モーター定格電流 早見表|kW別の電流値とブレーカー選定
三相200Vかご形誘導電動機の出力kW別 定格電流の目安(内線規程の規約電流)を0.2〜37kWまで一覧。単相100V/200V小型モーターの概算、電流計算式 I=P/(√3×V×cosφ×η)、始動電流(直入れで定格の5〜7倍程度)とブレーカー・電線選定の考え方まで、電気工事・設備保全の現場確認用にまとめました。
⚡ モーター定格電流 即答ボックス(三相200V・目安)
このページについて
「3.7kWのモーターって何アンペア?」「11kWのブレーカーと電線はどのくらい?」——電気工事・設備設計・保全の現場で毎日のように出てくる確認です。本ページでは内線規程(JEAC 8001)が幹線・分岐回路の設計用に定める「規約電流」に基づき、三相200Vかご形誘導電動機の出力別 定格電流の目安を一覧化しています。
ここに載せた値は設計計算のよりどころとなる標準値(目安)です。実際の定格電流はメーカー・極数・効率クラス(IE1/IE3等)で前後するため、実機がある場合は銘板(ネームプレート)の定格電流を最優先してください。ブレーカー容量・電線太さの最終決定は内線規程の該当表とメーカー資料に従ってください。
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表1: 三相200V誘導電動機の定格電流の目安(内線規程 規約電流)
内線規程(JEAC 8001)の「電動機の規約電流」に基づく設計用の標準値です。実機の銘板値が分かる場合は銘板値を優先してください。1kWあたりの電流は規約電流÷出力の参考計算値です。
| 出力 (kW) | 定格電流の目安 (A) | 1kWあたり (A/kW・参考) |
|---|---|---|
| 0.2kW | 1.8 | 9.0 |
| 0.4kW | 3.2 | 8.0 |
| 0.75kW | 4.8 | 6.4 |
| 1.5kW | 8.0 | 5.3 |
| 2.2kW | 11.1 | 5.0 |
| 3.7kW | 17.4 | 4.7 |
| 5.5kW | 26 | 4.7 |
| 7.5kW | 34 | 4.5 |
| 11kW | 48 | 4.4 |
| 15kW | 65 | 4.3 |
| 18.5kW | 79 | 4.3 |
| 22kW | 93 | 4.2 |
| 30kW | 124 | 4.1 |
| 37kW | 152 | 4.1 |
※ 三相400V級(400/415/440V)の定格電流は、同じ出力なら上表のおよそ1/2になります(電流は電圧にほぼ反比例)。
表2: 単相100V/200V 小型モーターの電流の目安(計算値)
単相誘導電動機は機種によるばらつきが大きいため、ここでは計算式 I=P/(V×cosφ×η) に小型単相機の代表的な仮定値(効率60%×力率65%)を入れた概算値を示します。あくまで概算であり、実際は必ず銘板の定格電流を確認してください。
| 出力 (kW) | 単相100V 目安 (A) | 単相200V 目安 (A) |
|---|---|---|
| 0.1kW | 約2.6 | 約1.3 |
| 0.2kW | 約5.1 | 約2.6 |
| 0.4kW | 約10.3 | 約5.1 |
| 0.75kW | 約19.2 | 約9.6 |
※ 単相100Vの0.75kW級は約19Aと15Aコンセント回路では収まらないため、専用回路の検討が必要になります。始動時はさらに大きな電流が流れます。
定格電流の計算式
モーターの定格電流は、出力P(W)・電圧V(V)・力率cosφ・効率ηから次式で概算できます。
- 三相: I = P ÷ (√3 × V × cosφ × η)
- 単相: I = P ÷ (V × cosφ × η)
計算例(三相200V・3.7kW、cosφ=0.8・η=0.85と仮定): I = 3700 ÷ (1.732 × 200 × 0.8 × 0.85) ≒ 15.7A。内線規程の規約電流17.4Aはこれより少し大きく、メーカー間のばらつきを見込んだ余裕のある値になっていることが分かります。
力率・効率の目安(三相かご形・全負荷時)
- 力率 cosφ: 0.6〜0.85程度(出力が大きいほど高い傾向。1.5kW以上ではおおむね0.7以上)
- 効率 η: 0.6〜0.92程度(出力が大きいほど高い傾向。0.2〜0.75kWの小型機は低め。IE3プレミアム効率機は同出力のIE1機より高効率)
※ 軽負荷運転時は力率が大きく低下します。正確な値はメーカーの技術資料・銘板で確認してください。
ブレーカー・電線選定の考え方
モーター回路の保護機器・電線選定が照明・コンセント回路と決定的に違うのは、始動電流の存在です。かご形誘導電動機を直入れ(全電圧)始動すると、定格電流の5〜7倍程度の電流が加速完了までの数秒間流れます。このためブレーカーを定格電流ぎりぎりで選ぶと始動のたびにトリップしてしまいます。
内線規程には、電動機の規約電流に所定の倍率を掛けて分岐回路の過電流遮断器の定格や電線の太さを決める方法が表として規定されています。倍率は回路構成や条件によって変わるため、ここでは具体値の断定は避けます。実際の選定は内線規程の該当表・メーカーの選定表(モータブレーカの適用表など)に従ってください。
- ブレーカー容量の基本的な考え方 → ブレーカー容量 早見表
- 電線サイズと許容電流の確認 → 電線許容電流 早見表
また、スターデルタ始動(始動電流が直入れの約1/3)やインバータ始動(緩やかに加速し突入を抑制)を採用すると始動電流の条件が変わります。始動方式とセットで選定するのが鉄則です。
使い方・選び方のポイント
使用場面
動力回路の設計・見積もり、盤改造時の負荷追加検討、現場での「このモーター何アンペア?」の即答、サーマルリレー(熱動継電器)の整定値確認の出発点に使えます。
選び方のコツ
①実機があれば銘板の定格電流が最優先(規約電流はあくまで設計用の標準値) ②始動方式(直入れ/スターデルタ/インバータ)を先に確認 ③サーマルリレーは銘板の定格電流を基準に整定 ④400V級は200Vの約1/2の電流と覚える ⑤複数台をまとめる幹線は内線規程の幹線設計ルール(需要率等)に従う。
よくある間違い
- 出力kWを消費電力と混同する — モーターのkWは軸出力です。入力電力は「出力÷効率」で軸出力より大きく、電流計算では効率と力率の両方が必要です。
- 始動電流を考えずにブレーカーを選ぶ — 直入れ始動では定格の5〜7倍程度の電流が流れます。定格電流ぴったりのブレーカーでは始動のたびにトリップします。
- 始動方式の違いを見落とす — 直入れ・スターデルタ・インバータで突入電流は大きく異なります。既設のスターデルタ機を直入れに変えると保護協調が崩れることがあります。
- 単相と三相を混同する — 同じ出力でも単相は三相より電流が大きくなります(計算式の√3の有無と、小型単相機の低い力率・効率のため)。
- 規約電流だけで施工して銘板を見ない — 高効率機(IE3)や特殊仕様機は標準値とずれることがあります。サーマルの整定は銘板値が基本です。
背景解説: 規約電流という考え方と誘導電動機の電流
三相かご形誘導電動機は、固定子巻線がつくる回転磁界により回転子に誘導電流を生じさせてトルクを得る、最も広く使われる産業用モーターです。同じ「3.7kW」でもメーカー・極数・効率クラスによって定格電流は微妙に異なります。そこで内線規程(JEAC 8001)は、幹線や分岐回路を設計する際のよりどころとして「規約電流」という統一の標準値を定めました。設計段階で実機が決まっていなくても、この値を使えば電線・遮断器の計画が進められます。
誘導電動機の電流を理解するもう一つの鍵が始動電流です。停止状態のかご形誘導電動機は、回転磁界に対してすべりが最大(=変圧器の二次側短絡に近い状態)のため、直入れ始動では定格の5〜7倍程度の大電流が流れます。この電流は回転数の上昇とともに減少し、定格回転付近で定格電流に落ち着きます。モーター回路の保護設計が「始動電流は通し、拘束(ロック)や過負荷は遮断する」という独特の協調を求められるのはこのためです。
近年はトップランナー制度により、国内で販売される三相誘導電動機の多くがIE3(プレミアム効率)相当へ移行しました。高効率機は同じ出力でも入力電力が小さくなる一方、始動電流が従来機より大きめになる場合があり、既設回路の更新時にはブレーカーとの協調再確認が推奨されます。また、ポンプ・ファン用途を中心にインバータ駆動が普及し、始動突入の抑制と省エネの両面から標準的な構成になりつつあります。
よくある質問
Q1. 三相200V・3.7kWモーターの定格電流は?
A. 目安は約17A(内線規程の規約電流では17.4A)です。実際の定格電流はメーカーや極数・効率クラスで前後するため、正式な設計・工事では銘板(ネームプレート)の定格電流を必ず確認してください。
Q2. モーターの「kW」は消費電力のこと?
A. いいえ。モーターのkW表示は軸出力(負荷に伝える機械的な出力)です。電気側の入力電力は「出力÷効率」で軸出力より大きくなります。例えば効率85%の3.7kWモーターの入力は約4.4kWです。電流計算では効率と力率の両方を考慮します。
Q3. 始動電流はどのくらい流れる?
A. かご形誘導電動機を直入れ(じかいれ)始動すると、定格電流の5〜7倍程度の始動電流が数秒間流れるのが一般的です。スターデルタ始動では直入れの約1/3に、インバータ始動ではさらに小さく抑えられます。ブレーカーは始動電流で不要動作しないよう選定します。
Q4. 規約電流とは何ですか?
A. 内線規程(JEAC 8001)が幹線・分岐回路の設計用に定めた電動機の標準電流値です。メーカーごとにばらつく実際の定格電流の代わりに、設計計算のよりどころとして使われます。実機の銘板値が分かる場合は銘板値を優先します。
Q5. モーター用ブレーカーはどう選ぶ?
A. 電動機回路では始動電流を考慮する必要があり、内線規程に電動機の規約電流に倍率を掛けて過電流遮断器や電線太さを決める方法が規定されています。値の決定は内線規程の該当表とメーカー資料に従ってください。考え方はブレーカー容量早見表・電線許容電流早見表も参考になります。
Q6. 400V級(三相400V)の電流はどうなる?
A. 同じ出力なら電流は電圧にほぼ反比例するため、三相400V級の定格電流は三相200Vのおよそ1/2になります。例えば3.7kWなら200Vで約17Aに対し、400V級では約8〜9Aです。高圧(3kV・6kV)モーターではさらに小さくなります。
Q7. 力率と効率の目安は?
A. 三相かご形誘導電動機の全負荷時の目安は、力率(cosφ)が0.6〜0.85、効率(η)が0.6〜0.92程度で、出力が大きいほど高くなる傾向があります。小型機ほど力率・効率が低いため、1kWあたりの電流は小型機のほうが大きくなります。正確な値はメーカーの技術資料で確認してください。
関連する早見表
出典・参考
- 内線規程(JEAC 8001) — 電動機の規約電流、電動機回路の過電流遮断器・電線太さの選定
- JIS C 4210(一般用低圧三相かご形誘導電動機) — 低圧三相かご形誘導電動機の標準仕様を定める規格(参考)
※ 表1の電流値は内線規程の規約電流に基づく設計用の目安、表2は仮定値による概算です。実機の銘板定格電流が判明している場合はそちらを優先し、ブレーカー・電線・サーマルリレーの最終選定は内線規程の該当表およびメーカー資料に従ってください。
最終更新: 2026-07-08