ベアリングのはめあい早見表|軸とハウジングの公差(JIS B 1566)
軸が回る一般的な使い方(内輪回転荷重)で玉軸受・普通荷重なら、軸径18〜100mmの軸はk5、ハウジングはH7。JIS B 1566の原則と附属書B(参考)の常用公差、0級と組み合わせたときのしめしろ・すきまを並べました。
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転がり軸受(ベアリング)を軸やハウジングにはめるときの公差は、どちらの輪が荷重に対して回るかと荷重の大きさで決まります。JIS B 1566は本体でその原則を定め、附属書B(参考)で常用の公差域クラスを示しています。軸・ハウジングの公差と、0級軸受と組み合わせたときのすきま・しめしろを並べました。
原則: 回る側の輪はしめる — JIS B 1566 6.1
- 内輪回転荷重(軸が回る一般的な使い方)の内輪と軸: しまりばめ又は中間ばめ。荷重が大きいほどしめしろを大きくする。
- 内輪静止荷重(軸が止まり外輪が回る。車輪など)の内輪と軸: すきまばめ又は中間ばめ。
- 外輪静止荷重の外輪とハウジング: すきまばめ又は中間ばめ。
- 外輪回転荷重の外輪とハウジング: しまりばめ又は中間ばめ。荷重が大きいほどしめしろを大きくする。
- 方向不定荷重は、内輪と軸はしまりばめ又は中間ばめ、外輪とハウジングは中間ばめ又はしまりばめ。
JIS B 1566:2015 6.1(規定)。荷重の大きさは、動等価ラジアル荷重Pが基本動ラジアル定格荷重Crの6%以下=軽荷重、6%を超え12%以下=普通荷重、12%を超える=重荷重(附属書B 表B.1・B.2の注)。
表1: 軸の公差域クラス(円筒穴・0級/6X級/6級) — 附属書B 表B.1(参考)
| 荷重の種類 | 荷重・条件 | 玉軸受 軸径mm | 円筒ころ・円すいころ 軸径mm | 自動調心ころ 軸径mm | 軸の公差域クラス |
|---|---|---|---|---|---|
| 内輪回転・方向不定 | 軽荷重・変動荷重 | 〜18 | — | — | h5 |
| 内輪回転・方向不定 | 軽荷重・変動荷重 | 18〜100 | 〜40 | — | js6 |
| 内輪回転・方向不定 | 軽荷重・変動荷重 | 100〜200 | 40〜140 | — | k6 |
| 内輪回転・方向不定 | 軽荷重・変動荷重 | — | 140〜200 | — | m6 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | 〜18 | — | — | js5 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | 18〜100 | 〜40 | 〜40 | k5 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | 100〜140 | 40〜100 | 40〜65 | m5 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | 140〜200 | 100〜140 | 65〜100 | m6 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | 200〜280 | 140〜200 | 100〜140 | n6 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | — | 200〜400 | 140〜280 | p6 |
| 内輪回転・方向不定 | 普通荷重 | — | — | 280〜500 | r6 |
| 内輪回転・方向不定 | 重荷重・衝撃荷重 | — | 50〜140 | 50〜100 | n6 |
| 内輪回転・方向不定 | 重荷重・衝撃荷重 | — | 140〜200 | 100〜140 | p6 |
| 内輪回転・方向不定 | 重荷重・衝撃荷重 | — | 200〜 | 140〜200 | r6 |
| 内輪静止 | 内輪が軸上を容易に動く必要がある | 全軸径 | 全軸径 | 全軸径 | g6 |
| 内輪静止 | 内輪が軸上を容易に動く必要がない | 全軸径 | 全軸径 | 全軸径 | h6 |
| 中心アキシアル荷重 | — | 全軸径 | 全軸径 | 全軸径 | js6 |
軸径の「a〜b」はaを超えb以下。鋼製の中実軸に適用。軽荷重で精密を要する場合はjs6・k6・m6の代わりにjs5・k5・m5、単列アンギュラ玉軸受と円すいころ軸受は普通荷重でもk5・m5の代わりにk6・m6を用いることができます。g6は精密を要する場合g5、h6は精密を要する場合h5。テーパ穴軸受(アダプタ・取外しスリーブ付き)の軸はh9/IT5。附属書Bは参考で、規格の規定ではありません。
表2: ハウジング穴の公差域クラス — 附属書B 表B.2(参考)
| 荷重の種類 | 荷重・条件 | 外輪のアキシアル方向の移動 | ハウジングの公差域クラス |
|---|---|---|---|
| 外輪静止 | 全ての種類の荷重 | 容易に移動できる | H7 |
| 外輪静止 | 軽荷重・普通荷重 | 容易に移動できる | H8 |
| 外輪静止 | 軸と内輪が高温になる | 容易に移動できる | G7 |
| 外輪静止 | 軽・普通荷重で精密回転(一体ハウジング) | 通常移動できない / 移動できる | K6(ころ) / JS6(玉) |
| 外輪静止 | 静粛な運転を要する(一体ハウジング) | 容易に移動できる | H6 |
| 方向不定 | 軽荷重・普通荷重 | 通常移動できる | JS7 |
| 方向不定 | 普通荷重・重荷重 | 通常移動できない | K7 |
| 方向不定 | 大きな衝撃荷重 | 移動できない | M7 |
| 外輪回転 | 軽荷重・変動荷重 | 移動できない | M7 |
| 外輪回転 | 普通荷重・重荷重 | 移動できない | N7(主に玉軸受) |
| 外輪回転 | 薄肉ハウジングで重荷重 | 移動できない | P7(主にころ軸受) |
鋳鉄製又は鋼製のハウジングに適用。H7は一体・二つ割りハウジング、それ以外は一体ハウジングの条件です。大形軸受や外輪とハウジングの温度差が大きい場合、H7の代わりにG7、G7の代わりにF7でもよいとされています。
表3: 0級の内輪と軸を組み合わせたときのすきま・しめしろ — 附属書B 表B.5(参考)
| 軸径 mm | js5 | k5 | m5 | h6 | g6 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10超え〜18 | すきま4〜しめしろ12 | しめしろ 1〜17 | しめしろ 7〜23 | すきま11〜しめしろ8 | すきま17〜しめしろ2 |
| 18超え〜30 | すきま4.5〜しめしろ14.5 | しめしろ 2〜21 | しめしろ 8〜27 | すきま13〜しめしろ10 | すきま20〜しめしろ3 |
| 30超え〜50 | すきま5.5〜しめしろ17.5 | しめしろ 2〜25 | しめしろ 9〜32 | すきま16〜しめしろ12 | すきま25〜しめしろ3 |
| 50超え〜65 | すきま6.5〜しめしろ21.5 | しめしろ 2〜30 | しめしろ 11〜39 | すきま19〜しめしろ15 | すきま29〜しめしろ5 |
| 65超え〜80 | すきま6.5〜しめしろ21.5 | しめしろ 2〜30 | しめしろ 11〜39 | すきま19〜しめしろ15 | すきま29〜しめしろ5 |
| 80超え〜100 | すきま7.5〜しめしろ27.5 | しめしろ 3〜38 | しめしろ 13〜48 | すきま22〜しめしろ20 | すきま34〜しめしろ8 |
単位はµm。JIS B 1566 附属書B 表B.5(円すいころ軸受を除くラジアル軸受0級)から抜粋。h6でもしめしろが出るのは、軸受の内径の許容差が上0・下マイナス(30〜50mmで0/−12µm)と、一般の穴とは逆側にあるためです。
表4: 0級の外輪とハウジングを組み合わせたときのすきま・しめしろ — 附属書B 表B.8(参考)
| 外径 mm | H7 | JS7 | K7 | M7 | N7 | P7 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 30超え〜50 | すきま 0〜36 | すきま23.5〜しめしろ12.5 | すきま18〜しめしろ18 | すきま11〜しめしろ25 | すきま3〜しめしろ33 | しめしろ 6〜42 |
| 50超え〜80 | すきま 0〜43 | すきま28〜しめしろ15 | すきま22〜しめしろ21 | すきま13〜しめしろ30 | すきま4〜しめしろ39 | しめしろ 8〜51 |
| 80超え〜120 | すきま 0〜50 | すきま32.5〜しめしろ17.5 | すきま25〜しめしろ25 | すきま15〜しめしろ35 | すきま5〜しめしろ45 | しめしろ 9〜59 |
| 120超え〜150 | すきま 0〜58 | すきま38〜しめしろ20 | すきま30〜しめしろ28 | すきま18〜しめしろ40 | すきま6〜しめしろ52 | しめしろ 10〜68 |
| 150超え〜180 | すきま 0〜65 | すきま45〜しめしろ20 | すきま37〜しめしろ28 | すきま25〜しめしろ40 | すきま13〜しめしろ52 | しめしろ 3〜68 |
単位はµm。JIS B 1566 附属書B 表B.8(円すいころ軸受を除くラジアル軸受0級)から抜粋。表3・表4の値は「最大すきま−最小すきま=軸受の許容差の幅+相手側のIT基本公差」が成り立つことを確認しています。
間違えやすいポイント
- 軸が回るのに内輪をすきまばめにする — 内輪回転荷重の内輪と軸は、しまりばめ又は中間ばめが原則です(JIS B 1566 6.1)。
- 両方の輪をしまりばめにする — 原則は「荷重に対して回る側の輪をしめ、静止側はすきまばめ又は中間ばめ」です。重荷重でしめしろを大きくするときは、普通すきまより大きい内部すきまの軸受が必要とされています(表B.1の注記)。
- h6の軸を「すきまばめ」と思う — 軸受の内径公差は下側にあるため、h6でも最大でしめしろになります(表3)。
- 附属書Bを規格の規定だと思う — 附属書Bは参考です。実際の選定はメーカーのカタログ・技術資料で確認してください。
- 中空軸・軽合金ハウジングにそのまま使う — 表1は鋼製の中実軸、表2は鋳鉄製・鋼製ハウジングが前提です。
よくある質問
Q1. 内径25mmの玉軸受を普通荷重で使うときの軸公差は?
A. k5です(軸径18〜100mm)。0級と組み合わせるとしめしろ2〜21µmです。
Q2. 軽荷重・普通荷重・重荷重の境目は?
A. 動等価ラジアル荷重がCrの6%以下=軽、12%以下=普通、12%超=重です。
Q3. ハウジング穴の公差は何が標準?
A. 外輪静止ならH7です。外輪回転ならM7・N7・P7のしまり側です。
Q4. 軸が止まって外輪が回る場合のはめあいは?
A. 軸はg6かh6、ハウジングはM7・N7・P7です。回る側(外輪)をしめます。
Q5. k5とk6の使い分けは?
A. 普通荷重はk5、軽荷重・変動荷重の大きめの軸径はk6です。
Q6. h6の軸でもしめしろになるのはなぜ?
A. 軸受の内径公差が下側(マイナス)にあるためです。30〜50mmではすきま16〜しめしろ12µmです。
関連する早見表
出典・参考
- JIS B 1566:2015「転がり軸受-取付関係寸法及びはめあい」(2025年確認・有効) — 6.1・6.2(はめあいの原則)、表7・表8(はめあいの区分)、附属書B(参考)表B.1(軸の公差域クラス)・表B.2(ハウジングの公差域クラス)・表B.5・表B.8(0級とのはめあいの数値)
※ 附属書Bは参考で、規格の規定ではありません。実際のはめあいは、軸受メーカーのカタログ・技術資料と使用条件で決めてください。
最終更新: 2026-09-24