スペック早見表

防塵マスク規格早見表|DS2・RS2など国家検定12区分と作業別の選び方

防じんマスク(防塵マスク)の国家検定12区分(DS1〜RL3)について、形式(使い捨て式D/取替え式R)・試験粒子(固体S/液体L)・捕集効率(80.0%/95.0%/99.9%以上)を「防じんマスクの規格」(厚生労働省告示)に基づき一覧化。溶接ヒューム・石綿など作業別の選定目安、特化則の義務(2021年強化)、フィットテスト、交換時期まで、現場の保護具選定に即答します。

😷 防じんマスク区分 即答ボックス

DS2使い捨て式・95.0%以上固体粒子の捕集効率。米国N95と同等クラス(※認証制度は別)
RS2取替え式・95.0%以上ろ過材(フィルタ)を交換して面体は繰り返し使用
数字の意味1=80.0% / 2=95.0% / 3=99.9%試験粒子の捕集効率(いずれも「以上」)
S / LS=固体粒子 / L=液体粒子オイルミスト混在の作業場はL区分を選ぶ
溶接ヒュームDS2・RS2以上が目安屋内継続の金属アーク溶接等は特化則で測定・フィットテスト義務
選ぶ前に型式検定合格標章を確認国家検定合格品以外は粉じん作業に使用不可(安衛法)

このページについて

防じんマスクは、粉じん・ヒューム・ミストなどの粒子状物質の吸入を防ぐ呼吸用保護具で、労働安全衛生法の型式検定(第44条の2)の対象です。性能は「防じんマスクの規格」(厚生労働省告示)により、形式(使い捨て式D・取替え式R)×試験粒子(固体S・液体L)×捕集効率(1・2・3)の12区分に分類されます。本ページはその12区分と、厚労省通達に基づく作業別の選定目安を一覧化した早見表です。

「DS2ってN95と同じ?」「溶接ヒュームにはどの区分?」「オイルミストがあるときは?」「使い捨てはいつ交換?」といった現場・安全衛生管理・資格学習で頻発する確認に即答できる構成です。なお法令上の表記は「防じんマスク」ですが、一般には「防塵マスク」とも書かれます(同じものを指します)。

下の入力欄に「DS2」「取替え」「99.9」「溶接」などと入力すると、表1〜2の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う:

表1: 国家検定の12区分と捕集効率(防じんマスクの規格)

区分形式試験粒子捕集効率備考
DS1使い捨て式固体(塩化ナトリウム)80.0%以上一般粉じん向けの最下位区分。金属ヒューム等には不可(目安)
DS2使い捨て式固体(塩化ナトリウム)95.0%以上米国N95と同等クラスの捕集性能(認証制度は別)。溶接ヒューム等の目安下限
DS3使い捨て式固体(塩化ナトリウム)99.9%以上使い捨て式の最上位
DL1使い捨て式液体(DOP)80.0%以上オイルミスト混在の一般粉じん作業向け
DL2使い捨て式液体(DOP)95.0%以上オイルミスト混在+ヒューム等の目安
DL3使い捨て式液体(DOP)99.9%以上使い捨て式L系の最上位
RS1取替え式固体(塩化ナトリウム)80.0%以上一般粉じん向け
RS2取替え式固体(塩化ナトリウム)95.0%以上溶接ヒューム等を含む幅広い粉じん作業の定番区分(目安)
RS3取替え式固体(塩化ナトリウム)99.9%以上放射性物質・ダイオキシン類・石綿など高毒性向けの上位区分
RL1取替え式液体(DOP)80.0%以上オイルミスト混在の一般粉じん作業向け
RL2取替え式液体(DOP)95.0%以上オイルミスト混在+ヒューム等の目安
RL3取替え式液体(DOP)99.9%以上全12区分の実質最上位。石綿・放射性物質等の高毒性向け

※ 記号の読み方: D=使い捨て式(Disposable)、R=取替え式(Replaceable)、S=固体粒子試験(塩化ナトリウム)、L=液体粒子試験(フタル酸ジオクチル=DOP)、数字=捕集効率区分。L区分の試験粒子は液体(DOP)のみですが、厚労省通達の選定目安ではL区分は固体粒子の作業にも使用できるとされており、オイルミスト混在環境ではL区分に限られます。

表2: 作業別の選定目安(厚労省通達に基づく)

作業の例オイルミストなしオイルミスト混在根拠・備考
一般の粉じん作業(下記以外の粉じん作業)すべての区分(DS1・RS1以上)L区分(DL1・RL1以上)厚労省通達(目安)
金属のヒューム(溶接ヒューム等)を発散する場所の作業DS2・DS3・RS2・RS3(DL2・RL2等のL区分も可)DL2・DL3・RL2・RL3厚労省通達(目安)。屋内継続の金属アーク溶接等は特化則の義務あり(下記参照)
管理濃度0.1mg/m³以下の物質の粉じんを発散する場所の作業DS2・DS3・RS2・RS3(DL2・RL2等のL区分も可)DL2・DL3・RL2・RL3厚労省通達(目安)
石綿(アスベスト)取り扱い等の作業RS3・RL3等の上位区分。作業により電動ファン付き呼吸用保護具等が必要RL3等石綿障害予防規則・関係通達。作業区分により要求が異なるため原文確認必須
放射性物質による汚染のおそれがある区域内の作業・緊急時RS3・RL3(取替え式のみ)RL3厚労省通達(目安)
ダイオキシン類のばく露のおそれのある作業RS3・RL3(取替え式のみ)RL3厚労省通達(目安)

※ 表の作業別区分は旧通達「防じんマスクの選択、使用等について」(平成17年基発第0207006号・令和5年に廃止)の別紙に基づく目安です。現行通達(令和5年基発0525第3号)では、リスクアセスメント対象物を扱う作業はばく露濃度から求めた要求防護係数を上回る指定防護係数の保護具を選ぶ方式が基本となり、金属のヒューム(溶接ヒューム含む)と鉛については算出値にかかわらずろ過材をRS2・RL2・DS2・DL2以上とするとされています(同通達別表5)。個別の法定義務(特化則・石綿則・電離則など)がある作業は必ず該当法令・通達の原文を確認してください。

表3: 指定防護係数(参考)

指定防護係数は「正しく着用したときに期待できる、外の濃度÷面体内濃度」の倍率です。要求防護係数(ばく露濃度÷許容できる濃度)を上回る指定防護係数の保護具を選定します。

形式・面体区分指定防護係数
取替え式・全面形面体RS3・RL350
RS2・RL214
RS1・RL14
取替え式・半面形面体RS3・RL310
RS2・RL210
RS1・RL14
使い捨て式DS3・DL310
DS2・DL210
DS1・DL14

※ JIS T 8150および厚労省通達(令和5年基発0525第3号)による値。捕集効率が同じでも、全面形面体は漏れ込みが少ないため半面形・使い捨て式より高い防護係数が認められています。

溶接ヒューム作業の義務(2021年強化)

2021年(令和3年)4月1日施行の改正により、溶接ヒュームが特定化学物質(第2類物質)に追加され、金属アーク溶接等作業に特定化学物質障害予防規則(特化則)が適用されるようになりました。継続して屋内作業場で行う金属アーク溶接等作業では、次が事業者の義務です。

  • 溶接ヒューム中マンガン濃度の測定(個人ばく露測定)と、その結果に応じた換気等の措置(特化則第38条の21)
  • 測定結果から求めた要求防護係数(マンガン濃度の最大値÷0.05mg/m³)を上回る指定防護係数の有効な呼吸用保護具の使用(令和2年厚生労働省告示第286号)
  • 面体を有する呼吸用保護具を使わせる場合、1年以内ごとに1回、JIS T 8150に定める方法等によるフィットテストの実施と記録の3年保存(2023年(令和5年)4月1日から義務)

※ 屋外や毎回場所が変わる屋内作業でも「有効な呼吸用保護具の使用」自体は必要です。区分の目安はDS2・RS2以上(オイルミスト混在時はL区分)ですが、測定結果によってはより高い防護係数(全面形・電動ファン付き等)が必要になります。

フィット(密着)の重要性

防じんマスクの実際の防護性能は「ろ過材の捕集効率 × 面体と顔の密着」で決まります。捕集効率99.9%の区分でも、面体と顔のすき間から粉じんが漏れ込めば防護になりません。

  • シールチェック(装着の都度) — 陰圧法: 吸気口(ろ過材)を手でふさいで軽く息を吸い、面体が顔に吸い付いて空気が漏れ込まないことを確認。陽圧法: 排気口をふさいで軽く息を吐き、漏れ出さないことを確認。
  • フィットテスト(定期) — JIS T 8150に定める定量的・定性的フィットテストで、その面体がその人の顔に合っているかを測定します。金属アーク溶接等(屋内継続)では年1回の実施が義務です。
  • ひげ・もみあげ・タオル等はNG — 接顔部に挟まると漏れ率が大きく上がります。ひげは剃るのが原則です。
  • しめひもの正しい掛け方 — 頭頂部と後頭部(首)に掛ける製品指定の位置で。耳掛けへの変更や1本掛けは密着を損ないます。

交換時期の目安

  • 使い捨て式(D) — 製品に表示された使用限度時間を超えて使用しない(防じんマスクの規格により表示が義務付けられています)。限度内でも、息苦しさ(目詰まり)・型崩れ・破損・著しい汚れ・接顔部の変形があれば交換。
  • 取替え式(R)のろ過材 — 吸気抵抗が上がって息苦しくなったら交換。破損・変形・ひどい汚れ・湿りも交換のサイン。石綿や毒性の強い粉じんに使ったろ過材は再使用せず、作業ごとに交換・適切に廃棄します。
  • 取替え式の面体 — 使用後に清掃・点検し、接顔部の亀裂・変形、しめひもの伸びがあれば部品交換または本体更新。

※ 交換頻度の具体値は粉じん濃度・作業時間で大きく変わります。上記は目安であり、製品の取扱説明書と事業場の保護具管理規程に従ってください。

使い方・選び方のポイント

使用場面

溶接・グラインダー研磨・切削・解体・粉体取り扱いなど粒子状物質が発生する作業での保護具選定、安全衛生管理者・作業主任者の実務、衛生管理者試験などの学習で、区分と選定目安の確認に使います。

選定の手順

①有害物の種類を確認する(粒子なら防じんマスク。ガス・蒸気は防毒マスクで別物) ②オイルミストの有無でS/Lを決める ③作業内容・法定要求から捕集効率区分(1・2・3)と形式(D/R・半面形/全面形)を決める(表2・表3) ④国家検定合格品(型式検定合格標章)であることを確認 ⑤装着のたびにシールチェック、義務対象作業ではフィットテストを実施 ⑥使用限度時間・目詰まりを管理して交換する。

よくある間違い

  • サージカルマスク・一般マスクとの混同 — 国家検定合格品ではないため粉じん作業には使用できません。型式検定合格標章の有無を確認してください。
  • DS1で溶接ヒューム作業 — 金属ヒュームには通達の目安でDS2以上が必要です。さらに屋内継続の金属アーク溶接等は特化則により測定結果に応じた保護具選定が義務です。
  • オイルミスト環境でS区分を使用 — S区分は固体粒子の試験のみで、オイルミストでは性能が保証されません。L区分を選びます。
  • 排気弁付きを「周囲を守る」目的で使用 — 呼気は弁からろ過されずに出るため、クリーンルームや感染対策など周囲を汚染しない目的には不適です。
  • ガス・蒸気に防じんマスクを使用 — 有機溶剤蒸気や有毒ガスは粒子ではないため防じんマスクでは防げません。吸収缶を備えた防毒マスク(または送気マスク等)が必要です。
  • ひげ・タオルを挟んだままの着用 — 密着が損なわれ漏れ込みが増えます。捕集効率の高い区分を選んでも防護になりません。

区分制度の背景

防じんマスクは労働安全衛生法の型式検定対象品目で、国の検定に合格した型式でなければ譲渡・提供・使用ができません(合格品には型式検定合格標章が付きます)。性能の区分は「防じんマスクの規格」(厚生労働省告示)が定めており、現在のDS1〜RL3の12区分は2000年(平成12年)の規格改正で導入されました。それ以前の「1種・2種・3種」といった旧区分とは体系が異なります。

試験粒子にS(塩化ナトリウム=固体)とL(フタル酸ジオクチル=液体)の2系統があるのは、フィルタの捕集性能が粒子の性状に影響されるためです。特に静電気力を利用したフィルタはオイルミストが付着すると捕集効率が低下しやすいため、油系ミストの混在する作業場ではL区分で試験されたろ過材を使う必要があります。米国NIOSH規格のN(耐油性なし)・R・P(耐油性あり)という記号も同じ発想の分類です。

また、近年の制度は「捕集効率」単独ではなく防護係数(漏れ込みまで含めた総合性能)を軸にしています。溶接ヒュームの特化物追加(2021年)を契機にフィットテストが義務化され、2023年の新通達(基発0525第3号)では、リスクアセスメント対象物について要求防護係数と指定防護係数による選定が基本ルールとなりました。「良い区分を買う」だけでなく「顔に合う面体を選び、正しく着ける」ことまで含めて初めて法令の要求を満たせる、という方向に制度が動いています。

よくある質問

Q1. DS2マスクとN95マスクの違いは何ですか?

A. どちらも試験粒子の捕集効率95%以上という同等クラスの性能ですが、認証制度が異なります。DS2は日本の国家検定(労働安全衛生法の型式検定)、N95は米国NIOSHの認証です。日本国内の粉じん作業(粉じん則・特化則等が適用される作業)では、原則として国家検定合格品(型式検定合格標章付き)の防じんマスクを使用します。

Q2. DS2とRS2の違いは何ですか?

A. 先頭の文字が形式を表し、D=使い捨て式(ろ過材と面体が一体で使い捨て)、R=取替え式(ろ過材を交換して面体は繰り返し使用)です。捕集効率はどちらも95.0%以上で同じです。

Q3. 区分のSとLは何が違いますか?

A. 試験粒子の違いです。S=塩化ナトリウム(固体粒子)で試験した区分、L=フタル酸ジオクチル(DOP・液体粒子)で試験した区分です。オイルミストなどの液体粒子が混在する作業場ではL区分を選びます。S区分はオイルミスト環境では性能が保証されません。

Q4. 溶接作業にはどの区分の防じんマスクが必要ですか?

A. 金属のヒュームを発散する作業では、厚生労働省通達の目安でDS2・DS3・RS2・RS3(オイルミスト混在時はDL2・DL3・RL2・RL3)とされています。さらに屋内作業場で継続して行う金属アーク溶接等作業は、特化則により溶接ヒューム中マンガン濃度の測定、要求防護係数を上回る呼吸用保護具の使用(2021年4月〜)と1年以内ごとのフィットテスト(2023年4月〜)が義務です。

Q5. 普通のマスク(サージカルマスク)で粉じん作業をしてもいいですか?

A. いけません。サージカルマスクや一般の不織布マスクは国家検定合格品ではなく、顔との密着性も保証されないため、粉じん作業用の呼吸用保護具にはなりません。型式検定合格標章の付いた防じんマスクを使用してください。

Q6. 使い捨て式防じんマスクの交換時期は?

A. 製品に表示された使用限度時間を超えて使用してはいけません(防じんマスクの規格により使い捨て式には使用限度時間が表示されています)。使用限度時間内でも、息苦しさを感じたとき(ろ過材の目詰まり)、型崩れ・破損・著しい汚れがあるときは交換します。

Q7. 排気弁付きマスクはどんなときに使いますか?

A. 排気弁は呼気を弁から排出して息苦しさや面体内の蒸れを減らすものです。吸気はろ過材を通るため着用者の保護性能は変わりませんが、呼気はろ過されずに排出されるため、無じん室(クリーンルーム)や感染対策など「周囲を汚染しない」目的には適しません。

Q8. ひげを生やしたままマスクを着けても大丈夫ですか?

A. 推奨されません。面体と顔の間にひげがあると密着が妨げられて漏れ込みが増え、ろ過材の捕集効率が高くても実際の防護性能が大きく低下します。面体の接顔部にかかるひげは剃るのが原則です(フィットテストでも不合格になりやすくなります)。

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出典・参考

  • 防じんマスクの規格(厚生労働省告示) — 使い捨て式・取替え式の区分、試験粒子(塩化ナトリウム・フタル酸ジオクチル)、粒子捕集効率(80.0%・95.0%・99.9%以上)、使用限度時間の表示 ほか
  • 労働安全衛生法 — 第44条の2(型式検定)。防じんマスクは型式検定合格品の使用が必要
  • 特定化学物質障害予防規則(特化則) — 第38条の21(金属アーク溶接等作業に係る措置: 溶接ヒューム濃度測定・有効な呼吸用保護具・フィットテスト)、令和2年厚生労働省告示第286号(要求防護係数の算定)
  • 厚生労働省通達 — 「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(令和5年5月25日基発0525第3号。旧・平成17年2月7日基発第0207006号) — 作業別の選定目安・指定防護係数・フィットテスト(JIS T 8150) ほか
  • 石綿障害予防規則 — 石綿取り扱い作業の呼吸用保護具(参考)

※ 本ページの捕集効率・区分は「防じんマスクの規格」に、作業別の目安は厚労省通達に基づきます。法令・告示・通達は改正されることがあるため、保護具の選定・使用の際は最新の原文および製品の取扱説明書を必ず確認してください。本ページは情報提供を目的とした目安であり、個別の作業への適合を保証するものではありません。

最終更新: 2026-07-11