スペック早見表

フルハーネス規格早見表|墜落制止用器具の区分・ランヤード・特別教育

墜落制止用器具の規格(平成31年厚生労働省告示第11号)と厚労省ガイドラインに基づき、フルハーネス型・胴ベルト型の使用可能条件、第一種・第二種ショックアブソーバの違い、落下距離の計算、特別教育の科目と時間を一覧化。2019年の法改正で「安全帯」は「墜落制止用器具」に変わり、旧規格品は2022年1月2日以降使用できません。現場・安全管理・教育で必要な規定値に即答します。

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フルハーネス義務高さ6.75m超規格第2条。6.75mを超える箇所は胴ベルト型不可
建設作業の推奨5m超はフルハーネスガイドライン(通達)。柱上作業等は2m以上で推奨
旧規格(安全帯)2022年1月2日以降使用不可経過措置は2022年1月1日まで
特別教育計6時間学科4.5h+実技1.5h(安衛則第36条第41号)
第一種SA腰より上掛け用自由落下1.8m試験・4.0kN以下・伸び1.2m以下
第二種SA足元掛け対応自由落下4.0m試験・6.0kN以下・伸び1.75m以下

このページについて

2019年2月1日施行の政省令改正で、高所作業で使う「安全帯」は「墜落制止用器具」に名称が変わり、構造・性能は墜落制止用器具の規格(平成31年厚生労働省告示第11号)で定められました。高さ6.75mを超える箇所ではフルハーネス型の使用が義務となり、旧規格(安全帯の規格)適合品は経過措置終了により2022年1月2日以降使用できません

本ページは「何mからフルハーネスが必要?」「第一種と第二種ショックアブソーバはどう違う?」「特別教育は何時間?誰が対象?」「体重85kg超はどれを選ぶ?」といった現場・安全衛生管理で頻発する確認に即答できるよう、器具の区分・ランヤードの種別・特別教育・選定手順を一覧化した早見表です。

下の入力欄に「フルハーネス」「胴ベルト」「第一種」「6.75」などと入力すると、表1〜2の行を絞り込めます(未入力で全表示)。

よく使う:

表1: 墜落制止用器具の区分と使用可能条件

器具の区分使用可能条件備考
フルハーネス型原則としてこれを使用。高さ6.75mを超える箇所では義務(規格第2条)肩・腿など複数のベルトで体を支持。墜落時に衝撃を分散し、宙づり時も比較的安全な姿勢を保ちやすい
胴ベルト型(一本つり)高さ6.75m以下で、墜落時にフルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれのある場合に使用可ガイドラインでは一般的な建設作業は5m超、柱上作業等は2m以上でフルハーネス型を推奨。ショックアブソーバは第一種を使用
胴ベルト型(U字つり)単独では墜落制止用器具として使用不可U字つり用胴ベルトはワークポジショニング用器具。墜落制止機能がないため、墜落制止用器具(フルハーネス型等)との併用が必要

※ 高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難なときは、防網を張り墜落制止用器具を使用させる等の措置が必要です(労働安全衛生規則 第518条ほか)。6.75mの義務は規格(告示)、5m・2mの区分はガイドライン(通達)による推奨です。

表2: ランヤード(ショックアブソーバ)の種別

種別フック取付位置試験時の自由落下距離衝撃荷重ショックアブソーバの伸び使用する器具
第一種
ショックアブソーバ
腰より高い位置にフックを掛けて使用する場合1.8m4.0kN以下1.2m以下フルハーネス型・胴ベルト型
第二種
ショックアブソーバ
足元など腰より低い位置にフックを掛けることがある場合4.0m6.0kN以下1.75m以下フルハーネス型のみ

※ 墜落制止用器具の規格(告示第11号)に基づく区分。フックを掛ける位置が低いほど自由落下距離が大きくなり衝撃も大きくなるため、足元掛けの可能性がある作業では第二種が必要です。ランヤードの長さ(1.5m・1.7mなど)は製品によって異なります。

自由落下距離・落下距離の計算

器具の選定では、墜落時に地面(または下方の障害物)に到達しないことの確認が最重要です。次の2つの距離を区別します。

  • 自由落下距離 = ランヤード長さ − フック取付高さ + D環高さ
    (墜落開始からショックアブソーバが作動し始めるまでに落下する距離)
  • 落下距離 = 自由落下距離 + ショックアブソーバの伸び + フルハーネスやランヤードの伸び等(1m程度が目安)
    (墜落が制止されるまでに落下する距離。ガイドラインでは、ランヤードやフルハーネスの伸び等を含めた距離として定義されています)

計算例(目安)

条件(例)自由落下距離自由落下距離+SAの伸び判定
ランヤード1.7m・フック高さ0.85m(腰)・D環高さ1.45m・第一種SA1.7 − 0.85 + 1.45 = 2.3m2.3 + 1.2 = 3.5mハーネス等の伸び(約1m・目安)を加え、作業床下方に約4.5m以上の空間が必要
ランヤード1.7m・フック高さ0m(足元)・D環高さ1.45m・第二種SA1.7 − 0 + 1.45 = 3.15m3.15 + 1.75 = 4.9mハーネス等の伸び(約1m・目安)を加え、作業床下方に約5.9m以上の空間が必要

※ D環高さ1.45mは標準的な着用状態の目安です(ガイドラインの例による)。実際の必要空間は使用する製品の取扱説明書の指示に従って計算してください。足元掛け(フック高さ0m)の自由落下距離3.15mは第一種の試験条件(1.8m)を大きく超えるため、足元掛けには必ず第二種を使います。

表3: フルハーネス特別教育の科目と時間

「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務」(ロープ高所作業を除く)に就く労働者には、特別教育が義務付けられています(労働安全衛生規則 第36条第41号)。

区分科目時間
学科
(計4.5時間)
作業に関する知識1時間
墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識2時間
労働災害の防止に関する知識1時間
関係法令0.5時間
実技
(計1.5時間)
墜落制止用器具の使用方法等1.5時間
合計6時間

科目の省略条件(安全衛生特別教育規程ほか)

該当者省略できる科目受講時間
2019年2月1日時点でフルハーネス型を用いて行う作業に6か月以上従事した経験がある者作業に関する知識・墜落制止用器具に関する知識・実技1.5時間(労働災害の防止1h+関係法令0.5h)
2019年2月1日時点で胴ベルト型(一本つり)を用いて行う作業に6か月以上従事した経験がある者作業に関する知識5時間
足場の組立て等特別教育またはロープ高所作業特別教育の修了者労働災害の防止に関する知識5時間

※ 特別教育の記録は3年間保存が必要です(安衛則第38条)。省略の適用可否は事業者の責任で確認してください。

使い方・選び方のポイント(選定手順)

使用場面

建設・設備・電気・通信工事などの高所作業の計画、墜落制止用器具の購入・更新、特別教育の実施計画、安全パトロールでの適合確認に使います。

選定の手順

①作業高さを確認する: 6.75m超ならフルハーネス型が義務。6.75m以下でも建設作業5m超・柱上作業等2m以上はフルハーネス型が推奨 ②フックを掛ける位置を確認する: 腰より上に掛けられるなら第一種、足元掛けの可能性があれば第二種のランヤードを選ぶ ③落下距離を計算する: 落下距離+余裕(目安1m程度)が作業床下方の空間より小さいことを確認。足りなければランヤードを短くする・掛け位置を高くする・巻取り式を検討する ④体重+装備品の合計質量で85kg用/100kg用を選ぶ ⑤着用者に特別教育を実施し、使用前点検(ベルト・縫製・金具・ショックアブソーバの損傷)を習慣化する。

よくある間違い

  • 旧規格の安全帯を使い続ける — 旧規格(安全帯の規格・平成14年告示第38号)適合品は2022年1月2日以降使用不可。「安全帯」表記のみで「墜落制止用器具」の表示がない製品は要確認です。
  • 足元掛け×第一種ショックアブソーバの組合せ — 第一種は腰より高い位置に掛ける前提(自由落下距離1.8m試験)。足元に掛けると試験条件を超える衝撃が生じます。足元掛けの可能性がある作業は第二種を選びます。
  • 体重制限の見落とし — 器具には使用可能な最大質量(85kg用・100kg用など)があり、判定は体重+装備品の合計。工具・装備を含めると85kgを超える人は多く、100kg用の選定が必要になります。
  • 「6.75m以下なら胴ベルトでよい」と思い込む — 使用できるのは事実ですが、原則はフルハーネス型。ガイドラインでは建設作業5m超・柱上作業等2m以上でフルハーネス型を推奨しています。
  • 低い作業床でのフルハーネス過信 — 作業床が低いと、落下距離が地面までの距離を上回り制止前に地面に到達するおそれがあります。掛け位置を高く・ランヤードを短くするか、作業床の設置など別の墜落防止措置を検討します。
  • 特別教育の未実施 — 高さ2m以上・作業床を設けることが困難な箇所でフルハーネス型を用いる作業は特別教育の対象。「ベテランだから不要」にはなりません(経験による科目省略はあっても全部免除ではない場合があります)。

フルハーネス義務化の背景

墜落・転落は労働災害による死亡原因の中でも大きな割合を占め、その対策強化として2019年の政省令改正で墜落制止用器具の制度が再構築されました。従来の胴ベルト型(一本つり)は、墜落制止時に腹部・胸部に荷重が集中して内臓や胸部を損傷したり、宙づり時にベルトがずり上がって体が抜けたりする危険が指摘されていました。フルハーネス型は肩・腿など複数のベルトで荷重を分散し、宙づり時も比較的安全な姿勢を保ちやすいため、原則として使用すべき器具とされました。

「6.75m」という境界は、フルハーネス型の落下距離の考え方から来ています。標準的な条件(ランヤード長・D環高さ・ショックアブソーバの伸び等)で墜落した場合でも着用者が地面に到達しない高さとして設定されたもので、逆に言えばそれ以下の高さではフルハーネス型でも地面に到達するおそれがあるため、胴ベルト型(一本つり)の使用が例外的に認められています。器具の選定で落下距離の計算が重視されるのはこのためです。

ショックアブソーバの第一種・第二種の区分も同じ発想です。フックの取付位置が低いほど自由落下距離が伸び、制止時の衝撃荷重が大きくなります。第一種は自由落下距離1.8m(腰より上掛け相当)、第二種は4.0m(足元掛け相当)の試験条件で衝撃荷重をそれぞれ4.0kN・6.0kN以下に抑えることが求められており、掛け位置に応じた種別選定が着用者の身体保護に直結します。

よくある質問

Q1. フルハーネス型の使用が義務になるのは高さ何mからですか?

A. 6.75mを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具は、フルハーネス型でなければなりません(墜落制止用器具の規格 第2条)。さらに厚労省ガイドラインでは、一般的な建設作業では5mを超える箇所、柱上作業等では2m以上の箇所でフルハーネス型の使用を推奨しています。

Q2. 旧規格の安全帯はいつから使用できませんか?

A. 旧規格(安全帯の規格・平成14年厚労省告示第38号)適合品の使用は経過措置により2022年1月1日までとされ、2022年1月2日以降は使用できません。現在は新規格(平成31年厚労省告示第11号)適合の墜落制止用器具のみ使用可能です。

Q3. 第一種と第二種ショックアブソーバの違いは何ですか?

A. フックの取付位置に対応した区分です。腰より高い位置にフックを掛けて使う場合は第一種(自由落下距離1.8mの試験で衝撃荷重4.0kN以下・伸び1.2m以下)、足元など腰より低い位置に掛けることがある場合は第二種(自由落下距離4.0mの試験で衝撃荷重6.0kN以下・伸び1.75m以下)を使用します。

Q4. フルハーネスの特別教育は何時間ですか?

A. 学科4.5時間(作業に関する知識1時間・墜落制止用器具に関する知識2時間・労働災害の防止に関する知識1時間・関係法令0.5時間)+実技1.5時間(墜落制止用器具の使用方法等)の計6時間です。対象は「高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型を用いて行う作業に係る業務」です(安衛則第36条第41号)。

Q5. 特別教育の科目が省略できるのはどんな場合ですか?

A. 2019年2月1日時点でフルハーネス型を用いる作業に6か月以上従事した経験がある人は「作業に関する知識」「墜落制止用器具に関する知識」と実技を省略でき、受講は1.5時間になります。胴ベルト型(一本つり)を用いる作業に6か月以上従事した経験がある人は「作業に関する知識」を、足場の組立て等またはロープ高所作業の特別教育修了者は「労働災害の防止に関する知識」を省略できます。

Q6. 胴ベルト型はもう使えないのですか?

A. 新規格適合の胴ベルト型(一本つり)は、高さ6.75m以下の箇所であれば現在も使用できます(フルハーネス型の着用者が墜落時に地面に到達するおそれのある場合)。ただしフルハーネス型の使用が原則です。なお、U字つり用の胴ベルトはワークポジショニング用器具であり、単独では墜落制止用器具として使用できません。

Q7. 体重が85kgを超える場合はどの器具を選べばよいですか?

A. 墜落制止用器具には使用可能な最大質量(85kg用・100kg用など。特注品を除く)が定められており、着用者の体重と装備品の質量の合計がこの値以下のものを選びます。体重+装備品が85kgを超える場合は100kg用などを選定してください。

Q8. 落下距離はどう計算しますか?

A. 自由落下距離=ランヤード長さ−フック取付高さ+D環高さ落下距離=自由落下距離+ショックアブソーバの伸び+フルハーネスやランヤードの伸び等(1m程度が目安)、が基本式です。この落下距離以上の空間が作業床の下方に確保できないと、地面に到達するおそれがあります。

関連する早見表

出典・参考

  • 墜落制止用器具の規格(平成31年厚生労働省告示第11号) — 第2条(使用制限: 6.75m超はフルハーネス型、体重+装備品に耐えるもの)、ショックアブソーバの性能(第一種・第二種)ほか
  • 労働安全衛生規則 — 第36条第41号(フルハーネス特別教育)、第518条〜第521条(作業床・墜落制止用器具の使用)ほか
  • 墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン(平成30年6月22日 基発0622第2号) — フルハーネス型原則、建設作業5m超・柱上作業等2m以上の推奨、落下距離の考え方
  • 安全衛生特別教育規程 — 特別教育の科目・時間・省略条件

※ 本ページの数値は上記の告示・省令・通達に基づきます。法令・通達は改正されることがあるため、実際の作業計画・器具選定・教育実施の最終判断は、必ず法令原文・最新の厚生労働省公表資料および使用する製品の取扱説明書で確認してください。

最終更新: 2026-07-11