安全靴の規格早見表|JIS T8101のS種/H種とJSAA A種/B種の違い
「安全靴」と表示できるのはJIS T8101の合格品だけ。スニーカータイプは別規格JSAAの「プロスニーカー」です。この2規格の対応関係と、S種=70J・H種=100J・2020年新設のU種=200Jという作業区分、甲の「P」「F」など付加記号の意味をこの1ページで照合できます。
🥾 安全靴規格 即答ボックス
まず、どちらの規格の話かを分ける
店頭や通販で「安全靴」として売られている靴は、実は2つの規格に分かれています。革製・総ゴム製でJIS T8101に合格したものが法規・仕様書で言う「安全靴」。一方、軽くて動きやすいスニーカータイプはJSAA(公益社団法人日本保安用品協会)の認定品で、正式名は「プロテクティブスニーカー」です。性能試験の考え方は共通ですが、現場の入場条件が「JIS合格品」の場合、JSAA品では通らないことがあります。まずタグの表示がどちらなのかを確認してから、下の表で性能を引いてください。
表1: JIS T8101:2020の作業区分(先芯の性能)
| 区分 | 作業の程度 | 先芯の耐衝撃性 | 先芯の耐圧迫性 | 主な現場の例 |
|---|---|---|---|---|
| U種 2020年新設 | 超重作業用 | 200J以上 | 15kN以上 | 特に重い荷重・落下物のある現場 |
| H種 | 重作業用 | 100J以上 | 15kN以上 | 鉱業・鉄鋼・造船など |
| S種 | 普通作業用 | 70J以上 | 10kN以上 | 一般の製造・建設・運搬(事実上の標準) |
| L種 | 軽作業用 | 30J以上 | 4.5kN以上 | 軽量物の取扱い・倉庫内軽作業 |
| JSAA A種 | 普通作業用(プロスニーカー) | 70J相当 | 10kN相当 | JIS S種級の性能をスニーカー形で |
| JSAA B種 | 軽作業用(プロスニーカー) | 30J相当 | 4.5kN相当 | JIS L種級。軽作業・物流 |
※ JIS T8101:2020 表2(作業区分による種類)にもとづく。70Jはおよそ「20kgの重りを35cmの高さから落とした」エネルギーに相当します(J=kg・m²/s²からの換算)。JSAA区分の数値はJIS試験に準じた認定基準です。
表2: 付加的性能の記号(JIS T8101:2020)
| 記号 | 性能 | こんな現場で |
|---|---|---|
| P | 耐踏抜き性 | 釘・鋭利物の散乱する建設・解体 |
| E | かかと部の衝撃エネルギー吸収性 | 長時間の立ち作業・歩行 |
| M | 足甲プロテクタの耐衝撃性 | 重量物・フォークリフト周辺 |
| F1 / F2 | 耐滑性(区分1・2) | 油・水で滑りやすい床 |
| W | 耐水性 | 水場・屋外 |
| C | 耐切創性 | 刃物・切粉のある現場 |
| I-600/3500/7000 | 電気絶縁特性 | 電気工事関係 |
| HI1/HI2・CI1/CI2 | 靴底の耐熱・耐寒 | 炉前・寒冷環境 |
| H | 表底の耐高熱接触性 | 高温面の上を歩く作業 |
| BO/UO | 耐燃料油性(表底/甲被) | 油まみれの整備・機械工場 |
※ 記号は先芯の基本性能に「追加」される表示です。同じS種でも付加記号の有無で守備範囲がまったく違うため、購入時は区分+記号のセットで確認します。
よくある間違い
- JSAA品を「JIS指定」の現場に履いていく — 性能が同等でも規格が別。入場条件が「JIS T8101合格品」なら表示を確認。
- 「安全靴っぽい見た目」で選ぶ — 先芯のない作業靴も混在しています。JISマークかJSAA認定マークの有無が境界線。
- 強い衝撃を受けた靴を使い続ける — 先芯は一度の大きな衝撃で内部変形します。見た目無事でも交換が原則。
- 古いカタログの区分で選ぶ — 2020年改正でU種追加・耐滑の扱い変更あり。規格年まで見る。
- 足のサイズ表記と混同する — 靴の寸法系は靴サイズ早見表の領域。本ページは保護性能の規格です。
規格のしくみ
安全靴の核心は爪先の先芯で、規格は「どれだけのエネルギーの落下物(耐衝撃)と、どれだけの挟圧(耐圧迫)から指を守るか」を等級化したものです。2020年改正でU種(200J)が積まれたのは、従来のH種でも足りない超重量物の現場が実在するため。一方で耐滑性が基本性能から付加性能(F1/F2)へ移ったのは、「転倒対策は必要な現場でだけ選ぶ」という割り切りで、基本=先芯、環境リスク=付加記号という2階建てが2020年版の設計思想です。
JSAAのプロスニーカーは「JISの革靴は重くて続かない」という現場の声から生まれた民間認定で、試験の物差しはJISに揃えつつ、素材と形の自由度を広げたもの。保護具は「規格の等級」と「作業のリスク」の突き合わせで選ぶ——この構図は保護帽や防塵マスクとまったく同じです。
よくある質問
Q1. S種とH種の安全靴は何が違う?
A. 先芯の等級です。S種=70J・10kN(普通作業)、H種=100J・15kN(重作業)。一般現場はS種が標準、2020年からはU種(200J)もあります。
Q2. JSAA認定のプロスニーカーとJIS安全靴の違いは?
A. 「安全靴」を名乗れるのはJIS T8101合格品だけ。スニーカータイプはJSAA認定の「プロスニーカー」で、A種=70J相当・B種=30J相当。JIS指定の現場ではJSAA品不可の場合があります。
Q3. 安全靴の「P」や「F」の記号は何?
A. 付加的性能の記号です。P=耐踏抜き、E=かかと衝撃吸収、M=足甲プロテクタ、F1/F2=耐滑、W=耐水、C=耐切創など。区分+記号のセットで選びます。
Q4. 2020年のJIS改正で何が変わった?
A. U種(200J)の新設、耐滑性の付加的性能化(F1/F2)、耐燃料油性などの追加が主な変更です。古い資料とは並びが違うことがあります。
Q5. 普通の現場ならどの区分を選べばいい?
A. 一般の製造・建設ではS種(またはJSAA A種)が事実上の標準。ただし最終判断は作業リスクに基づく職場の安全管理者・元請の指定に従ってください。
Q6. 安全靴に寿命はある?
A. あります。強い衝撃を受けたら見た目無事でも交換が原則。靴底の摩耗で耐滑は低下し、ウレタン底は経年の加水分解もあります。日常点検+定期交換で。
関連する早見表
出典・参考
- JIS T8101:2020「安全靴」 — 作業区分(U/H/S/L)の耐衝撃・耐圧迫値、付加的性能記号、2020年改正内容
- 公益社団法人日本保安用品協会(JSAA)の認定基準・安全靴メーカー(ミドリ安全・シモン等)の規格解説 — プロスニーカーA種/B種の区分とJIS対応
※ 本ページは規格の等級を引くための早見表です。どの区分・付加性能が必要かは作業のリスクアセスメントによって決まります。選定は職場の安全管理者・元請の指定・労働安全衛生法令に従い、判断に迷う場合は保護具メーカー・安全用品店に相談してください。
最終更新: 2026-08-20