電気工事士・電気主任技術者の作業範囲 早見表
住宅や600V以下で受電する店舗の配線は第二種電気工事士、高圧で受電する最大電力500kW未満のビル・工場は第一種電気工事士。電気工事士法と電気事業法施行規則の現行条文から、資格ごとに作業できる範囲、電気主任技術者が監督できる範囲、資格がいらない「軽微な工事・軽微な作業」をまとめました。
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電気工事の作業をしてよい人は、電気工事士法で電気工作物の区分ごとに決められています。住宅などの一般用電気工作物等は第二種電気工事士から、高圧で受電する最大電力500kW未満の自家用電気工作物は第一種電気工事士です。電気主任技術者は、工事をする資格ではなく、事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安を監督する資格です。現行の条文から範囲をまとめました。
表1: 資格ごとに作業できる範囲 — 電気工事士法 第3条
| 資格 | 作業できる電気工事 | 主な対象 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 第一種電気工事士 | 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備など)の電気工事と、一般用電気工作物等の電気工事。特殊電気工事は除く | 高圧で受電する最大電力500kW未満のビル・工場・店舗の電気設備、第二種の範囲すべて | 法第3条第1項・第2項、法第2条第2項、規則第1条の2 |
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物等(一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物)の電気工事 | 600V以下で受電する住宅・店舗の配線、低圧の出力50kW未満の太陽電池発電設備・20kW未満の風力発電設備 | 法第3条第2項、法第2条第1項、電事法第38条、電事規第48条 |
| 認定電気工事従事者 | 自家用電気工作物のうち電圧600V以下で使用する部分の電気工事(電線路に係るものを除く)= 簡易電気工事 | 高圧で受電するビル・工場の600V以下で使う配線・機器 | 法第3条第4項、規則第2条の3 |
| 特種電気工事資格者 ネオン工事 | 自家用電気工作物のネオン工事 | ネオン用の分電盤・主開閉器(電源側の電線との接続部分を除く)・タイムスイッチ・点滅器・ネオン変圧器・ネオン管 | 法第3条第3項、規則第2条の2第1項第1号 |
| 特種電気工事資格者 非常用予備発電装置工事 | 自家用電気工作物の非常用予備発電装置工事 | 非常用予備発電装置として設置する原動機・発電機・配電盤(他の需要設備との間の電線との接続部分を除く) | 法第3条第3項、規則第2条の2第1項第2号 |
| 資格なしでよい | 軽微な工事(電気工事に当たらない)と軽微な作業。ネオン工事・非常用予備発電装置工事(特殊電気工事)で資格なしでできるのは、特種電気工事資格者の作業を補助する作業だけ | コードを差込み接続器につなぐ、インターホンの二次側配線、露出型コンセントの取り換えなど(表3) | 令第1条、規則第2条、規則第2条の2第2項 |
| (電気工事士法の対象外) | 発電所・蓄電所・変電所・最大電力500kW以上の需要設備・送電線路・保安通信設備 | 電気工事士法の「自家用電気工作物」から除かれ、作業者の資格の定めがない。保安は設置者が選任した電気主任技術者が監督する(7,000V以下で受電する需要設備などは、承認を受けて外部委託も可) | 法第2条第2項、規則第1条の2、電事法第43条、電事規第52条第2項 |
法=電気工事士法、令=電気工事士法施行令、規則=電気工事士法施行規則、電事法=電気事業法、電事規=電気事業法施行規則。電気工事士(第一種・第二種)・特種電気工事資格者・認定電気工事従事者は、作業中に免状・認定証を携帯する義務があります(法第5条第2項)。
参考: 電気工作物の区分と資格の対応 — 電気事業法 第38条・電事規 第48条
| 区分 | 主なもの | 工事できる電気工事士 | 電気主任技術者 |
|---|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 600V以下で受電し、構外と低圧の受電線路以外でつながっていない住宅・店舗などの電気設備。出力10kW未満の太陽電池発電設備など | 第二種以上 | 不要(事業用電気工作物ではない) |
| 小規模事業用電気工作物 | 低圧の出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備、出力20kW未満の風力発電設備(構外と低圧の受電線路以外でつながっていないもの) | 第二種以上 | 選任しない。使用開始前に届出(電事法第46条) |
| 自家用電気工作物 電気工事士法の範囲 | 高圧などで受電する最大電力500kW未満の需要設備など | 第一種(600V以下で使う部分は認定電気工事従事者も可。電線路を除く) | 選任する。7,000V以下で受電する需要設備などは承認を受けて外部委託も可 |
| 上記から除かれるもの | 発電所・蓄電所・変電所・最大電力500kW以上の需要設備・送電線路・保安通信設備 | 電気工事士法の対象外 | 選任する(7,000V以下で受電する需要設備や出力の小さい発電所などは、承認を受けて外部委託も可) |
低圧は600V以下(電事規第48条第1項)。小規模発電設備は、太陽電池50kW未満・風力20kW未満・水力20kW未満(条件あり)・内燃力の火力10kW未満・燃料電池10kW未満(条件あり)・スターリングエンジン10kW未満で、同じ構内で電気的につないだ出力の合計が50kW以上になるものは除きます(同条第2項)。一般用になるのは、太陽電池10kW未満・水力20kW未満・内燃力10kW未満・燃料電池10kW未満・スターリングエンジン10kW未満で、風力は出力によらず一般用になりません(同条第4項)。火薬類(煙火を除く)を製造する事業場・石炭坑の電気工作物は一般用になりません(同条第3項)。小規模事業用電気工作物は、2023年3月20日施行の改正(令和4年法律第74号)で設けられた区分で、電気工事士法では一般用電気工作物とまとめて「一般用電気工作物等」と呼びます(法第2条第1項)。小規模事業用電気工作物は保安規程・主任技術者の規定の対象外です(電事法第42条の括弧書きが同じ款の第43条にも及ぶ)。
表2: 電気主任技術者が保安の監督をできる範囲 — 電気事業法施行規則 第56条
| 免状の種類 | 保安の監督をすることができる範囲 |
|---|---|
| 第一種電気主任技術者 | すべての事業用電気工作物 |
| 第二種電気主任技術者 | 電圧170,000V未満の事業用電気工作物 |
| 第三種電気主任技術者 | 電圧50,000V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所・蓄電所を除く) |
いずれも、ダム水路主任技術者・ボイラー・タービン主任技術者が監督する範囲(水力設備・火力設備などの電気的設備以外の部分)を除きます。電圧7,000V以下で受電する需要設備、出力5,000kW未満の太陽電池発電所・蓄電所、出力2,000kW未満の水力・火力・風力発電所、出力1,000kW未満のその他の発電所(いずれも7,000V以下で連系等)、600V以下の配電線路は、要件を満たす者に保安管理業務を委託し産業保安監督部長などの承認を受ければ、電気主任技術者を選任しないことができます(電事規第52条第2項)。電圧の種別は、低圧=交流600V以下(直流750V以下)、高圧=それを超え7,000V以下、特別高圧=7,000V超です(電気設備に関する技術基準を定める省令 第2条)。
表3: 資格がなくてもできる「軽微な工事」— 電気工事士法施行令 第1条
| 号 | 工事 |
|---|---|
| 一 | 電圧600V以下で使う差込み接続器・ねじ込み接続器・ソケット・ローゼットなどの接続器や、ナイフスイッチ・カットアウトスイッチ・スナップスイッチなどの開閉器に、コード・キャブタイヤケーブルを接続する |
| 二 | 電圧600V以下で使う電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に、電線(コード・キャブタイヤケーブル・ケーブルを含む)をねじ止めする |
| 三 | 電圧600V以下で使う電力量計・電流制限器・ヒューズを取り付け、取り外す※ |
| 四 | ベル・インターホン・火災感知器・豆電球などに使う小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線 |
| 五 | 電線を支持する柱・腕木などを設置・変更する |
| 六 | 地中電線用の暗渠や管を設置・変更する |
この6つは電気工事士法の「電気工事」に当たりません(法第2条第3項ただし書)。※ 第三号の条文は「電圧六百ボルト以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズ」で、600V以下の限定がヒューズにも掛かるかは読み方に幅があります。表は限定が掛かるとする狭いほうの読み方で書いています。条文で確認してください。
資格が必要な作業と、その中の例外 — 電気工事士法施行規則 第2条
| 号 | 資格が必要な作業(要約) | このうち資格なしでよいもの |
|---|---|---|
| イ | 電線どうしを接続する | 電気さく(定格一次電圧300V以下で出力電流を制限できる電源装置のもの)の電線の接続 |
| ロ | がいしに電線を取り付け・取り外す | 電気さくの電線と、それに接続する電線 |
| ハ | 電線を造営材などに直接取り付け・取り外す | — |
| ニ | 電線管・線樋・ダクトなどに電線を収める | — |
| ホ | 配線器具を造営材などに取り付け・取り外す、配線器具に電線を接続する | 露出型の点滅器(スイッチ)・露出型コンセントの取り換え |
| ヘ | 電線管の曲げ・ねじ切り、電線管どうしや電線管とボックスなどの接続 | — |
| ト | 金属製のボックスを造営材などに取り付け・取り外す | — |
| チ | 電線・電線管などが造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け・取り外す | — |
| リ | 金属製の電線管・ダクトなどを、メタルラス張り・ワイヤラス張り・金属板張りの部分に取り付け・取り外す | — |
| ヌ | 配電盤を造営材に取り付け・取り外す | — |
| ル | 接地線の取り付け・接続、接地極の埋設 | 600V以下で使う電気機器に接地線を取り付け・取り外す作業(自家用は最大電力500kW未満の需要設備の機器に限る)。電気さく用の接地線・接地極 |
| ヲ | 電圧600Vを超えて使う電気機器に電線を接続する | — |
規則第2条第1項第1号イ〜ヲ(自家用電気工作物)と第2項第1号イ・ロ(一般用電気工作物等。イ〜ヌ・ヲは同じで、ルだけ範囲が違う)の要約です。この表にない作業と、電気工事士が行うこれらの作業を補助する作業は「軽微な作業」で、資格がなくても従事できます(自家用電気工作物では、第一種電気工事士が行う作業の補助)。ただしネオン工事・非常用予備発電装置工事(特殊電気工事)には、この表の例外は当てはまりません。資格なしでできるのは、特種電気工事資格者の作業を補助する作業だけです(規則第2条の2第2項)。条文の正確な範囲は規則第2条・第2条の2で確認してください。
間違えやすいポイント
- 第二種電気工事士で高圧受電ビルの低圧部分を工事する — 第二種の免状だけではできません。認定電気工事従事者の認定証(第二種電気工事士で免状交付後3年以上の実務経験か、講習の修了など)が必要です(規則第4条の2第2項)。
- 第一種なら非常用発電機の工事もできると思う — 自家用電気工作物の非常用予備発電装置工事とネオン工事(特殊電気工事)は、第一種の範囲から除かれ、特種電気工事資格者の仕事です(法第3条第1項・第3項、規則第2条の2)。
- 電験三種があれば電気工事もできると思う — 電気主任技術者は保安の監督の資格で、電気工事士の作業の資格とは別です。電気主任技術者免状を受けた後3年以上の実務経験か講習の修了で、認定電気工事従事者の認定は受けられます(規則第4条の2第2項)。
- コンセントの交換はすべて資格なしでよいと思う — 資格なしで取り換えてよいのは露出型だけです。壁に埋め込む配線器具の取り付けや電線の接続は資格が必要です。
電気工事士と電気主任技術者の役割の違い
電気工事士法の目的は、電気工事の作業に従事する人の資格を決めて、電気工事の欠陥による災害を防ぐことです(法第1条)。そのため、資格は「どの区分の電気工作物の、どの作業か」で分かれています。一方、電気主任技術者は電気事業法にもとづき、事業用電気工作物を設置する者が選任して、工事・維持・運用の保安を監督させる人です(電事法第43条)。監督できる範囲は電圧と発電所の出力で区切られています。
よくある質問
Q1. 第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いは?
A. 電気工事士法第3条で、第二種電気工事士は一般用電気工作物等(600V以下で受電する住宅・店舗などの一般用電気工作物と、小規模事業用電気工作物)の電気工事に従事できます。第一種電気工事士は、それに加えて最大電力500kW未満の需要設備などの自家用電気工作物の電気工事(特殊電気工事を除く)に従事できます。第一種電気工事士試験の合格者が免状の交付を受けるには、3年以上の実務経験(電気に関する工事の実務)が必要です(電気工事士法第4条第3項第1号、同法施行規則第2条の4)。このほか、電気主任技術者免状の交付後5年以上の実務経験がある者などを都道府県知事が認定して交付するルートもあります(同法第4条第3項第2号、同規則第2条の5)。
Q2. コンセントの交換に資格は必要?
A. 電気工事士法施行規則第2条で、配線器具を造営材に取り付けたり電線を接続したりする作業は電気工事士の作業ですが、露出型の点滅器(スイッチ)と露出型コンセントを取り換える作業は除かれています。壁に埋め込むコンセントの取り付けや電線の接続には資格が必要です。
Q3. 出力10kW以上50kW未満の太陽光発電の工事は第二種でできる?
A. 低圧(600V以下)の発電設備で、構外と低圧の受電線路以外でつながっていないものなら、できます。出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備は電気事業法の小規模事業用電気工作物で(電気事業法第38条第3項、電気事業法施行規則第48条)、電気工事士法では一般用電気工作物等に含まれるため、第二種電気工事士以上が工事できます(電気工事士法第2条第1項・第3条第2項)。
Q4. 第二種電気工事士は高圧受電のビルの低圧部分を工事できる?
A. 第二種電気工事士の免状だけではできません。自家用電気工作物のうち電圧600V以下で使用する部分の工事(電線路に係るものを除く)は簡易電気工事で、認定電気工事従事者が従事できます(電気工事士法第3条第4項、同法施行規則第2条の3)。第二種電気工事士は、免状交付後3年以上の実務経験か講習の修了で、認定を受けることができます(同規則第4条の2第2項)。
Q5. 資格がなくてもできる電気工事は?
A. 電気工事士法施行令第1条の軽微な工事は電気工事に当たらず、資格がなくてもできます。600V以下で使う差込み接続器・ソケットなどへのコードの接続、600V以下の電気機器や蓄電池の端子への電線のねじ止め、600V以下で使う電力量計・電流制限器・ヒューズの取り付け・取り外し、二次電圧36V以下の小型変圧器(インターホン・火災感知器など)の二次側の配線、電線を支持する柱・腕木の設置、地中電線用の暗渠・管の設置の6つです。
Q6. 電験三種(第三種電気主任技術者)で監督できる範囲は?
A. 電気事業法施行規則第56条で、第三種電気主任技術者は電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所又は蓄電所を除く)の工事・維持・運用の保安を監督できます。第二種は電圧17万V未満、第一種はすべての事業用電気工作物です。
Q7. 最大電力500kW以上の工場の電気工事に必要な資格は?
A. 最大電力500kW以上の需要設備は、発電所・蓄電所・変電所・送電線路などとともに電気工事士法の自家用電気工作物から除かれています(電気工事士法第2条第2項、同法施行規則第1条の2)。そのため電気工事士法による作業者の資格の定めはありません。保安は、設置者が選任した電気主任技術者が監督します(電気事業法第43条)。ただし7,000V以下で受電する需要設備は、最大電力が500kW以上でも、要件を満たす者に保安管理業務を委託して承認を受ければ、電気主任技術者を選任しないことができます(電気事業法施行規則第52条第2項第4号)。
Q8. 非常用発電機の工事に必要な資格は?
A. 自家用電気工作物の非常用予備発電装置として設置される原動機・発電機・配電盤などの工事は特殊電気工事で、特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事)でなければ従事できません(電気工事士法第3条第3項、同法施行規則第2条の2)。第一種電気工事士の範囲からは除かれています。
関連する早見表
出典・参考
- 電気工事士法(昭和35年法律第139号、令和4年法律第68号による改正・2025年6月1日施行の時点) — 第1条、第2条、第3条、第4条、第4条の2、第5条。e-Gov法令検索
- 電気工事士法施行令(昭和35年政令第260号、令和7年政令第374号による改正・2025年11月14日施行の時点) — 第1条(軽微な工事)。e-Gov法令検索
- 電気工事士法施行規則(昭和35年通商産業省令第97号、令和5年経済産業省令第63号による改正・2023年12月28日施行の時点) — 第1条の2、第2条(軽微な作業)、第2条の2(特殊電気工事)、第2条の3(簡易電気工事)、第2条の4、第2条の5、第4条の2。e-Gov法令検索
- 電気事業法(昭和39年法律第170号、令和8年法律第68号による改正・2026年8月3日施行の時点) — 第38条、第42条、第43条、第44条、第46条。e-Gov法令検索
- 電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号、令和7年経済産業省令第68号による改正・2026年4月1日施行の時点) — 第48条(一般用電気工作物の範囲)、第52条(主任技術者の選任等)、第56条(免状の種類による監督の範囲)。e-Gov法令検索
- 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号) — 第2条(電圧の種別)。e-Gov法令検索
※本ページの数値は2026年10月時点で確認した出典にもとづきます。改正・改定されることがあるため、最新の原典を確認してください。
※ 表は条文を当サイトが要約したものです。条文の正確な範囲・ただし書きは、出典の各条で確認してください。
※ 本ページは範囲を引くための早見表です。個別の設備がどの区分に当たるか、どの資格で作業できるかの判断は、所轄の産業保安監督部や都道府県などに確認してください。
※ 本ページの表・数値は、上記の出典をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関・団体が作成したものではありません。
最終更新: 2026-10-07