 平成12年建設省告示第1411号 — 非常用の照明装置を設けることを要しない居室(避難階で歩行距離30m以下、避難階の直上階・直下階で20m以下)
- 国土交通省「非常用の照明装置の設置基準の合理化」(平成30年3月29日) — 床面積30㎡以下の居室に関する緩和の追加
※ 本ページは条文・告示の基準値を引くための早見表です。設置の要否・免除の適用可否は、設計者および建築主事・指定確認検査機関の判断によってください。免除規定は改正が行われている領域のため、適用にあたっては現行の告示本文を必ず確認してください。
最終更新: 2026-09-14