ローレット早見表|平目・綾目のモジュールと図面指示
ローレット(滑り止めの刻み)の目の種類・モジュール・円ピッチを、JIS B 0951(ローレット目)に基づき一覧化。平目とアヤメ(綾目)の違い、図面指示の読み方、素材径の決め方まで、設計・機械加工で必要な確認に即答します。
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このページについて
ローレットは、つまみ・調整ネジ・手回し部品などを指で回したり握ったりするときに滑らないよう、表面に付ける細かい刻み(目)です。目の種類・細かさ(モジュール)はJIS B 0951「ローレット目」に規定されています。本ページはそのモジュールと円ピッチ、図面指示の読み方、素材径の決め方を整理した早見表です。
「モジュールm0.5ってどのくらいの細かさ?」「平目とアヤメはどう違う?」「図面のローレット指示の読み方は?」「素材径はいくつにする?」といった、機械設計・切削/転造加工で頻発する確認に即答できる構成です。
下の入力欄に「m0.5」「つまみ」「粗い」などと入力すると、下のモジュール表の行を絞り込めます(未入力で全表示)。
該当なし
表1: ローレットのモジュールと円ピッチ
| モジュール m | 円ピッチ(約) = π × m | 目の細かさ | 区分 | 主な用途の目安 |
|---|---|---|---|---|
| m0.2 | 約0.63 mm | 最も細かい | JIS B 0951 | 小径の精密つまみ、化粧的な滑り止め |
| m0.3 | 約0.94 mm | 細かい | JIS B 0951 | 小径のローレットビス・小さなつまみ |
| m0.5 | 約1.57 mm | 標準(一般的) | JIS B 0951 | つまみ・調整ネジ・ローレットビスの多く |
| m0.6 | 約1.88 mm | やや粗い | 参考(JIS範囲外) | 中径の手回し部・工具のグリップ |
| m0.8 | 約2.51 mm | 粗い | 参考(JIS範囲外) | 大径のグリップ・強い滑り止めが要る部分 |
| m1.0 | 約3.14 mm | 最も粗い | 参考(JIS範囲外) | 大径部品の握り・強い滑り止めが要る部分 |
※ JIS B 0951が規定するモジュールは m0.2・m0.3・m0.5 の3種類(円ピッチ = πm = 0.628・0.942・1.571 mm)です。m0.6以上は規格の範囲外で、より粗いローレットは工具メーカーの規格によります(参考値)。円ピッチ = π × モジュール(1目あたりの円周方向の間隔)で、円ピッチ欄の値はモジュールから計算した値です。「主な用途の目安」は一般的な使い分けの目安であり、規格で用途が指定されているものではありません。
図面指示の読み方
ローレットは、目の種類(平目・アヤメ)とモジュールで指示するのが基本です。図面には次のように記入します。
| 種類 | 読み | 目の向き | 図面記入例 |
|---|---|---|---|
| 平目 | ひらめ | 軸に平行な直線状の目 | 平目 m0.5 |
| 綾目(アヤメ) | あやめ | 斜めに交差したダイヤ状の目 | アヤメ m0.5 |
※ 「綾目」と「アヤメ」は同じものを指します。細かさはモジュール(m)で表記します。ローレットを施す範囲(長さ)は寸法で別途指示します。
加工の考え方(素材径の決め方)
ローレットは円周上に等間隔の山を刻む加工です。山がきれいに揃うためには、円周上の山数が整数でなければなりません。山数 z = π×d ÷ 円ピッチ = d ÷ m(d は外径、m はモジュール)なので、素材径をモジュールの整数倍に近づける(d = m × 整数)のが基本です。
- 山数が整数からずれると、目が始点と終点で重ならず、山が崩れたり二重の目になったりします。素材径をモジュールの整数倍に合わせて調整します。
- 転造ローレットは切削ではなく素材を塑性変形させて山を押し上げるため、加工後の外径は素材径よりやや膨らみます(膨らみ量は素材・条件で変わる目安)。仕上がり外径に公差がある場合は、膨らみを見込んで素材径をやや小さめに取ります。
平目と綾目(アヤメ)の使い分け
- 綾目(アヤメ) — ダイヤ状に交差した目。手で握って回す操作部(つまみ・ローレットビスの頭など)に広く使われ、あらゆる向きに滑りにくいのが特長です。
- 平目 — 軸に平行な直線状の目。圧入部の回り止め(回転方向に食い込ませたい部分)や、細い部品・軸方向に抜けにくくしたい部分などに使われます。
※ 上記は一般的な使い分けの目安です。実際の選定は操作性・相手材・意匠などに応じて決めます。
使い方・選び方のポイント
使用場面
機械部品・治具・つまみ類の設計、ローレット加工(切削・転造)の段取り、図面のローレット指示の確認に使います。目の種類・モジュールの選定と、素材径の決め方の確認が主な用途です。
選定の手順
①握って回すか、回り止め等かで平目/綾目を選ぶ(操作部なら綾目が一般的) ②外径と操作性から目の細かさ(モジュール)を選ぶ(標準はm0.5、小径・精密は細目、大径・強い滑り止めは粗目) ③円ピッチ=πmを確認する ④山数 z=d/m が整数になるよう素材径をモジュールの整数倍に近づける ⑤転造なら仕上がり外径の膨らみを見込んで素材径を決める。
よくある間違い
- モジュールとピッチの混同 — mは目の細かさの基準値で、円ピッチはπm(約3.14倍)。図面のm0.5は円ピッチ約1.57mmであって0.5mmではありません。
- 素材径を調整しない — 山数 z=d/m が整数でないと目が閉じず山が崩れます。素材径をモジュールの整数倍に近づけて調整します。
- 転造の径の膨らみを無視 — 転造では仕上がり外径が素材径よりやや大きくなります(目安)。外径に公差があるときは膨らみを見込みます。
- 綾目とアヤメを別物と考える — 綾目=アヤメ=斜めに交差したダイヤ状の目で、同じものです。
ローレットとモジュールの背景
ローレットの目の細かさを「モジュール」で表すのは、円周上に等間隔の山を刻むためです。歯車と同じ考え方で、外径 d に対する山数は z = d/m となり、1目あたりの円周方向の間隔(円ピッチ)は π×m になります。山を始点と終点でぴったり重ねるには z が整数である必要があり、そのため素材径をモジュールの整数倍に近づけて設計します。図面ではモジュール(m)で指示するのが基本で、円ピッチ(πm)の実寸と混同しないことが正しく加工するうえで重要です。
目の種類は、軸に平行な直線目の「平目」と、右上がり・左上がりの目を交差させたダイヤ状の「綾目(アヤメ)」に大別されます。綾目はどの向きにも滑りにくいため、指で握って回す操作部に広く使われます。平目は回転方向に食い込ませたい圧入部の回り止めなどに向きます。切削で削り出す方法と、素材を塑性変形させて山を盛り上げる転造の方法があり、転造では外径がやや膨らむ点を見込んで素材径を決めます。
よくある質問
Q1. ローレットとは何ですか?
A. ローレットは、部品を指で持って回したり握ったりするときに滑らないよう、表面に付ける細かい刻み(目)のことです。目の向きによって平目(軸に平行な直線)と綾目(アヤメ・斜めに交差したダイヤ状)に分かれ、目の細かさはモジュールで表します。ローレット目はJIS B 0951に規定されています。
Q2. 平目と綾目(アヤメ)の違いは何ですか?
A. 平目は軸に平行な直線状の目で、綾目(アヤメ)は右上がりと左上がりの目を交差させたダイヤ状の目です。握って回す操作部には滑りにくい綾目が広く使われ、平目は圧入部の回り止めや細い部品などに使われます。綾目とアヤメは同じものを指します。
Q3. モジュール m0.5 とはどういう意味ですか?
A. モジュールはローレットの目の細かさを表す基準値で、m0.5は最も一般的な標準的な細かさです。円周方向の1目あたりの円ピッチはπ×m=約1.57mmになります。円周上の山数はz=d/m(dは外径)で、これが整数になる素材径にすると目がきれいに揃います。
Q4. よく使われるモジュールはどれですか?
A. JIS B 0951が規定するモジュールはm0.2・m0.3・m0.5の3種類で、m0.5が最も一般的です。細かい目が必要な小径の精密部品ではm0.2〜m0.3を使います。大径で強い滑り止めが欲しい握り部には、より粗い(ピッチの大きい)ローレット工具を使いますが、これはJIS B 0951の範囲外で工具メーカーの規格によります。
Q5. モジュールとピッチはどう違いますか?
A. モジュールmは目の細かさを表す基準値で、円ピッチ(1目あたりの円周方向の間隔)はπ×mです。両者はπ(約3.14)倍だけ違うため混同に注意が必要です。例えばm0.5の円ピッチは約1.57mmで、0.5mmではありません。図面のローレット指示はモジュールで書くのが基本です。
Q6. ローレットの素材径はどう決めますか?
A. 円周上に等間隔の山を刻むため、山数 z=πd÷円ピッチ=d/m(dは素材径、mはモジュール)が整数になるように素材径を決めます。つまり素材径をモジュールの整数倍に近づけます。zが整数からずれると目が重ならず山が崩れる原因になります。
Q7. 転造ローレットで外径は変わりますか?
A. 転造ローレットは切削ではなく素材を塑性変形させて山を押し上げるため、加工後の外径は素材径よりやや膨らみます(膨らみ量は素材や条件で変わる目安)。仕上がり外径に公差がある場合は、膨らみを見込んで素材径をやや小さめに取ります。
関連する早見表
- 切削条件 — 切削速度・送り・回転数の目安
- 面取り・C面R面 — 面取り指示の読み方
- 表面粗さ — Ra・Rzと仕上げ記号
- 公差・はめあい — 軸・穴のはめあい記号
- ネジ径 M1〜M48 — メートルネジの呼びとピッチ
出典・参考
- JIS B 0951 ローレット目 — 平目・綾目の目の種類、モジュール、目の形状に関する規定
※ 本ページのモジュール・目の種類はJIS B 0951の規定に基づきます。円ピッチ欄の値はモジュールから計算した参考値、用途は一般的な使い分けの目安です。規格は改正されることがあるため、設計・加工の際は最新のJIS原文および加工条件を必ず確認してください。
最終更新: 2026-07-15