スペック早見表

止め輪 早見表|C形・E形スナップリングの寸法と溝寸法(JIS B 2804)

JIS B 2804の止め輪(スナップリング・リテーニングリング)寸法一覧。C形止め輪 軸用(呼び10〜50)・穴用(呼び10〜50)の厚さt・溝径d2・溝幅mと、E形止め輪(呼び1.5〜24)の適用軸径・溝寸法を収録。ベアリングや歯車の軸方向固定、軸・ハウジングの溝加工寸法の確認に。

🔩 止め輪 即答ボックス

C形 軸用軸の外周溝に装着軸用プライヤで拡げて着脱
C形 穴用穴の内周溝に装着穴用プライヤで縮めて着脱
E形横から差し込むだけプライヤ不要・小径軸向け
呼びの意味C形=適用軸径・穴径E形=溝径(呼び≠軸径)に注意
溝幅 m厚さtよりやや大きい規定値例: t1.2→m1.35
再使用原則不可(新品交換)変形すると保持力低下

このページについて

止め輪(スナップリング)は、軸や穴に切った溝にはめ込んで、ベアリング・歯車・プーリなどの部品の軸方向の動きを止める機械要素です。本ページではJIS B 2804に基づき、C形止め輪(軸用・穴用)とE形止め輪の呼び寸法・厚さt・溝径d2・溝幅mを一覧化しています。掲載値は基準寸法で、公差・許容荷重などの詳細はJIS B 2804本文とメーカー技術資料を確認してください。

表1: C形止め輪 軸用(JIS B 2804)— 呼び10〜50

呼び=適用する軸径d1(mm)。d2は軸に加工する溝の径、mは溝幅(厚さtに対応する規定値)。掲載値は基準寸法で、公差はJIS B 2804の規定によります。

よく使う:
呼び
(=適用軸径 d1 mm)
厚さ t
(mm)
溝径 d2
(mm)
溝幅 m
(mm)
1019.61.15
12111.51.15
14113.41.15
15114.31.15
16115.21.15
17116.21.15
181.2171.35
201.2191.35
221.2211.35
251.223.91.35
281.526.61.65
301.528.61.65
321.530.31.65
351.5331.65
401.75381.9
451.7542.51.9
502472.2

※ 呼び10〜50の主要サイズを掲載。中間サイズ・呼び50超はJIS B 2804の規格表を参照してください。

表2: C形止め輪 穴用(JIS B 2804)— 代表サイズ

呼び=適用する穴径d1(mm)。d2は穴の内周に加工する溝の径(穴径より大きい値)、mは溝幅。掲載値は基準寸法です。

呼び
(=適用穴径 d1 mm)
厚さ t
(mm)
溝径 d2
(mm)
溝幅 m
(mm)
10110.41.15
12112.51.15
14114.61.15
16116.81.15
181191.15
201211.15
221231.15
251.226.21.35
281.229.41.35
301.231.41.35
321.233.71.35
351.5371.65
401.7542.51.9
451.7547.51.9
502532.2

※ 穴用は「溝径d2>穴径」になる点が軸用と逆です(軸用は溝径d2<軸径)。

表3: E形止め輪(JIS B 2804)— 呼び1.5〜24

E形の呼びは溝径d2に対応する寸法で、軸径ではありません。使用する軸の径から「適用軸径d1」の欄で呼びを選び、溝は溝径d2・溝幅mで加工します。適用軸径の範囲は「以上〜未満」で読みます(例: 呼び5は軸径6mm以上8mm未満)。掲載値は基準寸法です。

呼び適用軸径 d1
(mm)
厚さ t
(mm)
溝径 d2
(mm)
溝幅 m
(mm)
1.52〜2.50.41.530.5
22.5〜3.20.42.050.5
2.53.2〜40.42.550.5
34〜50.63.050.7
45〜70.64.050.7
56〜80.65.050.7
67〜90.86.050.9
78〜110.87.10.9
89〜120.88.10.9
1011〜15110.151.15
1213〜18112.151.15
1516〜241.515.151.65
1920〜311.519.151.65
2425〜38224.152.2

※ E形の溝径d2は呼びよりわずかに大きい規定値です(例: 呼び5 → d2=5.05mm)。適用軸径には範囲があるため、同じ軸径でも設計条件により呼びの選択が変わる場合があります。本表は主要14サイズを掲載しています(呼び9などの中間サイズはJIS B 2804の規格表を参照)。

使い分けと選定のポイント

種類装着場所着脱向いている用途
C形 軸用軸の外周溝軸用スナップリングプライヤベアリング内輪・歯車・プーリの軸方向固定。最も汎用的
C形 穴用穴(ハウジング)の内周溝穴用スナップリングプライヤハウジング内のベアリング外輪の固定
E形小径軸の外周溝横から差し込み(工具レス)小径軸(本表の範囲で軸径2〜38mm)・組立性重視の量産品

選定の手順

①固定する相手が軸か穴かで軸用/穴用を決める ②軸径・穴径から呼びを選ぶ(C形は呼び=適用径、E形は適用軸径の欄から選ぶ) ③溝は表の溝径d2・溝幅mで加工する(公差はJIS B 2804の規定) ④スラスト荷重が作用する場合は、許容スラスト荷重をJIS B 2804の規格表・メーカー技術資料で必ず確認する(荷重条件によっては止め輪以外の固定方法を検討)。

よくある間違い

  • 軸用と穴用の混同 — 同じ呼びでも形状・寸法が全く異なり、互換性はありません。プライヤも軸用(握ると開く)・穴用(握ると閉じる)で逆動作です。
  • E形の呼びを軸径と誤解 — E形の呼びは溝径d2(装着部のくびれ径)に対応します。軸径6mmの軸には呼び6ではなく、適用軸径6〜8mmの呼び5を使うのが典型例です。
  • 取り外した止め輪の再使用 — 着脱で塑性変形した止め輪は保持力が落ち、脱落の原因になります。原則新品に交換します。
  • 溝幅を厚さと同じ寸法で加工 — 溝幅mは厚さtよりわずかに大きい規定値です(例: t=1.2→m=1.35)。同寸だと入らず、広すぎるとガタが出ます。
  • プライヤで必要以上に拡げる/縮める — 弾性限度を超えると変形して保持力を失います。溝に入る最小限の変形で着脱します。
  • 向き(表裏)の無視 — 打抜き品のため角側とだれ側があります。荷重を受ける側に角の立った平面側を向けます。

止め輪のしくみと規格の背景

止め輪は、ばね性をもつ鋼(炭素工具鋼・ばね鋼)やステンレス鋼をプレス打抜きした環状部品で、自身の弾性で溝に食い付いて部品の軸方向移動を規制します。ボルトやナットのようなねじ締結と違い、溝を1本加工してはめ込むだけで済むため、部品点数・加工コスト・組立工数を大きく減らせるのが特徴です。ベアリングの内輪・外輪の固定をはじめ、減速機・自動車部品・家電まで幅広く使われています。

C形止め輪は円周の一部が開いた「C」の字形で、開口部の両端の小穴にプライヤの先端を差し込んで拡げ(軸用)または縮めて(穴用)着脱します。E形止め輪は「E」の字形で、溝に対して半径方向(横)から押し込むだけで装着でき、工具アクセスの悪い場所や自動組立に向きますが、溝への掛かり代が小さいぶん大きなスラスト荷重には向きません。

寸法はJIS B 2804で呼びごとに規格化されており、止め輪本体の寸法だけでなく、相手側に加工する溝径d2・溝幅mとその公差も同時に規定されています。止め輪と溝は規格でペアになって初めて所定の保持力が出るため、溝加工も必ず規格値に従うことが重要です。許容スラスト荷重・角部の面取り条件・回転数の制限(遠心力による拡がり)などの詳細条件も規格とメーカー資料に示されています。

よくある質問

Q1. 軸用と穴用の止め輪の違いは?

A. 軸用(external)は軸の外周に切った溝に、プライヤで拡げて外側からはめ、縮まろうとする弾性で溝に食い付いて保持します。穴用(internal)は穴の内周に切った溝に、縮めてはめ、広がろうとする弾性で保持します。形状が異なるため互換性はなく、スナップリングプライヤも軸用(握ると先端が開く)と穴用(握ると先端が閉じる)で動作が逆です。

Q2. E形止め輪の「呼び」は軸径のこと?

A. いいえ。E形止め輪の呼びは装着する溝底の径(溝径d2)に対応する寸法で、軸径そのものではありません。例えば呼び5のE形止め輪は軸径6〜8mmの軸に使います。軸径の数字でそのまま選ぶと小さいサイズを誤選定するので、必ず適用軸径の欄で確認してください。

Q3. 止め輪の取り付け・取り外しに専用工具は必要?

A. C形止め輪はスナップリングプライヤ(軸用/穴用)が必須です。呼び径に合った先端のプライヤを使い、必要以上に拡げたり縮めたりしないことが重要です。E形止め輪はプライヤ不要で、軸の溝に対して横方向から押し込んで装着します。取り外しはマイナスドライバ等でこじり出せますが、変形した輪は再使用しないでください。

Q4. 止め輪は再使用できる?

A. 原則として再使用は推奨されません。着脱時に塑性変形すると溝への保持力が低下し、運転中の脱落原因になります。特にE形は装着時に変形しやすく、一度取り外したものは新品に交換するのが安全です。

Q5. 溝寸法(溝径d2・溝幅m)はどう決める?

A. JIS B 2804に呼びごとの規定値があります。溝径d2は呼びごとに規定された基準寸法、溝幅mは止め輪の厚さtよりわずかに大きい規定値(例: t=1.2mmに対しm=1.35mm)です。自己流の寸法にすると保持力不足やガタの原因になるため、本ページの表(JIS規定値)と規格本文の公差に従ってください。

Q6. 止め輪はどのくらいのスラスト荷重に耐えられる?

A. 許容スラスト荷重は「止め輪自体のせん断」と「溝側(軸・穴側)の変形」の両方で決まり、呼び・材質・溝の条件ごとにJIS B 2804の規格表やメーカー技術資料に許容値が示されています。条件に依存する値のため本ページでは規定せず、必ず規格表・メーカー資料で確認してください。大きなスラスト荷重が常時かかる箇所には、止め輪ではなく軸端ナットや段付き軸の採用も検討します。

Q7. 止め輪に表裏(向き)はある?

A. あります。止め輪はプレス打抜きで作られるため、断面の片側は角が立ち(せん断面側)、反対側には丸み(だれ)があります。スラスト荷重を受ける相手部品側には角の立った平面側を向けて組み付けるのが基本です。

関連する早見表

出典・参考

  • JIS B 2804 — 止め輪(C形止め輪 軸用・穴用、E形止め輪の形状・寸法・溝寸法)

※ 掲載値はJIS B 2804に基づく基準寸法です。公差・許容スラスト荷重・回転数制限などの詳細条件は規格本文および各メーカーの技術資料を必ず確認してください。

最終更新: 2026-07-08