危険物の指定数量早見表|ガソリン200L・灯油1000L・重油2000L
指定数量は「これ以上なら許可施設でなければ扱えない」という消防法の境目です。現場で効いてくるのは第4類で、ガソリン200L・灯油1,000L・重油2,000L。2種類以上あるときの倍数計算(商の和が1以上)まで1枚にまとめました。
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指定数量は「これ以上を貯蔵・取り扱うなら許可を受けた施設でなければならない」という、消防法上の境目です。数量そのものは危険物の規制に関する政令 別表第三に類別・品名・性質ごとに定められています。現場で問題になるのはたいてい第4類(引火性液体)で、ガソリン200L・灯油1,000L・重油2,000Lという並びを押さえておくと判断が速くなります。実際の貯蔵可否・届出の要否は、所轄の消防本部に確認してください。
表1: 第4類 引火性液体の指定数量(現場で最も使う表)
| 品名 | 性質 | 指定数量 | 法が挙げる例/定義 |
|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | — | 50L | ジエチルエーテル、二硫化炭素ほか。発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下 |
| 第一石油類 | 非水溶性 | 200L | アセトン、ガソリンほか。引火点21℃未満 |
| 水溶性 | 400L | ||
| アルコール類 | — | 400L | 1分子の炭素原子が1〜3個の飽和1価アルコール(変性アルコールを含む) |
| 第二石油類 | 非水溶性 | 1,000L | 灯油、軽油ほか。引火点21℃以上70℃未満 |
| 水溶性 | 2,000L | ||
| 第三石油類 | 非水溶性 | 2,000L | 重油、クレオソート油ほか。引火点70℃以上200℃未満 |
| 水溶性 | 4,000L | ||
| 第四石油類 | — | 6,000L | ギヤー油、シリンダー油ほか。引火点200℃以上250℃未満 |
| 動植物油類 | — | 10,000L | 動物の脂肉等・植物の種子/果肉から抽出したもので引火点250℃未満 |
※ 数量は危険物の規制に関する政令 別表第三。品名の定義と例示物質は消防法 別表第一の備考によります(ここに挙げた物質名はいずれも法令本文に書かれているものだけを載せています)。水溶性液体とは、1気圧・温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜた場合、流動がおさまった後も混合液が均一な外観を維持するものをいいます(別表第三 備考十)。
表2: 第1類〜第6類の指定数量
| 類別 | 品名・性質 | 指定数量 |
|---|---|---|
| 第1類 酸化性固体 | 第一種酸化性固体 | 50kg |
| 第二種酸化性固体 | 300kg | |
| 第三種酸化性固体 | 1,000kg | |
| 第2類 可燃性固体 | 硫化りん/赤りん/硫黄/第一種可燃性固体 | 100kg |
| 鉄粉/第二種可燃性固体 | 500kg | |
| 引火性固体 | 1,000kg | |
| 引火性固体=固形アルコールその他1気圧で引火点40℃未満のもの | ||
| 第3類 自然発火性・禁水性 | カリウム/ナトリウム/アルキルアルミニウム/アルキルリチウム/第一種 | 10kg |
| 黄りん | 20kg | |
| 第二種自然発火性物質及び禁水性物質 | 50kg | |
| 第三種自然発火性物質及び禁水性物質 | 300kg | |
| 第4類 引火性液体 | 表1のとおり(50L〜10,000L) | |
| 第5類 自己反応性物質 | 第一種自己反応性物質 | 10kg |
| 第二種自己反応性物質 | 100kg | |
| 第6類 酸化性液体 | — | 300kg |
※ 第4類のみリットル、ほかはキログラムで規定されています。第一種・第二種・第三種という区分は、燃焼試験・落球式打撃感度試験・小ガス炎着火試験など政令が定める試験の結果で決まるもので、物質名から直接引けるものではありません(別表第三 備考)。
表3: 倍数の計算 — 2種類以上あるときの考え方
品名または指定数量が異なる2以上の危険物を同じ場所で貯蔵・取扱いする場合、それぞれの数量を指定数量で割った商の和が1以上になると、その場所は指定数量以上の危険物を扱っているものとみなされます(消防法第10条第2項)。
| 例 | 計算 | 倍数の和 | 扱い |
|---|---|---|---|
| ガソリン100L+灯油400L | 100÷200+400÷1,000=0.5+0.4 | 0.9 | 指定数量未満(条例の対象) |
| ガソリン100L+灯油600L | 100÷200+600÷1,000=0.5+0.6 | 1.1 | 指定数量以上とみなす |
| 軽油200Lのみ | 200÷1,000 | 0.2 | 指定数量の1/5=少量危険物(条例) |
| 重油1,000L+軽油500L | 1,000÷2,000+500÷1,000=0.5+0.5 | 1.0 | 指定数量以上とみなす |
※ 計算値。「和が1以上」で規制側に入るため、1.0ちょうどでも指定数量以上です。倍数は各危険物ごとに求めてから足し算する点に注意してください(合計リットルで判断するのは誤りです)。
倍数によって何が変わるか
| 倍数 | 区分 | 主な扱い |
|---|---|---|
| 1以上 | 指定数量以上 | 製造所・貯蔵所・取扱所以外の場所で貯蔵・取扱いできない(消防法第10条第1項)。設置には市町村長等の許可が必要(第11条) |
| 1/5以上1未満 | 少量危険物 | 市町村の火災予防条例による基準・届出の対象(条例により条文番号・運用が異なる) |
| 1/5未満 | — | 消防法第9条の4により、貯蔵・取扱いの技術上の基準は市町村条例が定める |
※ 指定数量未満の危険物の基準は市町村条例に委ねられています(消防法第9条の4)。「少量危険物=指定数量の1/5以上指定数量未満」という区分と届出義務は各市町村の火災予防条例によるため、数量・届出先・様式は必ず所轄消防本部で確認してください。なお、所轄消防長または消防署長の承認を受ければ、指定数量以上の危険物を10日以内の期間に限り仮に貯蔵・取扱いできます(消防法第10条第1項ただし書き)。
なぜガソリンは200Lで灯油は1,000Lなのか
分けているのは引火点です。第一石油類は引火点21℃未満、第二石油類は21℃以上70℃未満、第三石油類は70℃以上200℃未満。引火点が常温より低いガソリンは、こぼれた時点ですでに燃える蒸気が出ている状態なので、同じ量でも危険度が違います。だから指定数量が小さく設定されています。
水溶性か非水溶性かで倍になるのも同じ発想です。水溶性の液体は水で希釈でき、泡消火にも反応が違うため、非水溶性の2倍の数量まで許容されています。危険物の輸送区分(UN番号)はUN番号早見表、ボンベの色は高圧ガスボンベの色で確認できます。
間違えやすいポイント
- 合計リットルで判断する — 誤りです。危険物ごとに倍数を出して足すのが第10条第2項の考え方です。
- 「1未満なら規制なし」と考える — 指定数量未満でも市町村条例の基準がかかります。1/5以上なら届出の対象になるのが一般的です。
- 第4類以外もリットルで数える — 第4類だけがリットル。ほかの類はキログラムです。
- 第一種・第二種を物質名から判断する — 政令が定める試験結果による区分です。
- 軽トラの荷台で運ぶのは規制外だと思う — 運搬・移送にも別の基準(容器・積載方法・標識)があります。
よくある質問
Q1. ガソリンの指定数量は何リットル?
A. 200Lです。第4類 第一石油類の非水溶性液体にあたります(政令別表第三)。水溶性の第一石油類とアルコール類は400Lです。
Q2. 灯油と軽油の指定数量は?
A. どちらも1,000Lです(第4類 第二石油類 非水溶性)。水溶性の第二石油類は2,000L、重油などの第三石油類 非水溶性は2,000Lです。
Q3. 危険物が2種類あるときはどう計算する?
A. それぞれを指定数量で割った商を足します。和が1以上で指定数量以上とみなされます(消防法第10条第2項)。例: ガソリン100L+灯油600L=0.5+0.6=1.1で規制対象。合計リットルでの判断は誤りです。
Q4. 少量危険物とは?
A. 一般に指定数量の1/5以上指定数量未満の危険物です。指定数量未満の基準は市町村条例に委ねられており(消防法第9条の4)、届出の要否・様式は自治体ごとに異なります。
Q5. 指定数量未満なら何も規制されない?
A. 規制されます。市町村条例が基準を定めます(消防法第9条の4)。指定数量未満は「自由」ではなく「許可制ではなく条例の対象」という意味です。
Q6. なぜガソリンと灯油で指定数量が5倍も違う?
A. 引火点で品名が分かれるためです。第一石油類=21℃未満、第二石油類=21〜70℃未満、第三石油類=70〜200℃未満。常温より引火点が低いガソリンは、こぼれた時点で燃える蒸気が出ているため数量が小さく設定されています。
Q7. 指定数量以上を一時的に置きたいときは?
A. 所轄消防長・消防署長の承認を受ければ10日以内に限り仮貯蔵・仮取扱いができます(消防法第10条第1項ただし書き)。承認なしでは置けません。
関連する早見表
- UN番号(国連番号) — 危険物の輸送分類
- 高圧ガスボンベの色 — 酸素=黒・アセチレン=褐色
- 純アルコール量計算 — 酒類の純アルコール換算
- 不燃・準不燃・難燃 — 20分/10分/5分の区分
- 現場の資格区分 — ガス溶接・アーク溶接の資格
出典・参考
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号) 別表第三 — 類別・品名・性質ごとの指定数量の全数値、水溶性液体の定義(備考十)、第一種〜第三種の判定試験(備考一〜十二)。e-Gov法令検索の条文で確認
- 消防法(昭和23年法律第186号) 別表第一 備考 — 特殊引火物・第一〜第四石油類・アルコール類・動植物油類・引火性固体の定義と引火点区分、法が例示する物質名
- 消防法 第9条の4 — 指定数量の定義、指定数量未満の危険物・指定可燃物の基準を市町村条例に委ねる規定
- 消防法 第10条 — 第1項(指定数量以上は製造所・貯蔵所・取扱所以外で貯蔵・取扱い不可/承認により10日以内の仮貯蔵)、第2項(倍数の和が1以上で指定数量以上とみなす)
※ 本ページは法令の数量を引くための早見表です。個別の物質がどの品名・性質に該当するか、届出や許可が必要かの判断は、所轄の消防本部および危険物取扱者に確認してください。本表に載せた物質名は法令本文が例示しているものに限っており、それ以外の製品については安全データシート(SDS)の消防法区分を確認する必要があります。
最終更新: 2026-09-14